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2019年5月 7日 (火)

西洋の自死/ダグラス・マレー

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 大量移民のメリットが間違いなく存在し、誰もがそれを認められる一方で、別の文化から膨大な人々を招き入れることのデメリットは長い時間を経なければ確認されないのだ。

本書には、移民の受け入れによって、欧州の社会や文化が壊死しつつある姿が克明に描かれている。

一つの偉大な文化が絶滅しつつあるその様には、身の毛がよだつ思いがする。

しかも恐ろしいことに、この欧州の文化的絶滅は、欧州の指導者たちの決断が招いた事態なのである。

移民を受け入れを容認する考え方の根拠はいくつかある。

安い労働力が入ってくることによる経済効果。

大量に押し寄せてくる移民を受け入れることへの寛容の精神、ヒューマニズム。

そして多様性の精神。

一方、それを反対することにはリスクが伴う。

大量移民がもたらす結果に異議を唱える人々は、人種差別主義者、ナチス、ファシストなどと呼ばれる。

しかし、大量移民は少しずつ国を変えていった。

ドイツでは、ドイツ人へのレイプ事案が増加するのと並行して、難民シェルター内でのレイプや性的暴行の件数も増えた。

2015年中、ドイツ政府は移民を収容する施設にかなりの不足を来していたため、当初は女性専用のシェルターを提供できなかった。

多数の女権団体がヘッセン州の議会に手紙でこう訴えた

「数多くのレイプや性的暴行が発生している。また我々が売春の強要についての報告を受ける件数も増えている。この点は強調されねばならない。これらは希有な事案ではない」と。

同じようなパターンが果てしなく繰り返される。

2016年を通し、ドイツの16州のすべてでレイプと性的暴行が多発するようになった。

事件は文字通り毎日発生し、ほとんどの犯人は見つからない。

同国のレイプ事案のうち届け出が出されるのはわずか10分の1で、法廷に持ち込まれた事案のうち有罪になるのはたった8%だという。

スウェーデンでは、1975年に警察に届け出のあったレイプ事件は421件だったが、2014年には年間6620件まで増加した。 

デンマークでは、2016年に公表された研究によれば、ソマリア人男性はデンマーク人男性の約26倍もレイプを犯しがちだった。

しかしスウェーデンであれ他のどの国であれ、メディアがこの話題に触れることはなかった。

地元の人々が別の文化からやって来た何十万人もの移民たちに少しでも否定的な態度など取ろうものなら、あまりにも高い代償を払わされた。

新たな現実を指摘したり、ましてやその変革を提案したりすれば、政治家のみならずすべての職業でキャリアが破壊されかねなかった。

もはやできることといえば、住民であれ、官僚であれ、政治家であれ、問題を無視し、それについて偽ることだけだった。

欧州の政府機関やマスメディアは、移民による犯罪の事実を極力隠蔽しようとした。

それどころか、犯罪の被害者すらもが、加害者である移民を告発することをためらった。

というのも、そうすることによって、人種差別主義者の烙印を押されることを恐れたからである。

今、問題になっている英国のEU離脱問題もこのような移民問題が背景にある。

大量移民は英国をまったく違うもの変えた。

今の英国は、もはや何世紀にもわたって続いてきた英国とはまるで異なる国である。

一方、日本は、移民に対しては閉ざされた国であると考えられてきた。

しかし、OECD加盟35カ国の外国人移住者統計によれば、日本は2015年に約39万人の移民を受け入れており、すでに世界第4位の地位を得ている。

今年の4月、日本では入管法が改正された。

欧州で起こったことは日本でも起こり得ることを想定し、早目に手を打つことが必要ではないだろうか。

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