« 石原莞爾の世界戦略構想/川田稔 | トップページ | 日本と台湾/加瀬英明 »

2019年1月13日 (日)

日本人と中国人/陳舜臣

Photo 川端康成がかつてハワイ大学で、日本のこころとして、しきりに『以心伝心』のことを説いた。
 この言葉そのものは、中国の宋代の僧道原の編した『景徳伝灯録』から出ているが、説得を抜くところは、まちがいなく日本の性格である。

直木賞作家、陳舜臣氏が日本人と中国人を比較して論じている。

ここではその一つの例そして「以心伝心」について書いている。

陸つづきの中国には、支配地を安心して託すべき海がない。

いつも外敵に眼を光らせていなければならず、異分子の流入も避けがたい。

島なら土地は限定されているが、大陸の場合は、好むと好まざるとにかかわらず、一つの政権の支配地は、ときには拡大し、ときには縮小する。

拡大すれば、そこには新しい条件が生み出され、異分子を抱え込まざるをえない。

それをまとめようとするには、眼くばせ一つで事足りるというわけには、いかないのである。

どうしてもゆるがせにできないのは、説得の努力なのだ。

だから説得なしの「以心伝心」はあり得ない。

一方、同じ「以心伝心」という言葉を使っても日本では全く意味が違う。

文字や言葉を使わなくても、お互いの心と心で通じ合うことを言う。

本書は50年近く前に書かれた本である。

この当時と今とでは、世界における日本の立場は全く違う。

この当時は、日本も「以心伝心」でもよかった。

しかし、今日、日本の「以心伝心」の姿勢は日本に不利に働いている。

特に世界に対しては、以心伝心ではなく「主張すべきことははっきりと言葉で主張する」ことが大事になってきている。

その意味で、時代の流れを感じさせる本である。

« 石原莞爾の世界戦略構想/川田稔 | トップページ | 日本と台湾/加瀬英明 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 日本人と中国人/陳舜臣:

« 石原莞爾の世界戦略構想/川田稔 | トップページ | 日本と台湾/加瀬英明 »