絶滅の人類史/更科功
つい私たちは、進化において「優れたものが勝ち残る」と思ってしまう。でも、実際はそうではなくて、進化では「子供を多く残した方が生き残る」のである。「優れたものが勝ち残る」ケースはただ1つだけだ。「優れていた」せいで「子供を多く残せた」ケースだけなのだ。
本書のテーマは、なぜ「私たち」が生き延びたのかというもの。
本書を読むと、現代人にいたる道程は偶然と危険に満ちていて、人類進化の途上で生まれては消えていった数々の近縁な「人間たち」がかつていたことを知る。
本書は近年急速に蓄積されてきた祖先人類の化石資料の知見や化石DNAの新しいデータをふまえて、われわれ現代人がどのような進化史をたどってきたのかを解説している。
約5万年前に、ホモ・フロレシエンシスが絶滅した。
約4万年前に、ネアンデルタール人が絶滅した。
その前後に、デニソワ人が絶滅した。
そして現在、生き残っている人類は、私たちホモ・サピエンスだけになってしまった。
もし、私たちが他の人類を虐殺したのでないとすれば、どうしてみんな絶滅してしまったのだろうか。
本書はあくまで仮説なのだが、そのヒントを示している。
でも、謎は謎のままでもいいような気がする。
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