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2019年11月 4日 (月)

「%」が分からない大学生/芳沢光雄

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 数学の学びを、単に「やり方」を覚えるだけの暗記でプロセスの部分を完全に省略するのであれば、それはもはや数学の学びでも何でもなく、テレビで答えを当てるだけのクイズ番組と変わらないだろう。要するに、「やり方」を覚えるだけの暗記の学びだけで育つことは、数学的な考え方を育まないまま人生を送ることになる。

本書は日本の数学教育の警笛の書である。

数学は一歩ずつプロセスを大切にする教科であり、答えを当てる教科ではない。

そのような教科だからこそ、数学を通しての結論は世界中の人々に信頼されている。

ところが現在の数学教育は「やり方」を覚えて真似をするだけの暗記教科になり下がっている。

現実の社会においては、皆が法律やプロセスから脱線しない生き方をすることは残念ながらあり得ないだろう。

それゆえ、毎日、事件やトラブルは絶えない。

しかし数学は、ある意味で理想の世界であって、規則やプロセスを脱線しないことを大切にする世界である。

「問題を解くための手はどこかにある」という諦めない心が、数学に限らず人生全般にわたって大切である。

著者は「問題が解けなくても、せめて15分ぐらいは自分で考える癖をつけることが良い」という。

解けない場合でもしばらく考えてから答えを見たり他人に教えてもらったりすると、迷った分だけ「面」として理解することができる。

そこで、時間を置いてから同じような問題に取り組んでも、なんとか解けるようになることがしばしば生じる。

仮に自力で問題が解けなくても、「線」として理解するのではなく、「面」として問題を理解するためには、時間をかけて問題に取り組むことが大切なのである。

数学は、答えを当てる目的だけの「やり方」を覚える暗記教育ではなく、プロセスを理解させる教育でなくては意味がない。

特に、来たるAI時代に向けた学習では、コンピュータと競うかのような答えを当てる学習スタイルより、論述力のアップを目指す学習スタイルの方が大切なことは言うまでもない。

人材しか大した資源のない日本の将来を考えると、「やり方」を覚えるだけの暗記教育ではなく、プロセスを重視する教育こそ大切ということではないだろうか。

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