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2019年1月11日 (金)

戦争と諜報外交/白石仁章

Photo 杉原が命懸けで得た情報とは、在ケーニヒスベルク総領事館で総領事代理を務めていた1941年の5月9日に送った電報第8号に記された、ドイツ軍がソ連侵攻の準備を極秘に進めているという情報である。この電報に記された情報こそ、内容面から考えても、独自性から考えてもまさに重要情報であった。

本書では、齊藤博、杉村陽太郎、来栖三郎、杉原千畝という4人の諜報外交について記している。

この4人のうち、一番有名なのはやはり杉原千畝だろう。

杉原は「命のビザ」で有名だが、実はスーパー級のインテリジェント・オフィサーだったという。

無謀な戦争をしないためには諜報外交が非常に重要だ。

諜報には、いかに情報提供者の信頼を勝ち得るかがポイントになる。

杉原が信頼を勝ち得た理由とは、協力者を絶対に守る、その一点に尽きた。

立場が弱い者たちが協力する相手に求めるものこそ、「この相手ならば絶対に自分たちを裏切らない」という安心感である。

杉原には、それがあったからこそ、協力者に恵まれ、成功を収めることができた。

杉原は命を賭して、ドイツが対ソ戦に備えていたことを、自分の目で見て、それを日本に伝た。

ヒトラーは対ソ戦の目くらましのために、日本を徹底的に利用したということである。

実際に、ドイツ軍がソ連に侵攻したのは6月22日であった。

杉原の情報はそれより1月以上も前に届いていた。

この情報が政府首脳の間で共有され、対策を考えるには十分な時間があったと思われる。

では、なぜ参謀本部はきっぱりと、ドイツに縁切り状を突きつけなかったか。

この辺り、当時の日本の情報に対する感度の低さを物語っている。

日本は情報戦で負けたといってよいのかもしれない。

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