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2018年5月26日 (土)

荒くれ漁師をたばねる力/坪内知佳

Photo 人が生きるのはお金や会社のためではない。自分が「これだ!」と思う生きる目的を見つけるため、そしてその目的をかなえるために生きていると私は思うのだ。
 偶然、萩の町に来て、萩大島の漁師たちと出会ったとき、私はこの人たちとなら、そんな生きる目的が見つけられるかもしれないと直感した。

山口県萩大島で漁業を行う萩大島船丸。

その船団を率いるのは若干30歳シングルマザー。

彼女は漁師たちをたばねて新しいビジネスモデルをつくり業績を回復させていく。

本書はその奮闘記である。

彼女が目指したのは、生産者である漁師自身が、流通も、販売もすべて自分たちで行うという「6次産業化」だ。

通常、漁師が海で魚を獲ってくると、それを漁協が管理する市場に水揚げする。漁師の仕事はそれで終わりだ。そのあとはすべて漁協が行う。

水揚げされた魚は、必要に応じて加工されたり、そのまま箱詰めにされたりして、「仲買人」に引き取られ、「仲買人」は「卸」に魚を流し、「卸」が「小売店」に販売し、最終的に消費者に届く。

6次産業化とは生産者が生産だけでなく、製造・加工(第2次産業)や流通・販売(第3次産業)まで一貫して自らの手で行い、所得を上げようという施策だ。

しかし、漁協関係者にしたら、自分たちをすっ飛ばして、漁師が消費者と直接取引するようになるのは死活問題だ。

漁師の水揚げで生活していた彼らにとって、漁師が自分たちですべてをまかなってしまうと、生きるすべを失ってしまう。

当然、モーレツな抵抗にあう。

関係者だけでなく、漁師たちも、若い女性の社長の言うことには反抗する。

それらの大きな壁を一つひとつ乗り越えながら、彼女は夢を実現していく。

大きな夢と、やり遂げようとする情熱と意志があれば、それに巻き込まれて人が動き、不可能と思えることが可能になるということであろう。

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