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2019年10月 1日 (火)

社会心理学講義/小坂井敏晶

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 意志が行動を決めると我々は感じますが、実は因果関係が逆です。外界の力により行動が引き起こされ、その後に、発露した行動に合致する意志が形成される。そのため意志と行動の隔たりに我々は気づかない。つまり人間は合理的動物ではなく、合理化する動物である。

人間は意志に従って行動を選び取るのではない。

逆に、行動に応じた意識が後になって形成される。

意志や意識は行為の出発点ではない。

これは認知科学でよく知られた事実だ。

近代人が信じるような、統一された精神や自己は存在しない。

例えば異性に恋をするという行為。

相手をなぜ好きなのか自問すると、背が高いから、美人だから、優しいから、高収入だから、有名人だから、料理が上手だから……。

こんな理由を思いつくかも知れない。

しかし好きな理由が明確に意識されるようでは、恋愛感情は芽生えない。

容姿が美しいからならば、もっと美しい人が他にいる。

裕福だからならば、もっと金持ちがいる。

有名人は他にもいっぱいいる。

こうして、恋する相手は唯一の存在でなくなってしまう。

恋と呼ばれるのは、そのような打算や具体的理由を超えて、相手自身が好きだという感覚だ。

とにかく好きだという、曖昧なようで同時に揺るぎない確信だけがある。

つまり自分が恋する相手が何者であるかはわからない。

根拠が隠蔽されるおかげで、恋という心理現象が可能になる。

意志が行動を決めると私たちは感じるが、実は因果関係が逆だ。

外界の力により行動が引き起こされ、その後に、発露した行動に合致する意志が形成される。

そのため意志と行動の隔たりに我々は気づかない。

つまり人間は合理的動物ではなく、合理化する動物である。

これは多くの実験が証明する。

その通りだと思う。

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