ことわざで働き方を考えよう/戸田智弘
人は人中、田は田中
「自分らしさ」「自分探し」という言葉に象徴されるように個性を大切にする時代になってきている。
これはこれでいいと思うのだが、問題なのはこれが競争を否定する論調へ進展することだ。
「競争は悪!」と言わんばかりの単純思考は明らかに間違っている。
果たして競争は悪なのか?
競争は悪ではない。
どんな企業だってその業界での一番をめざして競争している。
アスリートはナンバーワンを目指して厳しい練習を積み重ねる。
もともと「競」は「二人の人間が立ち並ぶ」という意味、
「争」は「引っ張り合う」という意味である。
要するに、「おおよそ同等の力量を有した人間同士の力比べ」
それが競争ということだと考えられる。
二つ目の勘違いは個性についての解釈である。
人間は生まれつき個性を持っているわけではない。
個性は、集団の中で比べ合ったり、競い合ったり、真似したり真似されたりしながら、育っていくものだ。
集団の中でこそ個性は育つ。
このことを忘れた、単なる「自分らしさ」は単なる言い逃れにしか見えないのではないだろうか。
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