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2018年6月12日 (火)

内閣官房長官秘録/大下英治

Photo 新聞記者が、
「官房長官が、肝腎の部分を握っていて、政局の切り札に使おうとしているんじゃないですか」
 と訊くと、後藤田は、にやりと笑った。
「君も、なかなか空想力に富んでいるな。新聞記者をやってないで、小説家になってはどうかね……」

官房長官の仕事は、総理を支える女房役であること。

省庁間にまたがる施策を調整する役割がある。

国会では、きちんと法案を通さなければいけない。

また、スポークスマンとして内閣の考えを内外に発する。

これらすべてを抱えると相当な重圧になる仕事である。

歴代の官房長官の中で評価の高い官房長官の一人に後藤田氏が挙げられる。

中曽根首相の官房長官であった後藤田氏。

後藤田氏には、「カミソリ後藤田」「ケンカ後藤田」「ホンネ後藤田」「ウソツキ後藤田」という異名のほかに、「オトボケ後藤田」というあだ名もある。

当時の中曽根首相には、行政改革を断行するという使命があった。

各省庁の予算を抑え、減税していかなければならない。

当然、各省庁の役人から、猛然と反対の声があがってくるのは必至だった。

にもかかわらず、中曽根首相は、確信に近いものを持っていた。

その反対の声を抑えこむことのできるのは、後藤田しかいない、と。

後藤田氏は、喧嘩は、めっぽううまい。

しかも、判断が早い。かけ引きも上手だ。

嘘も、平気でつく、それもわからないように……。

といって、肚の中をズバリと見せたりする。

官僚の操縦法を知り尽くしている……。

中曽根首相には〝不沈空母〟発言、対米武器技術供与、田中角栄議員辞職勧告決議案、国鉄法案と、いくらでも攻撃材料があった。

ところが当時の筆頭野党の社会党からほとんど攻撃されなかった。

当時、社会党の沈黙は、「後藤田官房長官の握っているレフチェンコ・リスト公開の恫喝に屈したせい」とまでささやかれた。

真偽の程は明らかではないが、何れにしても政界の表も裏も知り尽くして政権運営に利用する。

清濁併せ呑む。

その位のしたたかさがなければ、官房長官の職は務まらないのかもしれない。

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