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2019年7月27日 (土)

重大事件に学ぶ「危機管理」/佐々淳行

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 日本の政治家の大半は平時の能吏タイプであり、官僚にいたっては乱世の雄タイプなど10パーセントもいない。これは、官僚生活と政府内部で長いこと生きてきた私の経験上、自信を持って断言できる。

著者である佐々氏は危機管理のスペシャリストである。

危機管理で重要なのはリーダーの存在だ。

いかに迅速に正確な指示命令を出すかが、危機管理の成否を決定する。

ところが日本のリーダーは平時の能吏タイプが非常に多い。

いわゆる調整型である。

異なる意見をまとめて合意形成をする。

これは早さを要求される危機管理には足かせになる。

対して欧米は乱世の雄タイプのリーダーが多い。

これは民族の違いも影響していると佐々氏は言う。

きわめてシンプルに分けると、日本人は農耕民族、欧米人は狩猟民族ということになる。

農耕民族は食料を貯蔵するが、狩猟民族にそういう生活習慣はない。

その日その日の食料を得るために狩りをし、もし獲物が獲れなかったら、その集団全員がとたんに飢餓の危機に直面することになる。

こういう宿命の狩猟民族は、必ず乱世の雄タイプをリーダーに選ぶ。

しかもそのリーダーは知力だけでなく、体力・気力ともに優れていなければならない。

農耕民族が調整力に秀でた長老タイプをリーダーに選ぶのとは、大きく違う。

厳しい現実に直面すると考え込んでしまうタイプは、乱世では役に立たない。

短い時間のうちにもそれなりの見通しと行動計画を立て、さっさと動き出すのがいい。

でも、今はどうなのだろう。

世界全体が乱世ではないだろうか。

日本にも乱世の雄タイプのリーダーが必要な時代だといえるのではないだろうか。

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