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2018年9月 1日 (土)

なぜ日本人は世界の中で死刑を是とするのか/森炎

Photo 死刑廃止論者として有名な刑法学者ベッカリーア(一七三八―一七九四)は、「最も大きな効果を及ぼすのは、刑罰の強さ(=死刑)ではなくて刑罰の長さ(=終身刑)である」として、終身刑の優位という観点から死刑を否定しました。ベッカリーアによれば、重罪人を死刑にしてしまうより、終身刑にして生涯懲役に服させたほうが、被害者への賠償も行われ、有効だとされます。また、一瞬で死刑にしてしまうより、一生涯罪に服させたほうが、人々の意識にも長く残ることになり、犯罪の一般的な予防が期待できるとされます。

地下鉄サリン事件の実行犯13人が死刑を執行されたことを受け、死刑制度の是非が問われている。

先進国の中で死刑制度があるのは日本とアメリカだけ。

しかもアメリカは州によっては死刑制度は廃止されている。

死刑の基準はどうかというと、日本の裁判で死刑に関する判断基準を示した有名なものに、永山事件の最高裁判所判決がある。

事件当時未成年(19歳)であった永山則夫に対する死刑の当否が問題になったときに示された見解だ。

それによれば、

「犯行の罪質、動機、態様、ことに殺害の執拗性・残虐性、結果の重大性、ことに殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状など」

を考慮し、

「やむを得ない場合に死刑の選択が許される」

ということになっています。 

つまり、「死刑になるのは3人以上殺害した場合で、2人殺害では死刑になる場合とならない場合がケースごとに判断され、1人殺害では原則的には死刑にはならない」といった大枠がある。

死刑制度の是非が議論されるとき、焦点になるのは、抑止力の問題である。

この点では、アメリカでは死刑廃止に踏み切った州と死刑を存続させた州とに分かれる中で、存廃いずれの州でも凶悪犯罪の数が大きく変わらなかったという事実もある。

死刑の犯罪抑止効果に関する研究も多数行われていますが、明確な形で抑止効果を実証できたものは、まだ現れていない。

また、犯罪被害者の遺族の感情の問題もある。

遺族が「死刑にしてほしい」と訴えるケースはよくある。

しかし、最も大きな問題は、もし冤罪だったら取返しが付かないという点である。

死刑にした後、無罪の証拠が出てきた場合、その命は戻ってこない。

恐らくこれが最大の問題だろう。

この辺りの事、しっかりと議論してもらいたいものだ。

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