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2019年9月11日 (水)

サイコパスの真実/原田隆之

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 サイコパスには、一般の人々と異なるさまざまな特徴があるが、それを専門家でない者が見分けることは、非常に困難である。不可能だといっても言いすぎではない。なぜなら、サイコパスは人を騙すことを得意としているからだ。凶悪事件の犯人に対して、「あんなに優しい人がなぜ」「あんなに礼儀正しく、どこにでもいる普通の人なのに」などの証言がされることがあるが、もしかすると犯人はサイコパスで、周囲が皆、まんまと騙されていたのかもしれない。

サイコパスとは、良心を欠いて生まれた人々である。

サイコパスと聞いて思い浮かぶのは「羊たちの沈黙」のレクター博士である。

しかし、見るからにサイコパスとわかる人物は稀だという。

サイコパスとは多種多様な人々であり、連続殺人事件のような凶悪犯罪に加担している者は、例外的だと言ってよい。

圧倒的大多数のサイコパスは、連続殺人者でもなければ、犯罪者ですらない者もいる。

サイコパスの原因については謎が多いが、さまざまな事実も明らかになりつつある。

なかでも、家庭環境や生育環境にはほとんど原因がないことは、数多くの研究がはっきりと示している。

サイコパスは共感性や良心だけでなく、不安や恐怖心という感情もない。

自分の犯した罪の重さについて、何も感じることができないばかりか、死刑を宣告されたということに対しても心が動かないのである。

行動の統制力が皆無で、衝動性が顕著であることも特徴的である。

イギリスの神経科学者で、現代におけるサイコパス研究の第一人者であるジェームズ・ブレアによれば、およそ一般人口の1パーセントから3パーセント存在すると見積もられている。

人口の1パーセントがサイコパスだとすると、日本の場合、何と百万人を超える数のサイコパスがいることになる。

サイコパスは、対人的に重大な被害をもたらすだけでなく、その対人関係の持ち方には、きわめて特徴的な側面がある。

それを簡単にまとめると、表面的な魅力、他者操作性、虚言癖、誇大化した自尊心などである。

さらに、性的に放縦で、短い婚姻関係を繰り返す傾向も特徴的である。

サイコパスの対人的特徴として筆頭に挙げられるのは、一見人当たりがよく、魅力的であるという点である。

相手を惹きつけるだけの魅力と、卓抜したコミュニケーション能力が、サイコパスの特徴である。

サイコパスは、人を操作する術に長けている。そればかりか、心に弱みや悩みを抱えている人を見抜くのが得意で、そのような人に近づいては、巧みにその心の隙間に取り入ろうとする。

サイコパスは、病的な虚言者でもある。

まさに、息を吐くように噓をつくと言っても過言ではない。

そのため捜査官や心理学者のような専門家ですら、サイコパスには騙されてしまうことが多い。

ときに、サイコパス犯罪者は、取り調べに素直に応じたり、刑務所内では模範的受刑者となったりする。

「自分は生まれ変わった」などと述べ、熱心に治療プログラムを受けたり、通信教育を受講したりする。

しかし、それらはみな、上辺だけの演技であり、噓である。

サイコパスの表面的な人当たりのよさの下には、肥大した自己中心性と傲慢さが隠れている。

また、情緒を表す語彙が乏しく、今抱いている感情を詳しく説明するようにと言われても、細やかな表現ができないことが特徴である。

実際、細やかな心の動きがないので、表現しろと言われてもできないのである。

心の襞がなく、感情に深みや人間味がないのがサイコパスである。

サイコパスには、不安や恐怖心が欠如している。

悪事をはたらくときだけでなく、そもそも彼らは何かにつけ、不安を感じることがない。

そして、名を馳せた政治家、巨大企業の経営者、高名な学者のほか、トップアスリート、有名芸能人やアーティストなどにこのような「成功したサイコパス」が多いと言われている。

例えば、スティーブ・ジョブズやトランプ大統領はサイコパスである可能性が高いというのである。

確かに、世の中で成功するためには、ある面良心は邪魔になることがある。

意外と、日常生活の中で会っている人の中にサイコパスがいるのかもしれない。

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