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2019年6月26日 (水)

教えない授業/鈴木有紀

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 「なぜ?」「どうして?」と自ら問いを立てながら「考える力」が問われるのは、大学入試で終わりではありません。むしろその先においてこそ、真価が問われるようになってきています。社会のさまざまな面で変化が激しくなっている時代です。企業の採用活動でも、人材育成においても、不確実性の中で自ら課題を見出していける人材、未知のことにも自分の頭で考え答えていける人材が、求められるようになっています。

対話型鑑賞は、作品についての情報や解釈を専門家や教師が一方的に伝えるのではなく、鑑賞者自身の思いを尊重し、グループでの対話を通して作品を味わっていく鑑賞法だ。

日本の学校教育はこれまで「知識偏重」で、ものごとを暗記することばかり重視しているという批判があった。

歴史の年号を覚えたりする類のことが代表例だが、美術という本質的に「正解」がないような分野でさえ、知識を得ることを重視する授業が行われてきたのが実状だ。

最初に知識を求めるのではなく、まずは自分の目でじっくりみて、考えること。

本書のテーマである対話型鑑賞は、それを促す手法と言える。

対話型鑑賞で用いる大切な質問が四つある。

1「作品の中でみつけたこと、気づいたこと、考えたこと、疑問でも何でもいいので話していきましょう」

2「どこからそう思う?」

3「他にはありますか?」

4「そこからどう思う?」

この授業の特徴は、先生が「教えない」こと。

その代わりに、「問い」を投げかける。

対話型鑑賞の特徴である問いは、「どこからそう思う?」というもの。

「作品の中でみつけたこと、考えたこと、疑問でも何でもいいので話していきましょう」と言って出てきた声のなかに、その人の作品に対する解釈が垣間みえたら「どこからそう思ったの?」と問いかける。

ポイントは、「なぜそう思う?」ではなく、「どこからそう思う?」と問うこと。

「どこから」と問われると、自分がそう思った根拠を作品の中に探すことに意識が向く。

「作品の中のこの部分からそう思った」と具体的な点を指摘して言えるため、漠然と「なぜ」と問われるよりも、ずっと答えやすい。

対話型鑑賞から得られる学びについては、学校だけでなくビジネス界でも注目が広がりつつある。

今は、変化が激しく、これまでのビジネスのやり方が必ずしも通用するとは限らない。

「自ら課題を見出し、正解のない問いに答えていく力」などを育むことが、企業における人材育成の大きな課題になってくるのではないだろうか。

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