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2019年5月29日 (水)

仮説思考/内田和成

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 免疫学の世界で国際的に有名な石坂公成先生(ラホイヤ・アレルギー免疫研究所名誉所長)が、アメリカのカリフォルニア工科大学化学部研究員だったころ、恩師であるダン・キャンベル先生から「実験する前に論文を書け」といわれ驚いたそうだ。


本書に載っているエピソードの一つ。

上記の石坂氏が、次にこういう実験がしたいといったら、実験を始める前に論文を書けと言われた。

御冗談でしょうといったら、ランドシュタイナー(ノーベル賞受賞者)はいつもそうしていた、今のお前にはそれができるはずだというのである。

ランドシュタイナーや石坂公成は、頭の中に、「きっとAという答えが出るはずだ」という仮説をはじめにもち、全体のストーリーを描いていた。

その上で、その仮説が正しいかどうかを実験で検証するという方法で研究論文を書いていたということである。

仮説とは、情報収集の途中や分析作業以前にもつ「仮の答え」のことである。

そして、仮説思考とは情報が少ない段階から、常に問題の全体像や結論を考える思考スタイル、あるいは習慣ともいうべきものである。

実は仕事ができる人は、人より答えを出すのが早い。

まだ十分な材料が集まっていない段階、あるいは分析が進んでいない段階で、自分なりの答えをもつ。

こうした仮の答えを、仮説と呼ぶ。

その仮説をもつ段階が早ければ早いほど、仕事はスムーズに進む。

仕事の進め方で大事なことは答えから発想することだ。

課題を分析して答えを出すのではなく、まず答えを出し、それを分析して証明するのである。

何も実行しないことが大きなリスクになる今日、いつまでも選択肢を拡げる情報収集を続けて意思決定のタイミングを遅らせるわけにはいかない。

網羅的に情報を収集するのではなく、限られた情報をもとに、仮説思考によって最適な意思決定をすべきなのだ。

仮説思考、身に付けたいスキルの一つである。

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