ナオミとカナコ/奥田英朗
人間一人をこの世から排除したという点に関しては、ここに至っても思ったほどの罪悪感はなく、人は案外冷酷に出来ているものだと感じ入ったりした。直美に関しても同様だ。あらたまって話はしていないが、あの夜のことをひきずっている様子はない。人間には、自己を正当化するスイッチが生来備わっているのかもしれない。
ナオミとカナコが、暴力をふるうカナコの夫を完全犯罪で殺害する物語。
夫殺しは犯罪であるにも関わらず、なぜか主人公2人に感情移入してしまうのは、著者の筆力の故であろうか。
途中、犯罪がバレそうになりハラハラドキドキさせられる。
人を殺す話なのに読んだ後、爽快感がある。
たまにはこんな小説を読むのもよいと感じた。
« 図解 モチベーション大百科/池田貴将 | トップページ | 「%」が分からない大学生/芳沢光雄 »