ほめ言葉の魔法/原邦雄
わたしが大事にしているのが「自尊心の3大欲求」です。これはアメリカの心理学者ウィル・シュッツ博士が提唱したもので、「自己重要感」「自己有能感」「自己好感」という3つの欲求のことです。
ほめ言葉は、家庭や地域、会社での人間関係をよくする。
ほめることがどうして重要か?
それは「自己重要感」「自己有能感」「自己好感」という3つの欲求を満たすことにつながるから。
まず、自己重要感。
これは「自分を大事な存在として認めてほしい」という欲求。
「ありがとう」と言われたときに満たされる。
次に、自己有能感。「的確な意思決定と行動ができるようになりたい」という欲求。
「すごいね」「成長したね」と言われたときに満たされる。
最後に、自己好感。
こちらは「人に好かれたい」という欲求。
「好きだよ」「好感が持てる」などと言われたときに満たされる。
ほめるというのは、相手の人間性を肯定すること。
一見なんでもない、たったひとつのほめ言葉をきっかけに、人生がプラスへと動き出すものです。
効果的なほめ言葉には4つのポイントがある。
第1に、存在を認めてあげる。
ほめて、相手を育てるには、その人のかけがえのない長所を見つけ、伸ばしてあげることが大事。
その大前提となるのが「生まれてきただけで、そこに存在しているだけでまずはOK」という考え方。
それをほめ言葉として相手に届ける。
第2に、自分の翼で飛べるように育ててあげる。
人間は似たような姿形をしていたとしても、中身はそれぞれ違う。
ほかの誰かに大きな翼があるからといって、自分の部下も同じ翼を持っているとは限らない。
大切なのは、自分の部下が持っている翼を見つけ、羽ばたいていけるように育ててあげること。
第3に、根っこに水をあげる。
花を育てるとき、何も考えずにただ水をあげたときと、ちゃんと根っこに届くように水をあげたときでは、同じ花でも育ち具合は変わってくる。
それは人も同じ。
人には、その人しか持っていない長所がある。
それを育てるために、「ほめ言葉」という水を与えることが重要。
「こんなふうに育ってほしい」という愛情を込めながら水をあげ、見守ること。
第4に、ほめっ放しにしない。
ほめすぎると天狗になってしまうことがある。
なので、ときには方向修正をする。
その人が、よくない方向へ進んでしまいそうだと思ったら、そのときは叱ることも必要。
そして、大切なのは、「結果」をほめるのではなく、「行動や努力」、そして「人間性」をほめる、という点。
ほめ言葉の魔法は、実は科学的にも証明されている。
生理学研究所の定藤規弘教授が「ほめられた人は、学んだことを忘れにくくなる」という研究成果を発表している。
ほめることの大切さを再確認させられた。
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