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2019年10月16日 (水)

貞観政要/守屋洋

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「言語は君子の枢機なり。談、なんぞ容易ならん。およそ衆庶に在りても、一言、善からざれば、すなわち人これを記し、その恥累を成す。況やこれ万乗の主をや。言を出だすに乖失するところあるべからず。その虧損するところ、至大なり。あに匹夫に同じからんや。われ常にこれをもって戒めとなす。」

「言語は君子にとってこの上なく重要なものである。人と語るということは、はなはだむずかしい。一般の庶民のあいだでも、人と話すとき、一言でも相手の気にさわるようなことを口にすれば、相手はそれをおぼえていて、いつか必ずその仕返しをするものだ。いわんや、万乗の君主たる者、臣下に語るとき、わずかな失言もあってはならない。たとい些細な失言でも、影響するところは大であって、庶民の失言とは同列に論じられない。わたしは、このことを常に肝に銘じている。」


『貞観政要』は、名君の誉れ高い唐の太宗とそれを補佐した名臣たちとの政治問答集である。

太宗の没後四、五十年たったころ、呉兢という中国の史家によって編纂された。

以来、本家の中国はむろんのこと、この日本においても、帝王学の教科書として長く愛読され続けてきた。

当然、原語を読んでもわからないので、著者の訳に頼らねばならないのだが、それを読んでみても、今の指導者にも当てはまる。

上記抜き書きでは指導者は言葉を大切にすべきだと言っているが、これなど失言を繰り返す今の政治家に読ませてあげたい。

『貞観政要』に則して、著者はその内容を次のようにまとめている。

第1に、安きに居りて危うきを思う今が平穏だからといって、明日どうなるかわからないのが世の常のこと。

だから、平穏なときほど、いっそう緊張感を高めて仕事に取り組み、来たるべき危機の時代に備えなければならない。

第2に、率先垂範、わが身を正す『論語』に、「その身正しければ、令せずして行なわる」という有名なことばがある。

上に立つ者が十分な説得力を発揮するためには、まずみずからの身を正して手本を示さなければならない。

そうあってこそ組織をまとめていくことができる。

第3に、部下の諫言に耳を傾ける人間は誰でも過ちを犯す。

君主といえども例外ではない。

それを指摘してくれる者がいれば、過ちを最小限度に食い止めることができる。

みずからの暴走に歯止めをかけるためにも、諫言の道を広く開けておかなければならない。

第4に、自己コントロールに徹する権力の座にあるからといって、わがまま勝手な振る舞いは許されない。

自分の感情や欲望をどう抑えていくか。趣味や道楽などの楽しみごとも、おのずから限度をわきまえてかかりたい。

第5に、態度は謙虚、発言は慎重に上に立つ者が謙虚であってこそ周りの支持を集めることができる。

発言については、「綸言、汗の如し」ということばもある。

地位に伴う責任の重さを自覚できれば、軽率な発言は許されないのである。

指導者としての在り方が明確に述べられていると思う。

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