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2018年6月16日 (土)

大西瀧治郎 神風特攻を命じた男/西村誠

Photo 神風特別攻撃隊を生み出したのは、〝日本軍の風土〟だったのではないだろうか。つまり、明治以来積み重ねてきた日本軍の精神性が、ついには特攻という作戦を採用するに至らせたと考えられなくもない。

初めての特攻出撃を命じたのは大西瀧治郎だったという説がある。

確かに大西は初めて航空機による特攻出撃を命じた。

ただ、先に特攻出撃を命じられたのは『回天』部隊であった。

『回天』の出撃が、大西が命じた神風特別攻撃隊よりも遅くなってしまったに過ぎず、命令自体は『回天』の方が早かった。

そもそも、それまでにも、航空機による敵艦体当たりはなかったわけではない。

真珠湾攻撃時にも、制空隊の零戦搭乗員だった飯田房太大尉が、空中戦で被弾して帰投を諦め、アメリカ軍飛行場の格納庫に突撃して散華した。

ミッドウェー海戦では攻撃隊指揮官の友永丈市大尉が空母『ヨークタウン』に突入した。

南太平洋海戦では雷撃の神様と謳われた村田重治中佐の九七艦攻が被弾して、空母『ホーネット』に体当たり戦死した。

この海戦では、坂本明大尉の九九艦爆も『ホーネット』に体当たりしている。

これらの例は上官からの命令によるものではなかった。

友永大尉の例を除いては、自機が被弾し帰投できなくなったから、どうせ死ぬのだからと体当たりを選んだに過ぎない。

日本の敗戦が濃厚になった時、日本人の中に「どうせ死ぬのなら」「どうせ負けるのなら」という空気が生まれたのは想像に難くない。

現に、この時期、大西は「もう、体当たりでなければならない」と、周囲に漏らすようになっていたという。

迷いながらもいずれその日が来ることを実感していたのではないか。

つまり、誰であっても大西の立場に立っていたなら、特攻を命じたのではないかという推論は成り立つ。

では誰が大西に命じたのか?

軍隊である以上、大西が勝手にやったとは考えられない。

少なくとも上位者はそれを黙認したはずである。

そう考えると神風特攻隊は誰かが主導して行ったのではなく、当時の空気がそうさせたと考えられなくもない。

『空気』という存在、いかにも日本らしい。

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