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2019年9月12日 (木)

老人喰い/鈴木大介

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「日本の老人は、世界中でも最も金持ちで、最もケチな人種だ。若い人間が食えなくてヒイヒイ言ってる中で、金もってふんぞり返ってるこいつらから、たった200万程度を奪うことに、俺は一切の罪悪感を感じない。むしろ俺はこの仕事を誇りに思ってるよ」

著者が老人喰いの頂点とも言える特殊詐欺犯罪に手を染める若者たちを取材してきて、感じたのは彼らが「夜露の世代」だということ。

彼らと接していると、思い浮かぶのは砂漠の夜。

彼ら若者たちは、砂漠の中で渇いている。

周囲にはすでに枯れたオアシスと、涸れた井戸があるのみ。

今後雨が降る気配もなければ、自分たちで新たに井戸を掘るだけの体力も彼らに残されていない。

ただただ彼らは、夜露をすすって乾きに耐えている。

だが彼らの横には、水がたっぷりつまった革袋を抱えた者たちがいる。

これが、高齢者だ。

大きな誤解は、高齢者を狙う犯罪とは、高齢者が弱者だから、そこにつけ込むというものではないということ。

圧倒的経済弱者である若者たちが、圧倒的経済強者である高齢者に向ける反逆の刃なのだということである。

この歪みまくった日本の階層化社会の中で、彼ら老人喰いの若者たちは必然的に生まれた。

そこにはいわば「闇の再配分」といった位置づけがあり、彼ら自身がそれを大義名分として掲げている。

高齢化社会とは「生産力を失った多くの高齢者を、少数の若者が支える社会」。

そして、かつてないほどに拡大した若者と高齢者の経済格差と、努力しても報われることがあまりに少ない現代の若者の世代観から、必然的に「支えることより奪うこと」を選ぶ者は生まれた。

これが老人喰いだといえるのではないだろうか。

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