ギャンブル依存症/田中紀子
あのときこうだったら当たっていた、次にこうしたら当たるだろう、と考えることでドーパミンが大量に分泌されます。それが快感であるため、ギャンブルに関わる思考を止められなくなってしまいます。
世界保健機関がギャンブル依存症にかかっていると考えられる人たちが日本では成人全体の4.8%、つまり約20人に1人いると推定されるという。
ギャンブル依存症と聞くと、多くの人は意思が弱い人と考えてしまう。
しかし、人の意思のせいにしている限り、この問題は決して解決しない。
また、依存症に陥っている人には、自分が依存症である事を認める事ができず、問題を過小評価する事がしばしばある。
ギャンブル障害の症状を知っても「自分は違う」、「自分は最後には勝つから大丈夫」、「自分はあの人に比べたらましだから大丈夫」などと感じる傾向があり、このように感じてしまうことが、やめられない原因になる事もある。
依存症者が追い込まれていくと、普通の人にはわからないほど切羽詰まった感覚が強くなる。
脳が機能不全に陥り、とくに前頭葉の動きが悪くなって思考回路がうまく働かないようになると言われている。
特に快楽物質と言われるドーパミンの影響は大きい。
依存症はドーパミンの制御障害だともいえる。
ドーパミンは本来、やる気になったときや誰かに褒められたとき、誰かの役に立ったときなどにも出るもの。
仕事や勉強、スポーツで成果をあげるなどといったプラス効果につなげられる。
ところが、ギャンブル依存症になると、ギャンブルをしているときだけ大量にドーパミンが分泌されすぎてしまい、その暴走を抑える機能に障害が現われていると考えられている。
ギャンブル依存症は結果として犯罪につながることが多い。
その意味でまずは正しい知識を身に付け、社会で対策を立てる必要があるということであろう。
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