社長の「まわり」の仕事術/上阪徹
ひとつのヒントは、松本氏の語った一言だった。
「フルグラをシリアルと呼ばないで、と言ったんですね。これはまったく違ったブームになる。おいしいというイメージが薄い、アメリカのシリアルと一緒にしてくれるな、と」
この言葉に、藤原さんはハッとしたという。どうすれば、日本でブームを起こせるか、だ。こうして2013年に藤原さんが掲げたのが、「朝食革命」という言葉だった。
上記は、カルビーの藤原氏のエピソード。
カルビーは「朝食革命」というキャッチのもと、朝ご飯を変える、というムーブメントを起こす。
折しも女性の社会進出が当たり前になり、手早くおいしく健康的な朝食への関心が高まっていた頃。
これが後に、消費者に強く響く言葉になっていく。
カルビーの社長、松本氏については、すごい社長としてマスコミが取り上げることが多い。
しかし、すごいと言われる経営者のまわりには、「デキる」人たちがたくさんいる。
松下幸之助しかり、本田宗一郎しかり、盛田昭夫しかりである。
本書はそれを「社長のまわりの仕事術」として、多くの「デキる」人にインタビューしている。
共通するのは、社長の意図を汲んで仕事をしているということ。
例えば、「同じことを3回言われたら〝これは本気だ〟と思ってやる」とか、
「とにかく簡潔にする。報告なのか、相談なのか、判断をしてもらいたいのか、明確にする。」とか、
「あちこちで先回りしておかないといけない。言われていないのにやる、くらいがちょうどいい。」とか、
ある意味、社長を「忖度」しているのである。
確かに社長は忙しいので、事細かく指示命令をすることはできない。
それを「社長はこれをやってほしいんだろう」と、その意を汲んでやる。
つまり忖度する。
それが「デキる」人といえるのではないだろうか。
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