他人を平気で振り回す迷惑な人たち/片田珠美
他人を平気で振り回す人は、しばしば自分自身を過大評価している。どうしてこんなに勘違いできるのかと周囲があきれるほど、自らの能力や容貌などを実際よりも高く評価していることも少なくない。
他人を平気で振り回す人はどこにでもいる。
多くはそのことに無自覚である。
たとえば、「うわべはいい人」が実際には他人を振り回していることがある。
彼らは自分をいい人に見られようとするあまり、怒りも敵意も抱いてないかのように装う。
しかし、心の中は毒を抑圧している。
それをこそこそと陰湿な形で吐く。
これらの人たちの特徴は二重基準であるということ。
たとえば、会議の際に、上司から「自由に発言しなさい。自由闊達な議論こそが、会社の発展につながる」と言われたとする。
それを真に受けた若い社員が、仕事の分担に対する不満やプロジェクトの古くささなどを率直に述べたところ、急に上司の機嫌が悪くなり、それ以後きつく当たられるようになったという例がある。
あるいは「今日は無礼講だ」と飲み会の席でいわれ、部下が普段思っている本音をいったところ、翌日、上司からこっぴどく叱られるという例もその類だ。
また、平気で他人を振り回す人は自己を過大評価している。
不安や恐怖からわが身を守るために自分自身を過大評価せずにはいられない人はどこにでもいる。
自分自身の過大評価を、自己愛の傷つきへの防壁にしているわけだが、その結果、目の前の現実を直視できず、現実的な判断ができなくなる。
その結果、他人を振り回す。
結局、等身大の自分をそのまま受け入れていない人が、自己を肥大化させ、結果として他人を振り回してしまうということではないだろうか。
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