出世する課長の仕事/安藤浩之
課長になったら、課のマネジメントをすることになります。マネジメントとは、管理ではなく経営です。
出世する課長と普通の課長とでは何が違うのか?
本書では7つのポイントを挙げている。
第一に、出世する課長は新たな期待や要請があるから出世すると考えている。
第二に、出世する課長は「社会的リーダーシップ」を通じて社会に貢献することを考えている。
第三に、出世する課長はさまざまな矛盾を解消することに動機づいているのに対して、普通の課長は矛盾から逃げようとする。
第四に、出世する課長はマネジメントを「職場の経営」と考えているのに対して、普通の課長は「部下を管理すること」と考えている。
第五に、出世する課長は「自分の人格」でリーダーシップを発揮しているのに対して、普通の課長は「役割意識」でリーダーシップを発揮しようとする。
第六に、出世する課長は自分には何ができて、何ができないのかを知っているのに対して、普通の課長は自分のことを理解していない。
第七に、出世する課長はそもそも出世することを目指しているわけではないのに対して、普通の課長は出世することだけを目指している。
と、このようなポイントを挙げている。
特に、第四の「マネジメントを『職場の経営』と考える」ことは重要だ。
マネジメントを部下の管理と考えると、職場は次第に保守的になる。
結果として業績達成がおぼつかなくなる。
課長は経営の一翼を担っているのである。
マネジメントというカタカナ英語を日本語に訳した際、「管理」と言うことがある。
この場合、マネジャーは管理者ということになる。
しかし、マネジメントは管理なのか、よく考えてみる必要がある。
管理とは、秩序や規律をきめ細かく整えること。
もし、マネジメントが管理であり、マネジャーが職場の秩序や規律をきめ細かく整えることばかりに目を向けていたら、職場のメンバーは次第に萎縮し、決められたことしかやらなくなる。
隣りに座っているメンバーに関心を持たず、自分のやるべきことをやって、互いに助け合う雰囲気が薄くなることだろう。
最初は問題があればマネジャーに具申していたメンバーもだんだんと言わなくなることだろう。
行きすぎた管理は組織の保守化を助長する。
組織は達成すべき目的や目標に応じて意図してつくるもの。
しかし、このような保守的な雰囲気に至れば解体せざるを得ない。
その意味で、マネジメントを「管理」と捉えるのか「経営」と捉えるのかは重要だ。
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