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2019年1月26日 (土)

はじめて読む人のローマ史1200年/本村凌二

1200 ローマが、負けても失敗しても最後には勝利をつかんだのは、一度の失敗でその人を評価せず、人の可能性を信じ、再起のチャンスを与え続けたところにあったのだと思います。

ローマはなぜ1200年も存続したのか。

様々な理由があるのだろうが、その中の一つに人材の用い方があるのだと思う。

例えば敗戦将軍の扱い方。

これはギリシア人とローマ人の大きな違いがあった。

ギリシア人は敗戦将軍をけっして認めなかった。

たとえば、ギリシアの歴史家トゥキディデス。

彼は、ペロポネソス戦争を実証的に綴った『戦史』の著者として有名だが、元はペロポネソス戦争に参加した将軍の一人。

それが紀元前422年、トラキアのアンフィポリス近郊で敗北すると、そのままギリシアへは帰らず、亡命してしまった。

彼が逃亡したのは、アテナイに戻っても受け入れてもらえないことがわかっていたから。

ギリシアでは、敗戦将軍は良くて追放、悪ければ処刑だった。

なので、ギリシアの敗戦将軍はみんな祖国に帰らず、戦場から逃亡するのが当たり前になっていた。

これに対し、ローマ人はたとえ敗戦将軍であってもそれが勇気ある戦いをした結果であれば迎え入れた。

例えば、紀元前216年、第二次ポエニ戦争における会戦のひとつカンナエの戦いで、ローマはカルタゴに大敗北を喫する。

ローマ軍の死者数は7万とも言われており、壊滅状態だった。

ローマ軍を壊滅させてしまった敗戦将軍はガイウス・テレンティウス・ウァッロ。

ギリシアならば、当然のごとく処刑されていた。

しかし、ローマは彼ですら受け入れた。

なぜ、ローマ人は敗戦将軍を受け入れたのか。

それは、敗北したことによる屈辱感で、敗戦将軍はすでに十分な社会的制裁を受けていると考えたから。

ローマ人は敗戦将軍を許し、ただ迎え入れただけでなく、機会があれば再び将軍に任命し、雪辱のチャンスを与えた。

なぜなら、屈辱を経験した人間はそれをバネに努力し、失敗した人間はそこから学ぶので、次の機会には必ずやそれまで以上の力を発揮し、結果を出すと考えたか。

事実、ウァッロもその後、再び兵を率いて戦地に赴いている。

そして、ここがローマの強さにつながっているのではないだろうか。

1200年も国家として存続するのは、それなりの理由があるということであろう。

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