組織の壁を越える/クリス・アーンスト、ドナ・クロボット=メイソン
いまの社会でリーダーシップの優位性を手にするのは、他人と密接に結びつき、さまざまな地位、経歴、場所の幅広い人たちと仕事ができる人である。
組織には様々な壁が存在する。
部門の壁、上下関係の壁、個人の壁がある。
個人の壁も細分すると、人種の壁があり、男女の壁があり、価値観の壁がある。
しかし、組織としての力を最大化するためには、この壁を乗り越え、またある時にはぶち壊す必要がある。
そしてこれからのリーダーにはこの能力と役割が求められるというのである。
本書ではそのようなリーダーシップをバウンダリー・スパニング・リーダーシップと呼んでいる。
バウンダリー(boundary) という語にはふたつの意味がある。
①境界や限界を示すもの。国境線、境界線。
②フロンティア。最も先進的な、または新しい活動領域。
つまり、バウンダリー・スパニング・リーダーシップとは、より高いビジョンやゴールをめざし、集団の境界を越えて 方向性、 団結力、 責任感 を築く能力である。
バウンダリー・スパニング・リーダーシップにはそれなりの覚悟がいる。
組織図の縛りを外れ、ステークホルダーの利害を度外視し、所属する部門や集団の壁を越えてリーダーシップを発揮するのは容易ではない。
「私たち」と「彼ら」の壁を越え、「私たちみんな」をめざすには、たゆまぬ努力が必要である。
人間を形づくる文化的、組織的、宗教的、政治的、国家的な世界観から抜け出し、身近な場所で起こるアイデアの衝突を受け入れるのは生半可なことではない。
これだけの覚悟と能力のあるリーダーはどの位いるのだろう。
グローバルリーダーの必要性が叫ばれている昨今、リーダーシップ教育が今ほど必要な時代はないのではないだろうか。
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