スタンフォードのストレスを力に変える教科書/ケリー・マクゴニガル
ストレスに対処するための最善の方法は、ストレスを減らそう、避けようとするよりも、ストレスについての考え方を改めて、ストレスを受け入れることです。
「ストレスは悪である」「ストレスは健康に悪い」と多くの人は考えている。
しかし、ある調査によると、強度のストレスを受けて死亡リスクが高まったのは、「ストレスは健康に悪い」と考えていた人たちだけだったという。
つまり、ストレスそのものが問題なのではなく、ストレスに対する考え方に問題があるというのである。
物事に対する考え方が健康に影響を与えるということは多くの実験や事例が証明している。
例えば、イェール大学のある有名な研究では、中年の男女を 20 年にわたって調査した。
その結果、中年期に年齢を重ねることをポジティブにとらえていた人たちは、ネガティブにとらえていた人たちよりも、平均寿命が7.6年も長かったという。
また「ほとんどの人は信用できる」と考えている人は、長生きする傾向にあるという研究もある。
デューク大学が15年かけて行った研究によると、55歳以上の成人で「人を信用できる」と思っていた人たちの60%は、15年後の研究終了時にも生存していた。
それとは逆に、「人は信用できない」と思っていた人たちの60%は、研究終了時にはすでに亡くなっていたというのである。
大事なことはストレスに対するマインドセットを変えることである。
ストレスのよい面も悪い面もきちんと認識したうえで、あえてよい面を見つめること。
そして、自分がつらい思いをしているのを認めたうえで、そのストレスのせいでかえって、大切なものとの結びつきが強まっているのだ、と意識することである。
ストレスは人を賢く、強くし、成功へと導く。
人はストレスの経験から学び、成長することができる。
そして、勇気や思いやりを持つこともできる。
ストレスを感じたときにどんな気分になるかも、ストレスの多い状況に対してどう対処するかも、ストレスについての考え方しだいで決まる。
それが究極的には、ストレスに負けずにがんばれるか、心身ともに参ってうつ状態になってしまうかの分かれ目になる。
私は、自分にはストレスをプラスの力に変える能力があると信じているだろうか?
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