女性に伝えたい 未来が変わる働き方/野村浩子
本書の全編にわたる取材を通して痛感したのは、これからは「対話をする力」が、生き抜く力、そして環境を変えていく力になるということだ。
多くの働く女性を取材してきた著者が、問題解決のカギにあげたのは「対話をする力」だった。
何か素晴らしい仕組みがあるわけでも、秘策があるわけでもない。
「対話」をすることが何よりも大切だという。
残業ができない社員とフォローする社員。
残業ができない部下とその上司。
家庭では、子育てをしながら働く夫と妻。
いま働き方が大きく変わり、柔軟に多様な働き方を認めようという方向に企業は舵を切っている。
そして男性も女性も、そして外国人も、さまざまな人材を生かすことが企業の活力になるという認識が浸透しつつある。
そうなると、企業の中で異文化がぶつかり合うことになる。そのとき求められるのも「対話」である。
対話ができるかどうか、どのように対話をするかで、個々人が満足できる働き方ができるか、組織全体の生産性が上がるか否かが大きく変わると思う。
一見二極化に見える表層的な対立も、そして根源的な二項対立も、相手の立場を知ろうとする、想像する、そして対話をしながら合意点を見出すことでしか乗り越えられない。
働きにくさを解決するには、まずは「対話」をすること、ささやかに見えるものの、実はそれが大きな力になるのではないだろうか。
« カネと自由と、文明末ニューヨーク/森田靖郎 | トップページ | 成長マインドセット/吉田行宏 »