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2019年9月25日 (水)

最強のデータ分析組織/河本薫

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 私の座右の銘は、医師であり政治家でもあった後藤新平氏の言葉、「金銭を残して死ぬ者は下だ。仕事を残して死ぬ者は中だ。人を残して死ぬ者は上だ」です。データと分析力を武器に、大阪ガスの経営に貢献できる人を残す。後を託せる人を残せなければ、どれだけお金を稼いでも、仕事を広げても評価は「中」どまり。人を残してこそ働いてきた意味があると、自分に言い聞かせています。

大阪ガスは2015年に企業情報化協会から「IT総合賞」を受賞した。

情報化促進貢献個人等表彰では「経済産業大臣賞」を受賞した。

いずれも、企業内にデータ分析専門組織を立ち上げ、ビジネスに貢献できるチームとして機能していることを評価されたもの。

このビジネスアナリシスセンターの歴史と培ってきたノウハウを振り返り、まとめるたものが本書である。

その中で印象に残ったのは、リーダーである著者がたとえ会社が倒産したとしても、どんなところでも通用する人材を育てようとしたというところ。

データ分析組織というと、オタクのような人材が集まった組織をイメージしがちだが、そんな人材は通用しないという。

混沌とした現実問題に対し、「目的」だけを頼りに論点を整理し、その目的を達成するために効果的な「問題設定」ができる力。

データ分析で得られた結果について、算出の前提条件や結果の不確実性まで踏まえた過不足のない理解をして、それを相手に分かりやすく伝わるように記述・説明できる力。

自ら行ったデータ分析や他者によるデータ分析について、本質を突く質問や問いかけを切り出せる力。

疑問をきっかけに、頭の中で整理した「理解」を再構造化できる力。

いずれのメンバーもこうした能力に長けているという。

データ分析を活用できる機会は、オフィスに閉じこもっていくら考えていても見つからない。

現場で働く社員や彼ら彼女らを指揮する本社スタッフとコミュニケーションを取るなかでヒントが見えてくるもの。

データ分析で問題を解くプロセスでも、分析者だけで完結することは少なく、分析結果を現場の担当者に見てもらい、納得感や新たな仮説を引きだしながら試行錯誤を繰り返していく。

加えて、ビジネスアナリシスセンターのメンバーは〝意外〟な能力を持っている。

それは「業務コンサルティング力」。

間接部門の立場で新たなデータ分析に着手する場合、対象となる事業部門の業務課題について事前知識は全くない。

そうしたゼロの状態から、データ分析で業務に役立つには、現場担当者へのヒアリングで業務を理解し、プロセスや費用対効果などの観点から業務プロセスを見直して、問題の所在を突き止める力も持っていなければならない。

単なるデータ分析者だけでなく、「社内コンサルタント」としての能力が求められるということだ。

データ分析で事業部門の業務改革をしようと思えば、最初から最後まで事業部門との連携が必要になる。

「見つける」「解く」「使わせる」のいずれのステップもデータ分析者がオフィスに閉じこもったまま成し遂げられる仕事ではない。

事業部門と連携しなければ何も始まらない。

「見つける」「解く」「使わせる」のいずれのステップにおいても、現場担当者と分析者が役割分担して、流れ作業的に進められるものではなく、両者が一心同体になってこそ、進められるもの。

確かに、このような能力を身に着けた人材は、どの企業に行っても通用するのではないだろうか。

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