定年バカ/勢古浩爾
わたしは今年で定年後十年になる。一日一日ほとんどなにもしなかったら、十年経ってしまった。細々と文章は書いた。しかしその大半はテレビ三昧、読書三昧、DVD三昧の日々だったといっていい。いやいや、今日もまたなにもせずに、朝までYouTubeを観てしまったな、こんなんでいいかね、と一応自分に形だけの反省はさせてみたが、じつをいえばそのような日々は悪くはなかったのである。なんの後悔もない。
平均年齢が80歳を超えようとしている現代、定年後どのように過ごすのか、様々な書籍が出ている。
健康の問題、財テクの問題、相続の問題、余暇の過ごし方の問題、等々、様々である。
定年はだれにとっても初めての経験である。
だが、わたしたちは幼稚園に入るときも、小学校入学もはじめての経験だった。
入社もそうだ。
幼稚園に入るとき、だれからも入園の心構えやコミュニケーションの取り方など教えてもらわなかった。
知らない人間ばかりの、なにもわからない場所にいきなり放り込まれて、幼い頭といつの間にか形成されていた性格だけで、なんとかやってきたのである。
なぜ「定年」のときだけ狼狽えて、先輩たちの経験を読み聞き、専門家の話を聞きたがり、いろいろな情報を知ろうとするのか。
あまりにも過剰に考えすぎているのではないか?
これが著者の言わんとしていることである。
そもそも定年後をどう過ごすかなんていうことは、人それぞれであって、これが正しいとか、かくあるべきなんていうものでもない。
定年はすべての人にとってフロンティアである。
これがあたりまえの考え方である。
シンプルすぎるほどシンプル。
私もこの考え方には100パーセント共感できる。
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