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2019年11月23日 (土)

アマゾンと物流大戦争/角井亮一

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 ロジスティクスに力を入れる企業は、ずっと勝ち残っています。本書に登場したアマゾン、ウォルマート、ヨドバシカメラ、アスクル、カクヤスを筆頭に、トヨタ自動車、セブンイレブン・ジャパン、花王、三菱食品、トラスコ中山、サンコーインダストリーなど挙げればきりがありません。すべてロジスティクスでビジネスを制している企業です。

急成長するアマゾン。

その本質はアマゾンが「ロジスティクス・カンパニー」であるからと著者は述べる。

ジェフ・ベゾスが公言する通り、ロジスティクスこそが彼らの最大の強みなのだ。

「ロジスティクス(logistics)」とは何か。

語源は軍事装備の調達や補給、人員や物資の輸送など軍事業務における後方支援活動を意味する「兵站」にある。

ビジネスの世界では、企業の物流合理化手段を意味する。

例えば、需要を予測して物の流れや在庫を管理し、円滑かつ低コストに輸送するなど、物流における最適化を図ることを指す。

なぜアマゾンのロジスティクスが多くのビジネスにとって見過ごせないものになり得るのか。

第一に、ロジスティクスは非常に参入障壁が高いものだから。

洗練されたロジスティクスは、一朝一夕に築き上げられるものではない。

ゆえに、一度強固なロジスティクス網を張り巡らされてしまったら、外から見て真似ることもできず、それに太刀打ちできるロジスティクスを作るのには相当な時間がかかる。

第二の理由は、ロジスティクスがそもそも合理化、低コスト化の手段であるがゆえに、それがアマゾンにとっての磨き上げ続けられる武器になっているから。

アマゾンは徹底して「顧客中心主義」を貫き通すため、商品を供給する側ではなく買う側を優先してきた。

彼らは真正面から声をあげるわけではありませんが、顧客のために透明性の高い価格で、しかも従来よりも低価格でサービスを提供するのが顧客のためだ、というスタンスを絶対に崩すことはない。

アマゾンは高度なロジスティクスを用いて低コスト化を実現し、その利益のほとんどを自社の物流ネットワークを築くための投資に回し、また顧客の代弁者としてさらなる低価格での商品提供のための原資として使う。

ロジスティクスをアマゾンは長期で構築する投資だと考える。

価格を引き下げることで来客数が増え、売上が増える。

すると固定費である物流システムの稼働率も上がり有効活用することができ、さらに低価格にできる。

増えた利益で物流センターを作り、さらに品揃えを充実させることで来客数を伸ばし、売上をアップさせる。

この繰り返しでアマゾンは規模を拡大していった。

私自身がアマゾンのヘビーユーザーなのだが、この利便性は他社にない。

「どうして無料でこんなに早く商品が届くのだろう」と思っていたのだが、本書を読んで、これがアマゾンの長期的な戦略なのだと知った。

今後アマゾンがさらに成長していくのか、強力なライバル企業が現れるのか、非常に興味深い。

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