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2019年3月の29件の記事

2019年3月31日 (日)

ソフトボール眼/宇津木妙子

Photo_7 この"性格分析ノート"を書かせる習慣は10年以上も続き、最初は白いスペースが多かった選手でも、やがてノートに書くことが苦でなくなってくる。すると、他の人間に対する洞察力がついていく。


女子ソフトボールの日本代表を最強チームに育て上げた著者。

日々のその取り組みの数々を本書で綴っている。

中でも印象に残ったのは「洞察力」をいかにつけるかという個所。

ソフトボールはピッチャーとバッターとの距離が野球に比べて短い。

そのため、ピッチャーの投げた球をただ打ち返そうとしても振り遅れてしまう。

だから、バッターは相手ピッチャーの配給を読む力、ピッチャーには相手バッターの待っている球を読んでその裏を取ることが求められる。

つまりソフトボールとは心理戦だというのである。

「洞察力」は「ヤマ勘」とは違う。

「洞察力」にはちゃんとした根拠のある先を読む力。

では「洞察力」を鍛えるにはどうすればよいのか。

著者はそのために「性格分析ノート」を選手に書かせたのだという。

「自分から見た自分の性格」「自分から見たチームメイトの性格」を書かせた。

これを続けていくうちに、投手陣は相手バッターのしぐさやクセから、考えていることを見抜けるようになったという。

「洞察力」とは日々の気づきの積み重ねの上に養われるということであろう。

2019年3月30日 (土)

人は「暗示」で9割動く!/内藤誼人

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 意識して行っているのか、あるいは数多くの経験をもとに自然と行っているのかは別として、実は、デキる人の多くが「暗示コミュニケーション」を実践している。

人は感情によって動く。

そして、理性的と思い込んでいる脳は非常に暗示にかかりやすい器官である。

だから、人を動かそうと思うなら、この「暗示」を利用すること。

例えば、印象的なキーワードを散りばめながら手短に話すと説得力が増す。

逆に長々と話すと、相手に対する影響は減少する。

また、物事には、ポジティブなものと、ネガティブなものの両面がある。

人に伝えるときには、ポジティブな物言いのほうが好まれるという原則がある。

だから、相手に良い印象を与えたいなら、ポジティブな物言いを心掛けること。

失敗を繰り返す部下に対して、「次は絶対失敗するなよ」というのは逆効果。

逆に「あと100回は、失敗したっていいぞ」「あきれるほど失敗してみろよ」と、いう方が効果的。

これにより、部下はリラックスして失敗が減る。

また、メッセージには数字を入れた方が説得効果が増す。

ワシントン大学のリチャード・ヤルチ助教授が126名のビジネスマンを対象にした実験がある。

その実験とは、数値を含むメッセージ「コンピュータを導入すると、人件費は5%から 45%も削減できます」と、数値を含まないメッセージ「コンピュータを導入すると、人件費がかかりません」を比較するというもの。

結果、前者のほうが、はるかに説得効果が高くなるという結果を得ている。

アムステルダム大学のW・ファン・エルデ博士によると、(1)結果の魅力 (2)結果の望ましさ (3)結果から予想される満足感 (4)結果の重要性、という結果をもたらすという見込みがあるとき、人は心を動かされるらしい。

だから、人を説得しようと思うなら、これら(1)~(4)を意識していれるとよい。

さらに、視聴率を上げるワードがあるというもの面白い。

テレビの視聴率調査によると、 ドラマの場合、タイトルに「殺人」をつけると、平均して1.6%視聴率が上がり、「グルメ」がつくと2%、「美人」「OL」がつくと3%も視聴率がアップするという。

これらはすべて人はいかに暗示にかかりやすいかを表している。

上手に利用することだろう。

2019年3月29日 (金)

大人のためのメディア論講義/石田英敬

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 私たちは人と話しているのではなく、電話と話をしている。私たちは世界を見ているのではなく、コンピュータの画面を見ている。このような心の代理装置を介して、私たちは人々とも世界ともつながっているわけです。「心の装置」を外部化して持ち歩き、その中にいろんな記憶を溜め込んでいって、そこから経験を思い出すことをしている。これこそが、メディア化された世界を生きているということです。


私たちは、モバイル機器に囲まれて生活している。

私たちの得る情報の大部分はメディアを通しての情報である。

その情報によって物事を考え判断している。

この流れが出たのは20世紀に入ってからだ。

20世紀、2つのメディア革命を経て加速する。

第一に、写真・電話・映画などの技術が人間の意識できない瞬間を記録するようになった。

第二に、広告・マーケティング技術が我々自身より先に消費・欲望を生み出し、デジタル機器が人間の生活全体を統治していくようになった。

私たちはメディア革命によって生み出された世界にどっぷり浸かって生活している。

「メディア」が今や空気のような存在である。

どっぷり浸かっていることも気づかずに支配されていることや先取りされてしまう世の中を生きている。

今や、メディアが四六時中私たちに付いて歩いている。

たとえば、電車に乗っている人のほとんどがスマホをいじっている。

良い悪いは別にして、少なくとも私たちの生きている世界が20世紀のメディア革命によって変容してしまっているという意識は持つべきだろう。

2019年3月28日 (木)

幸せをつくる 未来脚本/夢野さくら

Photo_4「『感情』の次は、その感情のプラスマイナスに沿った何かが引き寄せられてくる。プラスの感情なら、プラスの出来事が。マイナスの感情なら、マイナスの出来事が。これを世間では、『引き寄せの法則』って呼ぶのよ」


以前ベストセラーとなった「引き寄せの法則」という本がある。

本書はそれをもとにしたストーリーとなっている。

内容は主人公のアラフォー女性が「未来脚本」を書くことによって幸せを引き寄せるというもの。

「未来脚本」は自分の理想の人生を脚本にするもの。

「未来脚本」は、約3年後の未来の1日を、脚本形式で書いていく。

朝起きてから夜寝るまで、理想の1日を過ごしている自分を、丸1日分イメージして、全てを脚本にしていく。

そしてその脚本を、潜在意識に落とし込んで行く。

そうすると、どんどんその脚本に書いたことが現実に起こってきて、いつの間にか自分の未来が、その脚本通りなる。

考えたことが現実になる順番は、考えて、感じて、引き寄せて、選択して、行動する。

これが、願いが叶う順番でもある。

少なくとも、潜在意識に未来のよいイメージを落とし込んでいくというのは効果のある方法ではないだろうか。

2019年3月27日 (水)

国家と教養/藤原正彦

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 通常は嗅覚により自分にとって価値ある情報を選択しているのです。
 その嗅覚は何によって培われるのでしょうか。教養とそこから生まれる見識が大きく働いているのです。

今、ネットには情報があふれている。
恐らくその中に自分の知りたい情報も含まれているのだろう。
ところが、逆にこの世に溢れる情報の99.9999%はゴミ情報である。
誰しも、有限の人生において、無価値の情報に関わっているヒマはない。
自分にとって価値のある情報だけを選択したい、とすべての人々が思っている。
それらがその人の判断力の基盤となるからだ。
それでは人間は、耳目に入るありとあらゆる情報から、どんな物差しにより価値ある情報、自分にとって有意義な情報を選んでいるのか。
それは嗅覚である。
人は嗅覚によって情報を選択している。
人はそれぞれその人独自の嗅覚を持っている。
では嗅覚とは何か?
著者は、それは、教養とそこから生まれる見識だという。
では、教養とは一体何か、ということになる。
ところが教養というものの定義は余りに多く、人により千差万別と言ってよいほどだ。
ただ、恐らく現在もっとも共有されている教養とは、「古典や哲学などの知識とそれらを通した人格の陶冶」というような概念であろう。
そして現代人にもっとも欠けているのは、その教養だという。
変化が激しく情報が氾濫する現代だからこそ教養が大切な時代になったといってよいのかもしれない。

2019年3月26日 (火)

より少ない生き方/ジョシュア・ベッカー

Photo_2 「自分は幸せだ」と信じれば、その瞬間から誰でも幸せになれる。おそらくこれは、人生でもっとも大切な教えの1つだろう。

「幸福」というものは極めて主観的なもの。

 

今の自分が幸せだと思えば、その瞬間、幸せになれる。

 

逆にどんなにお金があっても、事業で成功しても、人から賞賛されても、それ幸せだと思わなければその人は幸せではない。

 

つまり、幸せとは所有物によるのではなく、その人の心の持ち方によるのである。

 

むしろ、所有物は、私たちを幸せから遠ざけることが多い。

 

著者は「ミニマリズム」を説いている。

 

ミニマリズムとは、「いちばん大切にしているものを最優先にして、その障害になるものはすべて排除すること」と定義される。

 

ミニマリズムとは、すべてを手放すことではない。

 

大切なことを手に入れること。

 

いちばん大切にしているものを最優先にして、その障害になるものはすべて排除する。

 

大切なのは、自由になれたと実感できるレベルまで、所有物を減らすこと。

 

現代は大量消費社会である。

 

しかし、いくら消費しても、「満足して幸せになれる」という約束は絶対に果たされない。

 

過剰な消費は、むしろ私たちから自由を奪い、さらに物欲を刺激する。

 

買わなければという焦りが重荷になり、そして後に残るのは後悔だけだ。

 

ものを所有することで満たそうとしている欲求は、実はものを所有することでは決して満たされない。

 

私たちは、「必要なもの」と「欲しいもの」の区別がつかず、「安心」と「快適」を混同している。

 

大切なことは、本物の喜び、生きる意味、長続きする満足感をもたらしてくれる何かに、心を結びつけるようにすること。

 

それはたとえば家族であり、友人であり、精神生活であり、大切にしている大義だ。

 

大切な時間やお金、エネルギーは、本当に大切なもののために使わなければならない。

 

少ないもので暮らしていると、もっとたくさんのものを与えられるようになる。

 

著者はミニマリズムは、意味のある人生を手に入れるいちばんの近道だ」という。

 

本当の幸せについて考えさせられる本だ。

2019年3月25日 (月)

ティール組織/フレデリック・ラルー

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 混沌とした時代に最も危険なのは、混沌そのものではなく昨日と同じ論理で行動することだ。
 ──ピーター・ドラッカー
ティール組織、直訳すると、進化型組織。
進化型組織には上下関係も、売上目標も、予算もない。
従来のアプローチの限界を突破し、圧倒的な成果をあげる組織が世界中で現れている。
それをまとめたのが本書である。
従来の順応型組織と達成型組織には組織図がある。
組織図は複数の箱とそれらをつなぐ線でできている。
箱には肩書と職務の内容が書かれており、職務内容を見れば人々がその職務から何を期待されているのかがある程度わかる。
社員は自分が就いた職務に順応しなければならない。
進化型組織ではこの前提がくつがえる。
人々は事前に決められた仕事に無理に合わせる必要がなく、自分の仕事は、興味や才能、組織のニーズに基づいて自ら選んださまざまな役割と責任によって決まっていく。
進化型組織では、役職と職務内容は社員がそれぞれ担っている役割の組み合わせを正しく表していない。
固定的な名称では組織内で流動的に変化していく職務内容を説明しきれないからだ。
進化型組織の視点からすると、役職はエゴにとっての蜜のようなものだ。
あまりにおいしくて夢中になるのだが、結局は健康を害してしまう。
役職に社会的名声が伴っていると離れられなくなる。
そしてたいてい自分がその役職「そのもの」であると勘違いしてしまう。
階層制度の中に入ると、自分はだれかよりも「上」だ、「下」だと考え始める。
だからほとんどの進化型組織には、ある意味当然だが役職がない。
今日の組織が前提としている考え方がある。
それは、
労働者は怠け者だ。見張られていないと、勤勉に働かない。
労働者はもっぱらお金のために働く。なるべくたくさんのお金を稼ぐために必要なことをする。
労働者は組織にとって何がベストかよりも自分の利益を優先させる。彼らは自分さえよければよいと思っている。
労働者は繰り返し可能な単純作業をする場合に最も効果的に働き、最も高い成果を上げる。
労働者には会社の業績に影響を及ぼすような重要問題について正しい判断をする能力がない。それが得意なのはトップや組織の管理職だ。
労働者は会社の業績に影響を及ぼすような責任が重い仕事をしたがらない。
子どもが親の保護を必要としているのと全く同じように、労働者は保護を必要としている。
これらは言葉にするとかなり厳しく響くが、今日の組織が前提としている考え方だ。
しかし、この考え方を脱していかなければ進化型組織に変わることはできない。
前提から考え直す時期に来ているのかもしれない。

2019年3月24日 (日)

「部下ノート」がすべてを解決する/望月禎彦

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 このノートは、部下の気になった行動や言動を、最低1行ノートに書くだけ。
 だらだらと書かずに、1行でいいのです。
 そして、自分が部下に行った指導も1行書くだけ。おそらく、今までで最も簡単な部下育成法です。

様々な部下育成法があるが、「部下ノート」は、中でも最もシンプルな部下育成法だろう。
上司というのは、部下の対して何を語り、何を指導したのかを意外と覚えていないもの。
また、自分のクセも自覚していない。
また、部下のことも分かっていないことが多い。
部下の行動をノートに記録していくと、部下それぞれの特徴がわかってくる。
部下の弱点が見えてくる。
数字ではわからない部下1人ひとりの弱点に気づけるのが部下ノート。
だから、最短距離で部下が弱点を克服できる。
部下ノートに記録される部下の行動には、辞める理由が見え隠れしている。
上司への不満なのか、会社の待遇に対する不満なのか、職場の人間関係が悪いのか、与えられる仕事に満足していないのか。
それが見えてくる。
だから「辞めます」と言われる前に対策をとることができる。
上司としてはノートをつけたり、そこで気づいたことを利用して指導したりすると考えると、今以上に仕事が増えると思う方もいるかもしれない。
ところが逆に、そこで時間を使うことで、自分の仕事がどんどんラクになる。
無駄な時間が無くなってくる。
具体的な部下ノートの流れは、
STEP1 気になった部下の行動を書く。
STEP2 部下に指導したことを書く。
STEP3 部下の行動が変わったか、成果につながったか○△×でチェックする。
目安は部下の行動は1週間後、成果につながったかどうかは3週間後。
STEP4 今後の指導を考える。
チェック項目は2つ。
1つは週単位でチェックする、部下の行動変化。
○(変わった)、△(変わりつつある)、×(変わっていない)の3段階で評価する。
1回2~3行、しかも毎日書く必要もないので、それほど負担にならない。
まずはやってみることだろう。

2019年3月23日 (土)

4倍速で成果を出す「チームリーダー」の仕事術/高橋恭介

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 私がめざすチームマネジメントは、「この指とまりたい」マネジメントです。
 これは、チームリーダーが「この指」の先にあるものをメンバーに明確に示し、「チームリーダーの指にとまりたい」と思わせるというものです。チームのベクトルとメンバーの目線を合わせることで、自発的な貢献意欲(エンゲージメント) を引き出します。

著者の述べている、三つの「この指マネジメント」という、たとえ話は面白い。

一つ目の「この指とまれ」マネジメントは、いわゆるトップダウン型のマネジメントを表している。
創業経営者やワンマン型のチームリーダーに多いのがこのタイプ。
これまでの実績と強烈な個性のもと、「言わなくてもわかるだろう」とあうんの呼吸でマネジメントを行う。
個人の感情に関係なく、一人ひとりの特性に合わせることもなく、いいから俺の言うことを聞けというマネジメントが、「この指とまれ」マネジメント。
ほんの20年くらい前までは、この高圧的な「この指とまれ」マネジメントが主流だった。
ただ、現在では、高圧的で強制力の強いマネジメントを行うと、パワーハラスメントで訴えられる可能性がある。
メンバーの離職にもつながる。
メンバーのモチベーションが下がる大きな要因にもなる。
そのため、最近は「この指とまれ」マネジメントの対極のマネジメントが一気に増えている。
それが、メンバーひとりひとりの「この指」にチームリーダーのほうからとまりにいくような「どの指にもとまります」マネジメント。
その結果、社員のモンスター化を助長したり、メンバーに「言えば通るんだ」という誤解を与えた。
チームや会社の規律、モラルを崩壊させている。
一度、モラルが崩壊してしまうと、もとのモラルがある状態に戻すのは至難の業だ。
「どの指にもとまります」マネジメントは、チームリーダーとメンバーの距離が近くなり過ぎてしまい、なあなあの緩んだ関係を生む。
そして、メンバーの横暴を生んでしまう。
終身雇用、年功序列の企業では、「この指とまれ」という昭和のマネジメントが主流だった。
それが限界を迎え、一気にダイバーシティだ、働き方改革だと言われ、メンバーに迎合し過ぎたマネジメントが増えている。
「この指とまれ」でも「この指にもとまります」でもない、三つ目のマネジメント、それが著者が勧めている「この指とまりたい」マネジメントである。
これは、チームリーダーが「この指」の先にあるものをメンバーに明確に示し、「チームリーダーの指にとまりたい」と思わせるというもの。
これは手間のかかるマネジメントだ。
「この指とまれ」マネジメントで「いいからやれ」と命令するのは簡単だし、「どの指にもとまります」マネジメントで「メンバーから言われたことに応えるだけ」というのも簡単にできる。

しかし、その中間の距離感を保ちつつ、メンバーの貢献意欲を引き出すのは簡単なことではない。
何よりも大事なのは、どうやって、「この指とまりたい」とメンバーに思ってもらうのかということ。
大前提として、チームリーダー自身が「~しなければならない」という考え方から、「~したい」という考え方に変わることが不可欠。  
そして、この考え方をチーム全体に浸透させ共有していく。
困難なことだが、今、求められているマネジメントはこれではないだろうか。

2019年3月22日 (金)

先送りせずにすぐやる人に変わる方法/佐々木正悟

Photo リストに「やるべきこと」や「やりたいこと」を パッキングして書き出してみると、脳はワクワクします。

人生をみずから変え、好転させていける人。

それは「行動力のある人」。

人生を好転させられる人とは「すぐやる」達人のこと。

結果を出せる人は誰よりもすぐに行動している。

そのために、まず大事なことはリストに「やるべきこと」や「やりたいこと」書き出してみること。

しかし、それだけではすぐやる人にはなれない。

それは書き出した段階ではパッキング、つまり大きな塊の段階だから。

夢を紙に書く、という段階はパッキングの段階。

例えば「起業して成功する」という夢はパッキング。

これをきちんと分解して「現実化」していく必要がある。

すぐできないときは漠然と思い描くのではなく、分解していって、すぐできることを探してみること。

どんどん分解するクセがつけば自然と「すぐやる」人になれる。

すぐやれない人は、イメージが漠然としている。

そして「最初の一歩」を踏み出すための作業を「誘導タスク」 という。

この段階までいかに分解するか、

すぐやる人になるためには、「誘導タスク」をいかに作るかがポイントの一つだと言ってよい。

そして、本書ではこのような「すぐやる人」になる方法が55、紹介されている。

自分に合ったやり方で、やってみることだろう。

2019年3月21日 (木)

評伝 出光佐三/高倉秀二

Photo 「出勤簿がない、定年制がない、労働組合がない、残業手当を社員が受けとらない等々の形をみて、出光の経営は変わっているということをよく言われる。しかし私から言えば、何も私が特別のことを考え出してやっているのではない、ただ 日本人として日本人らしく経営しているだけだ と思っている」

「社員は全員家族である」とした佐三氏が行ったそのユニークな経営スタイルは「出光の七不思議」と呼ばれた。

その七不思議とは、

1.馘首(解雇)がない

2.定年制がない

3.労働組合がない

4.出勤簿がない

5.給料を発表しない

6.給料は生活の保証であって労働の切り売りではない

7.社員が残業代をもらわない

以上である。

この会社には創業以来、出勤簿やタイムレコーダーがなく、解雇も定年制もない。

また権限の規定もなければ、罰則さえない。

さらに労働組合もなく、従って労働争議など一度も起きた例がない。

しかも社員は残業しても残業手当を受け取らないという、およそ現代離れした社風が連綿と受け継がれている。

確かにこれらは現在の合理性を追求する経営から考えれば、不思議というより非常識である。

でも、この会社の存在自体、経営とは結局社員を信頼することで成り立っているという原点を考えさせてくれるのではないだろうか。

2019年3月18日 (月)

思考を広げる まとめる 深める技術/太田薫正

Photo 「広げる」力が弱いと当たり前のアイデアしか出せないことになりますし、「まとめる」が弱いといろいろなアイデアを考えても行動に役立てにくく、他の人に伝えることもむずかしくなります。また、「深める」力が弱いと、間違った結論を出してしまうケースが多くなります。

考えるとはどういうことか。

端的に言えば「広げる」「まとめる」「深める」こと。

「広げる」とは、考え、案などを、ときにはゼロからさまざまな方向に伸ばしていくこと。

「まとめる」とは、バラバラな考えや情報を整理し、扱いやすくすること。

「深める」とは、考えていることの正しさや価値を判断し、さらによくしていくこと。

この3つの分野で、考えることのかなりの範囲をカバーすることができる。

3つの力はどれも考える基礎になるものだが、およそ次のようなことを行う。

「広げる」

目標は、バランスよく、質のいいアイデアを、たくさん出すこと。

ここでの質というのは正しいという意味よりむしろ、当たり前でないこと、面白いことなど。

頭が活性化すれば、自然と質はついてくる。

バランスを考え、ある方向のアイデアがまったく抜けているということを避けるようにする。

量を出していくと、それ以上、考えが広がりにくくなる壁が出てきる。

手法や方向性を変えながら、こうした壁を越えていく。

慣れていないことについて考えるときは、最初からこの壁がある。

重要な問題のときは、いくつもの壁を越えて「出し尽くす」ように頑張る。

「まとめる」

「広げた」あとは、アイデアが生の状態にある。

全体像がつかみにくく、矛盾や混乱もあるのが普通。

「まとめる」ことで価値あるものにアイデアを絞り、表現を整理して、活用しやすくする。

「深める」

考えの正しさ、考えに価値や意味があるかを確かめる段階が「深める」ということ。

当たり前の考えではあまり意味がないこともある。

この過程で間違いやあいまいさを発見すると、考えが深まり、新しい考えが生まれていく。

そして、考え始めた目的が達成されたのかどうかも確認する。

以上、3つの考え方は頭の働かせ方が違い、それぞれにコツがある。

「広げる」では、正しいかどうかを気にせず、自由に案を出していく。

「まとめる」では、腰を据えて、とにかくまとめ切る、割り切りも必要。

「深める」では、本当にこれでいいのかと、意地悪に疑ってかかる。

このように3つの力は頭の使い方のモードが異なるが、実際には連携して使うことになる。

本書では様々な方法が紹介されているが、最初は「広げる」「まとめる」「深める」それぞれで1つずつでも得意な方法をつくり、いつでも使えるようにするとよい。

習うより慣れろということだと思う。

2019年3月17日 (日)

大人のための言い換え力/石黒圭

Photo 文章を書くという行為は、言葉を生みだす行為ですが、無から有を生みだす行為ではありません。頭のなかにある見えない言葉を、文字という見える言葉に言い換える行為です。
 私たちの言語活動は本質的に言い換えです。

言葉は伝達のための手段である。

頭の中にあるものを文章にしたり話したりして言葉に変換し相手に伝える。

しかし、この言葉に言い換える技術の優劣によって、相手への伝わり方が変わる。

キチンと相手に伝わることもあれば、間違って伝わることもある。

場合によっては、その言い換えた言葉によって、誤解を生んだり、相手を傷つけたりする。

言い換え力も鍛えていく必要があるということである。

言い換えにはいくつかのポイントがある。

本書ではいくつかのポイントが紹介されている。

・和語を硬い漢語に言い換えてかっちり表現する。
(例)「きまり」→「規則」

・和語や漢語を硬い外来語に言い換えて斬新に表現する。
(例)「前菜」→「オードブル」

・伝統的で趣のある和語である雅語に言い換えてしっとりと表現する。
(例)「電気がつく」→「明かりが灯る」

・感覚的な表現を「形容詞+名詞」の組み合わせで分析的に表現する。
(例)「有名だ」→「知名度が高い」

動詞・形容詞の冗長な表現を情報を凝縮した名詞表現で引き締める。
「多い少ない」→「多寡」

難しい二字漢語をわかりやすい表現に言い換える。
(例)「齟齬」→「食い違い」

ちょっとしたことだが、これによって相手への伝わり方が違ってくる。

日々努力して、一つひとつ身に付けてゆけばよいのではないだろうか。

2019年3月16日 (土)

在野研究者の生と心得/荒木優太

Photo「50本書いてもごらんのとおりルンペンだ。理由は簡単で、方法論と学問基礎理論と実証をやったから。社会科学の場合には、本人自身の感覚が問題なので、それがなければ、おまえは問題意識が狂っている、政治学なんかやる資格がないという。問題意識なんてどうしても主観が入るものだから、あいつの問題意識はなっていないといわれればそれまでなんです。方法論や理論は権力をもって弾圧される。実証はわずかに許されるというわけで、新しい学問をやる人はルンペンにしておく。はっきりいうと、いまの日本の大学はナチスや軍国主義者以下である」

大学や研究室や学会の外にも学問はあるじゃないか、本書はこの問題意識に貫かれている。  

読み、書き、調べ、考え、まとめ、発表する一連のプロセスは、誰が許可したでもなく 自生的に立ち上がる。

在野研究とは何か?

漢語で「野」という言葉は、政府の外の民間の場所一般を指した。

「野に下る(下野する)」という表現は、官職を退いて民間の世界に入ることを意味する。

「在野」とは、だからまず第一義には、官(政府)の外の民の世界を指している。

直感的にいえば、在野研究とは、アカデミズムに対するカウンター(対抗)ではなく、オルタナティブ(選択肢)として存在している。

そもそも、18世紀のヨーロッパでいう〈アカデミー〉とは、大学と対抗的な関係にある、新たな知を切り拓く専門家集団のことを指していた。

アカデミズムは元々、大学に飼い慣らされるものではなかったのだ。

本書はそのような在野研究者16人を紹介している。

16人中、私が知っているのは小室直樹一人だった。

上記抜き書きは小室の述べたものとして、本書に紹介されているもの。

小室直樹は社会科学者である。

専門分化した諸学をマスターし、社会科学の統合的な理論構築を目指した。

パーソンズの構造‐機能分析をより合理的な仕方でモデル化した。

また、ソ連の崩壊を科学的に予言したことで注目を浴びた。

主著に『危機の構造』、『ソビエト帝国の崩壊』など、多数の著書がある。

私もその中の数冊は読んだことがある。

印象的だったのは、戸塚ヨットスクールが世間の批判を浴びていた中、戸塚のスパルタ教育をもち上げたこと。

小室は家庭内暴力の原因を、社会学者デュルケムに由来するアノミーに求めた。

小室は大学に属さなかった。

50本もの論文を書いたにもかかわらずだ。

そして年間100万円で生活した。

自らの著書がベストセラーとなり、数千万円の印税が入ってきても、その生活を変えようとしなかった。

小室の特徴は、その分野の第一人者を見るや直接に教えを受けようと、弟子か学生となり、その学問の本質をつかみ取ろうと実行に移したこと。

もしも、直接教えを受けることがかなわなければ、その学者の書物を読み、繰り返し読み、あたかも面前で教えを受けているかのようにその内容を体得しようとつとめた。

すべての学問を知り尽くすべきという小室が示した態度は、全てが全てに関連しているという相互連関分析に深く結びついている。

これが専門分野というタコツボ化しやすい制度で成り立つ大学にうまく受け入れられなかったことは明らかだ。

しかし、どのアカデミズムにも属さなかったからこそ、独自性が生まれたのではないだろうか。

2019年3月15日 (金)

自律神経整え方BOOK/原田賢

Book 自律神経が乱れて交感神経優位の状態が続くと、つねに緊張していることになります。すると、首や肩、背中の筋肉、さらには頭蓋骨を包み込む筋肉も硬くなり、脳脊髄液の流れが悪くなります。こうして 行き場をなくした脳脊髄液は、頭から内耳(耳のもっとも内側にあたる部分)に流れ込んでしまうため、めまいや耳鳴りのような症状を引き起こすのです。

自律神経失調症は深刻な病である。

頭がモヤモヤする。

なんだか眠れない。

仕事中、息苦しくなるときがある。

これらは皆、自律神経の乱れから起こる。

本書では、自律神経失調症を改善させるという観点から、直すべき生活習慣を5つにわけ、それぞれで役立つストレッチや生活改善のメソッドを紹介している。

例えば、ストレスを溜めやすい方の考え方のパターンに当てはめると、2つに分けられる。

1つ目は、完璧主義の考え方。

100点を取らないと気が済まない。

「~しなければならない、といった思考」がその典型。

2つ目は、ネガティブな考え方。

小さな失敗を大きなミスだと思う。

これで全てが台無しだと考える。

悪いことばかりに視点を向けてしまう。

根拠もないのに未来はきっと悪くなると考えるなどがその典型。

これは「認知の歪み」という現象。

私たちの脳は非常に騙されやすい器官。

だから、この特性を利用することが大事。

例えば、自分の頭の中で、楽しい情景や、リラックスできることをなるべく鮮明に思い浮かべると、脳はしだいに自分が今、実際にやっているのだと勘違いしてくれる。

すると自律神経が正常に働きだすというのである。

簡単にできることなので、やってみて損はないのではないだろうか。

2019年3月14日 (木)

組織の壁を越える/クリス・アーンスト、ドナ・クロボット=メイソン

Photo いまの社会でリーダーシップの優位性を手にするのは、他人と密接に結びつき、さまざまな地位、経歴、場所の幅広い人たちと仕事ができる人である。

組織には様々な壁が存在する。

部門の壁、上下関係の壁、個人の壁がある。

個人の壁も細分すると、人種の壁があり、男女の壁があり、価値観の壁がある。

しかし、組織としての力を最大化するためには、この壁を乗り越え、またある時にはぶち壊す必要がある。

そしてこれからのリーダーにはこの能力と役割が求められるというのである。

本書ではそのようなリーダーシップをバウンダリー・スパニング・リーダーシップと呼んでいる。

バウンダリー(boundary) という語にはふたつの意味がある。

①境界や限界を示すもの。国境線、境界線。

②フロンティア。最も先進的な、または新しい活動領域。

つまり、バウンダリー・スパニング・リーダーシップとは、より高いビジョンやゴールをめざし、集団の境界を越えて 方向性、 団結力、 責任感 を築く能力である。

バウンダリー・スパニング・リーダーシップにはそれなりの覚悟がいる。

組織図の縛りを外れ、ステークホルダーの利害を度外視し、所属する部門や集団の壁を越えてリーダーシップを発揮するのは容易ではない。

「私たち」と「彼ら」の壁を越え、「私たちみんな」をめざすには、たゆまぬ努力が必要である。

人間を形づくる文化的、組織的、宗教的、政治的、国家的な世界観から抜け出し、身近な場所で起こるアイデアの衝突を受け入れるのは生半可なことではない。

これだけの覚悟と能力のあるリーダーはどの位いるのだろう。

グローバルリーダーの必要性が叫ばれている昨今、リーダーシップ教育が今ほど必要な時代はないのではないだろうか。

2019年3月13日 (水)

幹事力!/森順子

Photo 私が本当にやりたかったことはアナウンサーだったのだろうか・・・?そこで自分が本当にやりたかったことは何なのか、人生の軸を見つめ直してみました。出てきたのが「私が私の言葉で直接伝えることで、相手を前進させたり結果を創りたい」というものでした。

アナウンサーである著者はある時、人生の軸について考えたという。

軸とは何だろうか。

こんなことをやりたいという抽象的なもの。

根源的な動機からでたもの。

恐らく著者の軸とは「人と人を結ぶ仕事をやりたい」と言ったものだろう。

そこから派生したものが、ある時にはアナウンサーだったり講師の仕事だったりする。

また、本書のように「幹事力」について書くことだったりする。

軸は、そのまま伸びているものなので絶対に達成はしない。

しかし、軸に沿って生きることで自分の方向性も明確になる。

わざわざ目標を新しく作らなくても、やろうとすることが自然と見えてくる。

また、軸に沿って生きることで、同じ方向性の仲間も集まりやすくなる。

私の軸とは何だろう。

2019年3月12日 (火)

入社1年目からの数字の使い方/深沢真太郎

Photo 「ビジネスシーンでは、相手に『どれくらい?』と尋ねられたらアウト」

ビジネスの現場で「どれくらい?」と尋ねたくなる場面は多くある。

例えば、「この件は、なるべく早く対処します」と言われた場合。

「『なるべく早く』とはどれくらいなの?」と尋ねたくなる。

これを「この件は、いまから2時間以内に対処します」と言えば、わかりやすい。

「ちょっと値段を下げて、ガンガン売っていきましょう」と言われた場合もやはり、「どれくらい?」と尋ねたくなる。

この場合は「最大 10%まで値下げし、1日あたり 50 個のペースで売っていきます」と言えば、わかりやすい。

そして最もビジネスの場で頻発するのが「頑張ります」という言葉。

これなど、つい「どれくらい?」と尋ねたくなる。

これを「今月は先輩の営業同行を前月より 10 件増やし、そのうち2件は私がメインで商談を進めます。そのうち1件は受注をもらうことを目標に頑張ります!」

と言えば、「この新人は伸びそうだ」と思ってもらえる。

実はビジネスパーソンが仕事で使う数字は、たった2種類しかない。

1つは「実数」 と呼ばれるもの。

もう1つは2つの実数を比較することでつくられる「割合(%)」 と呼ばれるものである。

これら「数学コトバ」を使うだけで論理的に考えて話せるようになるのではないだろうか。

2019年3月11日 (月)

雑談が上手い人 下手な人/森優子

Photo 雑談が上手な人は、人生の目的を達成し、夢を実現していきます。
 なぜなら雑談が上手い人は、相手の心を動かすからです。
 心で雑談をし、心で相手を理解します。
 結果、人として愛されていきます。
 雑談は、心のキャッチボールなのです。

売れる営業マンは大抵雑談がうまい。

営業マンでなくても、雑談がうまい人は良い人間関係を作るのがうまい。

ビジネスの基礎は人間関係である。

だから良い人間関係を築ける人は、ビジネスもうまくいく。

逆にどんなに能力があり優秀でも人間関係作りが下手だと、ビジネスもうまくいかない。

そして良い人間関係作りに起訴になるのが雑談力である。

雑談の上手い人は、会った瞬間からよい空気をつくる。

雑談の上手い人は、目と目が合ったらすぐに声を発する。

雑談の上手い人は、大きめの声で自分から元気にあいさつをする。

雑談の上手い人は、心からの笑顔が自然に出る。

良い仕事をするためにも雑談力を身に付けたいものだ。

2019年3月10日 (日)

ビジョントリガー/松田友一

Photo たとえばアフリカ系アメリカ人の公民権運動のために生涯をかけたマーティン・ルーサー・キング牧師の墓には「全能の父なる神よ、私はついに自由だ」という言葉が刻まれています。
 「黒人が自由になるために命をかけた人がここに眠る」と。
 さて、あなたの墓碑銘は何ですか。

人は一本の木のようなものである。

根っこがあり、幹が伸び、枝が広がり、ようやく実がなる。

そして、根っこが「ビジョントリガー」である。

自分がどんな大木に成長したいのかというのは、他でもない、根っこが全てを決定する。

「ビジョントリガー」は、私たちが子どもの頃から、何十年もかけて培ってきた「人生の根っこ」のようなもの。

だから「ビジョントリガー」の存在をはっきりと認識することで、自分の見ている風景はガラリと変わる。

自分の「ビジョントリガー」が何であるかに気づくためには、人生観、仕事観、人間観などを問い直し、明らかにするプロセスが必要。

自分の人生観などを探る上で手がかりになるのは、最も印象深い過去の体験をいくつか思い出してみること。

自分と向き合い、「自分はこうなりたい」というイメージを徐々にでも浮かべるようになると、ずっと早く自分を成長させられる。

パワーがわいてくる。

著者が述べているのは「BE─DO─HAVE」の人生観でもある。

所有欲を満たすために生きる「HAVE─DO─BE」でもなく、とにかくがむしゃらに頑張り続ける「DO─HAVE─BE」でもない。

1番目にくるのが「BE」である。

「自分の生きる目的」「存在理由」を明確にするということ。

2番目にくる「DO」は、自分が思い描いた「BE」に一致した行動、生き方をするということ。

職場、家庭、友人関係は、自分の「BE」、即ち「目的」「存在理由」を表現する場。

「BE」が柱になって行動をすれば、成果を得られないことはない。

その結果、「HAVE」となって証明してくれる。

まずは、「自分がどのようになりたいか」「どのように生きたいのか」という「BE」を明確にすること。

これが「ビジョントリガー」になる。

実りある人生にするためにも必要なことではないだろうか。

2019年3月 9日 (土)

汗をかかずにトップを奪え!/三田紀房

Photo 人間関係において、もっとも厄介なのが「半径五メートル」の人間関係だ。

会社の問題の半分以上は人間関係の問題だというのが実感するところだ。

会社を辞める理由のトップもやはり人間関係の問題だ。

学生時代、どんなに勉強が嫌いでも、学校に仲のよい友達がいれば、それだけで学校は楽しかったはず。

逆に、いくら成績優秀の生徒でも、学校に友達がひとりもいなくて、しかもいじめにでも遭っているとしたら簡単に不登校になってしまう。

会社も同じ。

社内の人間関係が円満なら、多少給料が安くても我慢して働くことができる。

それどころか、ちょっとした愛社精神も芽生えて「もっとがんばって、この会社を大きくしよう」という気持ちにさえなるもの。

特に近すぎる関係、「半径五メートル」の人間関係では、とんでもなく下らないことがストレスの対象になるから注意が必要だ。

たとえば、「説教するとき唾が飛ぶ」とか「笑い方が気に食わない」とか、そういったレベルでの嫌悪感だ。

これら小さな嫌悪感は、本人も気づかないうちに蓄積されていく。

特に、日本の会社組織にあって、人間関係のストレスは尋常でない重みを持ってくる。

その意味では、会社の規模が小さければ小さいほど、社内の人間関係が従業員の士気に大きな影響を及ぼすことになる。

そして重要なのが、この「半径五メートル」の人間関係は、どんな会社に転職したところで変わらない、ということ。

他者とのコミュニケーションが苦手で、小さな対人ストレスを発散する術も知らないまま「半径五メートル」を息苦しい空間にしてしまったのは、他の誰でもない自分自身なのだ。

その自分の性格や考え方を変えもせず、ただ形だけ転職したところで、必ず同じような「半径五メートル」の悩みが待っている。

下手したら、いまよりもずっと息苦しい空間が待っているかもしれない。

大事なのは「逃げない」こと。

自分とも他者とも向き合わず、ただただ逃げるように転職先を探す。

それでは同じことの繰り返し。

そのような場合、著者は3つの方法を紹介している。

ひとつは、他者から必要以上に好かれようとせず、適度な変わり者になること。

自分の仕事が終わったらさっさと帰り、昼食の誘いや飲みの誘いもすべて断る。

誰とも群れようとしない。

そうすれば、当初は煙たがられるかもしれないが、そのうち「あいつはああいうヤツだから」と、いい意味で割り切ってもらえる。

続いて、別人格を演じるという方法もある。

思いきって「社内での立ち回りこそが、最大の仕事なんだ」と腹をくくって、就業時間中は自分の心に蓋をして別人格を演じる。

ときには聞き分けのよい子分として尻尾を振り、ときには頼りがいのある兄貴分として振る舞い、そして最終的に親分をめざす。

誰とも本音で付き合おうとせず、必要以上に理解を求めようとせず、常に仕事用・会社用の仮面をかぶり続けて過ごす。

おそらく、日本のビジネスマンにはこれがいちばん多いパターンだろう。

そして最後が、腹を立てる前に「たかが仕事じゃないか」と考える道だ。

仕事なんてものは、しょせんヒマつぶし。

そこでいちいち怒りを覚えるのもバカバカしい。

仕事を真面目に考えすぎるから、つまらないストレスがたまる。

受け入れるものは受け入れ、流すものは流して、あとは自分は自分のペースで働く。

自分のペースさえ守っていれば、結果はおのずとついてくるもの。

以上の3つが主な方策。

大切なのは、自分の性格を変えようなどとは思わないこと。

成人した大人が、いまさら性格を変えるなんてできるわけがない。

しかし、たとえ性格は変えられなくても、「考え方」を変えることはできる。

仕事に対する考え方、周囲の人間に対する考え方、自己表現や自己演出に関する考え方を変えていく。

いずれにせよ、会社の中でうまくやっていくためには「半径五メートル」への対応をどうするかにかかっているということであろう。

2019年3月 8日 (金)

「頭がいい人」になるための習慣/崎谷博征

Photo 「内臓思考」こそが、あなたを成功へと導きます。成功者の思考法は、日常の思考法である「大脳思考」ではなく、「内臓思考」なのですから。

内臓思考とは著者の造語である。

人間は大脳で考える前に、内臓で考えているというのである。

内臓思考とは無意識でなされる。

そしてそれを大脳で意味づけをする。

人間は、なまじ自我の「意識」を持ったために、無意識下でおこなわれたことに関しても、何らかの「意味づけ」を後からするようになってしまった。

本来、無意識でおこなうことに意味など関係ない。

目的すらない場合が多い。

その行為に、大脳新皮質が都合のよい解釈を与える、これが「錯覚」の本質。

言葉とは、大脳新皮質そのものであり、人類の進化の過程で比較的新しく獲得されたもの。

あくまでも「内臓思考」は体で感じるもので、言葉で思考するものではない。

例えば、人が何かを伝えようとするときには、言葉や内容より、その人が「なぜそれを伝えたいのか」という腹づもりが、まず表情や目にあらわれる。

だから、相手の話す言葉を待つまでもなく、表情や全体の雰囲気をつかめば、容易にその人の「動機」がつかめるはず。

また、正しい判断をしたいのなら、まず現場に足を運ぶこと。

現場では、それこそ触覚・視覚など、五感や第六感に深い関係をもつ内臓感覚を駆使して、事実の色づけをおこなっている。

この内臓感覚は、具体的に私たちに意識されるわけではない。

しかし、物事の判断のときに非常に大きな力を発揮する。

いわゆる「腑に落ちる」という感覚である。

特に、体の筋肉の中でも、大腿筋や腹筋などの大きな部分を適度に動かせば、それが内臓脳である神経細胞のかたまりを刺激する。

この神経細胞のかたまりからは、快感物質であるドーパミンが放出される。

ドーパミンの作用が大脳新皮質の前頭前野に届けば、「創造性」が発揮される。

だから何か壁に当たってしまったら、思い悩んだり、机に向かってウンウンうなるより、体を動かすこと。

日本には昔から「腹に落ちる」とか「腹の内」と言った言葉が使われている。

人間は内臓で考えることを体験的に知っていたのではないだろうか。

2019年3月 7日 (木)

世界基準の幼稚園/橋井健司

Photo 端的にいえば、 欧米諸国の子育ては子どもを「主体的な意思をもつ存在」と捉える のが前提です。また、子どもが早くから自律的に行動し、周囲と協働できるようにするため、子どもたち一人ひとりが異なる発想を抱いたり異なる行動を取ったりすることを良しとする援助が一般的です。

0歳の赤ちゃんが6歳になるまでの6年間は「人格形成期」とも呼ばれ、個々の人生に大きな影響を与えるといわれている。

肉体的にも精神的にも、子どもから大人へと変化する通過点の一つが6歳である。

大人としての知識や経験、行動原則や社会との関わり方は6歳までに築かれた土台の上に少しずつ構築され、定着されていく。

にもかかわらず、その最前線である幼稚園・保育園、家庭でも、「意欲」「行動力」「決断力」「責任感」「コミュニケーション能力」といった人間力の核となる資質を養う子育ては、ほとんど意識されていない。

特に日本人が海外に出ていったとき一番問題になるのはリーダーシップである。

そのために幼児期に何をすべきか、必要なポイントが多数、紹介されている。

例えば、なんでもかんでもほめるのは間違いだという。

幼少期から「〇〇をすればほめられる」という外発的動機で動いていた子どもは、大人になってからも「ほめられるというエサ」がなければ動かない人間になる。

むしろ、「ありがとう」と感謝を伝えるべきであるという。

子どもが誰かに親切にしているところを見つけたら、 そっとその子に近づいて「ありがとう」と、小さな声で感謝の気持ちを伝えるようにする。

また、一人遊びをしている子供はそのまま見守るのが良い。

何かに没頭する時間は、子どもの成長にとって、絶対不可侵の神聖な時間でもある。

ブロック積みでも、お絵描きでも、「続きはあとでやればいいでしょ」と暴力的に取り上げるのだけは絶対にやめるべき。

遊びでも学びでも、とことん深めていった経験だけが真の自信につながるというのである。

そう考えると、日本では幼少期からの内発的動機をつぶすような教育ばかりしていると感じる。

大人になってから、日本人は自律していないと嘆く前に、まず幼児教育から変えていくべしという著者の主張は説得力がある。

2019年3月 6日 (水)

企業の成長戦略が10時間でわかる本/木嶋豊

10 強い信念と、よく考え込まれたビジネスモデルがあれば、どんな方にもチャンスはあります。

本書では、ベンチャー・中小企業の起業の仕方から成長のさせ方、ビジネスモデルやマーケティング戦略、競争戦略の作成方法、ベンチャーキャピタルからの資金調達のポイントを解説している。

上場できるような成長企業と、いつまでたっても成長できない企業の違いを明確にして、成長企業の秘訣や上場することによるメリット・デメリットをくわしく解説している。

実はベンチャー企業とは和製英語であり、海外でベンチャー企業と言っても通じない。

1960年代に、新しい製品やサービスを提供し、急成長する企業を「ベンチャー企業」と名付けた。

かつてのソニーやホンダなども、ベンチャースピリットに富んだベンチャー企業といえる。

海外ではいわゆるベンチャー企業をどのように呼ぶかというと「スタートアップ」という。

中小企業との違いは、スケーラブル(拡大の余地が大きい)で成長できる企業か、資金調達をして、市場を開拓し、急成長して上場を果たす企業かどうかである。

キーワードは「スケーラブル」。

ある製品、サービス、ビジネスモデルが、狭い市場ではなく、広いマーケットや海外市場にも通用し、急速に広がっていくイメージ。

そのためにはビジネスモデルが重要。

でも、それだけではダメ。

強い信念が必要。

そしてそれらが全部そろってもスタートアップが成功するのは数パーセントということではないだろうか。

2019年3月 5日 (火)

組織の未来はエンゲージメントで決まる/新居佳英、松林博文

Photo これからの時代のマネジメントは、社員が意欲を持ち、知恵や創造性をいかんなく発揮するための「環境づくり」や「サポート」へと変わっていかなくてはなりません。

エンゲージメントは今、欧米の組織を中心に、重要な経営指標の一つとして注目を集めている。

エンゲージメントとは「従業員の一人ひとりが企業の掲げる戦略・目標を適切に理解し、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲」と定義される。

組織改善プラットフォーム「wevox」では、エンゲージメントを左右する9つの要因を特定している。  

・職務……職務に対して満足度を感じているか

・自己成長……仕事を通して、自分が成長できていると感じているか

・健康……従業員が仕事の中で、過度なストレスや疲労を感じていないか

・支援……上司や仕事仲間から、職務上又は自己成長の支援を受けているのか

・人間関係……上司や仕事仲間と良好な関係を築けているのか

・承認……周りの従業員から認められていると感じているか

・理念戦略……企業の理念・戦略・事業内容に対して納得・共感しているか

・組織風土……企業の組織風土が従業員にとって良い状態なのか

・環境……給与、福利厚生、職場環境といった従業員を取り巻く会社環境に満足しているのか

以上である。

そして残念ながら、日本企業では一般的に、エンゲージメントが非常に低いという調査結果が出ている。

エンゲージメントが高い組織は、生産性が高い。

エンゲージメントが高い組織は、離職率が低い。

エンゲージメントが高い組織は、質の高いサービスを提供できる。

エンゲージメントが高い組織は、製品の欠陥が少ない。

エンゲージメントが高い組織は、社員の欠勤が少ない。

エンゲージメントが高い組織は、イノベーションにも強い。

そのため、アップル、スターバックス、ナイキなど優良企業が経営上重視している。

どんな業種・業態でも、エンゲージメントは組織の成果に影響する。

日本でもIT企業などを中心に経営指標としての採用が加速している。

日本では古くから仕事とは歯を食いしばって頑張るものという仕事観がある。

まず、そのような仕事観から変える必要があるのではないだろうか。

2019年3月 4日 (月)

本の「使い方」/出口治明

Photo 人、本、旅から得た教養をタテヨコに展開していけば、ほとんどの事柄について、現在の自分のポジションを理解できるようになります。

読書についての本である。

著者にとって、就寝前に1時間本を読むことは、歯磨きをするのと同じくらい、当たり前の習慣になっているという。

本がなくても死ぬことはない。

でも、本がなかったら、人生を楽しむことはできない。

現在の自分のポジションを理解するためにはタテ軸とヨコ軸でみていく必要がある。

タテ軸とは時間軸である。

人類の歴史と照らし合わせて現在の自分を考えること。

ヨコ軸とは空間軸である。

世界の人々から現在の自分を考えること。

このようにタテ軸とヨコ軸で考えると、やたら現実に振り回されることもなくなる。

そのために読書は最も有効だ。

人間の人間たる所以は、自分の頭で考えること。

「自分の頭で考え、自分の言葉で自分の意見を述べること」が何よりも重要。

そのために読書は最もお金のかからない有効は手段といえるのではないだろうか。

2019年3月 3日 (日)

知恵の構造について/串田孫一

Photo 私たちは内的生活を持っています。それはその人次第で、外的生活とはほとんど関連なく、貧しい暮らしをしながら、内的生活は、いつも春の野辺に 萌え出る草の芽に似た新生の歓喜で満たしていることもできます。逆にどれほど裕福な生活に明け暮れている人でも、その内的生活が味もうるおいもない、ただ埃っぽいものであることも珍しくはありません。

現代人は内的生活を軽視しがちだ。

豊かになるといっても、それは経済的な意味を指すことが多い。

しかし、本当の豊かさとは内的なものではないだろうか。

外見的には貧しくても内面が豊かであれば、それはそれで幸せであろう。

そして、それこそが人間たるゆえんであろう。

なぜなら、内的生活は人間しかできないから。

現代はIT社会。

インターネットによってあらゆる情報が世界中を駆け巡る。

状況はめまぐるしく変わる。

しかし、だからこそ、自分の内面に光を当てる必要があるのかもしれない。

2019年3月 2日 (土)

幸せをつかむ心の整理術/いつか

Photo 思いたったら、行動は一刻も早いほうがよいのです。
 どんな素敵なアイデアでも、同じことを考える人が、世界中で三人はいます。
 これを「シンクロニシティ」といいます。
 幸運の女神には後ろ髪がありません。
 いま、あなたがやれることをすばやく手を打つことが肝心です。

本書には心を整理する45のルールが記されている。

上記はその45のルールの中の一つ。

確かに幸せをつかむには、まず行動することである。

人生には様々なことが起こる。

迷うことも多い。

しかし、「このような時にはこのようにする」とあらかじめルールを決めておくと、迷うことがなくなる。

幸せをつかむには人生に起こるさまざまなことにおいて、シンプルなルールを作ること。

そのルールを実践することで、心が整理できる。

そうすれば、どんな困難が起こっても、いつも前向きでいられるようになれるのではないだろうか。

2019年3月 1日 (金)

中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか/中島恵

Photo 中国人富裕層の興味・関心は〝体験〟へと移ってきています。これまでは 車窓から眺めていた日本ですが、これからは日本人と交流したり、もっとぬくもりを感じられる旅が求められていくでしょう。

「爆買い」という言葉に象徴される中国人観光客。

しかし、もはや爆買いはなくなりつつある。

今後のキーワードは「体験」や「学び」だという。

著者の分析では訪日中国人観光客は主に次の3つに分類できるという

第1に、日本大好きな日本オタクでリピーターになっている人。

第2に、日本のことをよく知らない初来日の人。

第3に、従来は欧米に出かけていた富裕層で、訪日経験が浅い人。

このうち、今後増えてくるのは第3の中国人富裕層だという。

中国人富裕層は日本を「体験」したいと願っている。

日本人と直接話をして、より多くのものを学んだり、コミュニケーションを取ったり、新しいことを吸収したいと思っている。

彼らは陶芸をしたり、読書をしたり、カフェの暖炉で暖まりながら、静かに地元の日本人とおしゃべりするのを楽しみに旅行をしている。

そして、中国人の多くは値段が高ければ高いほどいい待遇やサービスが受けられるものだ、と信じている。

「5つ星ホテル」=「料金が高い」=「安心して宿泊できる」という論理である。

これは欧米でも同じだが、日本人は必ずしもそう考えない。

日本人は 安い定食屋でも、サービスがいいのは当たり前、お客様は神様、という感覚があり、それが他のサービス業にも適用されるという独特の考え方を持っている。

つまり、日本国内では、価格がそれほど高くなくても、一定以上のサービスのクオリティを求める風潮がある。

しかし、この考え方は世界的に見て、珍しい。

そしてこれがデフレの一因となっている。

中国人富裕層の来訪を機に、この日本人の価値観が変わっていけば、それはそれでよいことではないだろうか。

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