フィンランド 豊かさのメソッド/堀内都喜子
フィンランドの試験には、日本でよくある穴埋め式や選択式というのはなく、基本的には論述式である。例えば歴史の問題であれば、「フランス革命について述べよ」といった問いで、解答には、年号だけではなく、革命が起きた背景、実際に誰が何をし、どうなったのかなど、かなり幅広い知識と論旨の流れが求められる。英語や国語にしても、小論文を書かされ、その中で文法、スペル、文章力がチェックされる。
フィンランドは人口わずか5百万人の国である。
にもかかわらず国際競争力は世界でもトップクラス。
でも、がむしゃらに働いているわけではない。
平均的な勤務時間は朝8時から午後4時まで。
フレキシブルな勤務時間を設けているところが近年多く、9時に行けば5時に仕事が終わり、基本的に労働時間は7時間半。
それ以外はあまり残業をしない。
いかに効率よく仕事をしているかがわかる。
効率の良さといえば、フィンランドの企業や学校でおこなわれる会議のスタイルにも同じことがいえる。
単刀直入に本題に入り、各自の考えや意見をストレートに述べて、その場で決定、解散となる。
感情面や人間関係の構築といったことにはあまり時間が割かれないため、一見、冷たくもみえるが、効率はとてもいい。
いかに少ない人数、そして少ない時間で効率良くものごとを進めていけるか。
こういった効率社会がフィンランドの競争力を支えている要因の一つ。
そしてそれを支えるのが、質の良い人材である。
フィンランドは他の国と対等にわたりあえる良い人材を創るために、国民全体の教育水準を高めることが必須であった。
その結果、90年代以降、教育制度の改革がおこなわれ、すべての国民に高等教育の機会が与えられるように様々な制度が整えられていった。
また、教育を担う教育者の質を高めるため、教育者の再教育も盛んにおこなわれていった。
フィンランドでは日本のような詰め込み教育は行われない。
創造力や考える力を養うような教育が行われている。
テストも穴埋め式や選択式のものはなく、基本的には論述式である。
論述式は本人の力を測るには効果的なのだが、一方、採点は難しい。
公平、公正という意味では問題がある。
逆に言えば、日本の教育は公平、公正にあまりに重点が置かれすぎているような気がする。
日本の教育も再検討すべき時に来ているのではないだろうか。
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