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2019年12月の31件の記事

2019年12月31日 (火)

「暗黒・中国」からの脱出逃亡・逮捕・拷問・脱獄/顔伯鈞

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 同日夜8時。北京市通州区にある中倉派出所の取調室に連行された。「貴様の問題は極めて深刻だ。党と政府による調査が必要だ。いかなる抗議も無駄と思え!」さながら犯罪者のような扱いに抗議した私に、彼らはそう凄んでみせた。

本書は、中国の改革に向けて人生を捧げた著者の記録である。

中国は今、香港、ウイグル自治区等、人権に関する問題が深刻化している。

しかし、これは今に始まったことではない。

むしろ、中国共産党政権の誕生以来、ずっと続いている問題である。

現代の中国の政治勢力は、共産党内と民間とを合わせて4種類に分かれているという。

まず党内では①習近平のように共産党体制の絶対擁護を目指す勢力と、

②1980年代に改革派の指導者として知られた胡耀邦の衣鉢を継ぐ勢力。

さらに民間では③マンデラやガンディーのような平和的な改革を志向する勢力と、

④内戦も辞さずに民主化を望む勢力、がいる。

著者の属した「公盟」は③である

社会領域の変革こそが真に重要な解決策だ。

公民社会(市民社会)を建設し、民主的な憲政体制を実現することこそ、間違いなく火急の課題である。

これこそが、公盟が新公民運動を進めるにあたっての初志であった。

腐敗した中国共産党官僚の私財公開を求める「公盟」。

ところが、公盟の主力メンバーたちは次々と拘束され、組織は壊滅に瀕することとなる。

政治的な風向きが極めて危険なものに変わりはじめたことで、新公民運動も沈静化していった。

著者はこうした情勢のなかで、捕縛を逃れるために逃亡を余儀なくされた。

メンバーが続々と逮捕される中、著者は逃亡を決意する。

しかし、逃亡先で逮捕され、拷問を受ける。

拘置所での仕打ちは想像を絶するものだ。

20平方メートル足らずの部屋に、40~50人の様々な犯罪者とともに押し込められたというのだ。

まさに寿司詰めの空間だ。

大小便を垂れ流す者もいる。

鼻が曲がりそうなクソの臭いが充満する場所で、食事や睡眠を余儀なくされる。

そこに人間の尊厳はない。

中国共産党の存在目標は明確だ。

いかなる手段をも辞さず、自身の統治者としての地位を保持し続けること自体が目標なのである。

そもそも、近年の中国の政治力や経済力が日本を上回るほど「強く」なった理由は、彼らが人権や民主主義を無視できたからだ。

こんな中国の習近平を来春日本は国賓として迎えるという。

これだけはどうしても納得できない。

2019年12月30日 (月)

明治維新は「戦国時代からはじまっていた!」/跡部蛮

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 戦国最強といわれる武田軍の象徴が騎馬隊。しかし、いまや「武田騎馬隊は存在しなかった」という説が一般的になりつつある。

本書では様々な歴史の通説といわれているものにメスを入れている。

戦国武将の中で人気の武田信玄。

信長も恐れたという。

ところが「武田騎馬隊は存在しなかった」という説が一般的になりつつあるというのである。

いずれにしても、武田勢の強さの秘密として、騎馬武者にばかり依拠するのは無理があろう。

その謎を解き明かすヒントが信玄の叔父・勝沼信友の城郭跡に隠されている。

発掘調査によって、この城跡から金の精錬を行なう工房の痕跡がみつかった。

城郭付近からは碁石の形に鋳造された金貨も多数みつかり、武田がこの勝沼城内で、金貨の鋳造をおこなっていたことがわかる

武田は黒川金山のほか、領国となった信濃・駿河でも「金山衆」と呼ばれるプロの坑夫集団に金山を開発させていた。

戦国時代、金貨は重要な軍資金だったからだ。

とくに鋳造された碁石金には価値を示す刻印がなく、貨幣として流通させるというよりは、功のあった家臣や調略した敵の重臣らに恩賞として与えられる性質のものであった。

武田の金貨は「甲州金」と呼ばれ、品質の高い金貨として全国に名が通っており、調略を得意とした信玄にとって、金貨は版図拡大のための重要な道具だった。

信玄の合戦のやり方は、まず敵を寝返らせ、勝つべくして勝つ手段を用いている。

そう考えると、武田軍団の強さの秘密は〝金の力〟ということになるのかもしれない。

2019年12月29日 (日)

社長って何だ!/丹羽宇一郎

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 社長は「自分の器」以上に会社を大きくできません。社長の器が大きければ、それだけ大きな事業を考えるように思えます。

伊藤忠の社長を7年間務めた著者が社長業について述べているのが本書である。

社長といっても大企業の社長と中小企業の社長とは違う。

大企業の社長はいわゆるサラリーマン社長であって、順番で社長になり、数年勤めたら、次の人に譲る。

一方、中小企業の社長はほとんどがオーナー社長であって、会社が潰れれば夜逃げや首つりだ。

本気度が違う。

著者が「現場に足を運べ」と繰り返し言っているのも、大企業の社長の故であろう。

ただし、大企業の社長であろうと、中小企業の社長であろうと共通することがある。

それは社員の人生を左右するポジションについているということである。

社長の最大の仕事は、最大の資産である人間をどのようにして生かし、動かし、活用するかだ。

社員の雇用を守り、育成することこそが社長の務め。

それがひいては家族や地域、あるいは社会全体への貢献になる。

問題はそれをどのように進めていくかだ。

社長は現在の職場の実態から現行のシステム、社員の言動までを見据えて人材を育成し、組織を統括していく必要がある。

権限を委譲することも人材を育成する際のポイントだ。

志を高く持てるのは、自分に責任があると思うから。

人から期待の視線を一身に浴びるから自分を律して実行できる。

権限を与えられると、人はそれだけ張り切って働く。

場合によっては、能力以上の力を発揮する。

権限を与えられた人間が自ら考え、決断してゆくことで能力が磨かれる。

ひとつの仕事を完遂させ、報告させ、徹底的に任せる。

そうして経験を積ませる。

必要なのは、苦労の末に成功したときの達成感と充実感を一度体験させること。

経験上、これができる社長の会社は成長する。

「社長って何だ!」

苦労は多いが、この世で最もやりがいのある仕事の一つではないだろうか。

2019年12月28日 (土)

他者と働く/宇田川元一

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 対話とは、権限や立場と関係なく誰にでも、自分の中に相手を見出すこと、相手の中に自分を見出すことで、双方向にお互いを受け入れ合っていくことを意味します。

組織とはそもそも「関係性」である。

私たちは組織がモノとして存在しているように考えている。

しかし、私たちが勤めている会社を考えてみると、そこには、人がいて建物はあっても組織はモノとしては存在せず、実は誰もそれ自体を見たことがない。

でも、私たちはその組織のために毎日出勤したり、会議をしたりする。

つまり、組織の実質とは、実は私たちを動かしている関係性そのものなのだ。

だからこそ、対話が必要になる。

対話とは、一言で言うと「新しい関係性を構築すること」。

これは哲学者のマルティン・ブーバーやミハイル・バフチンらが用いた「対話主義」や「対話概念」と呼ばれるものに根ざしている。

マルティン・ブーバーは、人間同士の関係性を大きく2つに分類した。

ひとつは「私とそれ」の関係性であり、もうひとつは「私とあなた」の関係性。

組織がうまく機能するためには、「私とそれ」を「私とあなた」に再構築する必要がある。

例えば、開発部と営業部が対立していたとする。

その場合、開発部は、「自分たちの開発した製品を売ってくれない営業部」という、まさに「私とそれ」の関係性になっている。

それが、対話のプロセスを回していくことで、「営業部が仕事を頑張りやすいように自分たちも頑張るし、自分たちの頑張りに応えてくれる営業部」というような「私とあなた」の関係へと、変化が起きる。

変化のスピードが求められる現代だからこそ対話が大事だということではないだろうか。

2019年12月27日 (金)

米韓同盟消滅/鈴置高史

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 米国の後ろ盾を失えば、韓国は表向きは中立を唱えるだろうが、実質的には中国の勢力圏に入る可能性が高い。朝鮮半島は日清戦争以前の状態に戻り、百数十年ぶりに日本は大陸と直接向き合うことになる。トランプ政権と金正恩政権は「北朝鮮の核放棄」と「米韓同盟の廃棄」を取引し始めた。

著者は本書で米韓同盟がやがて消滅すると述べている。

本書が出版されたのは1年以上前なのだが、今まさにそのことが現実味を帯びてきている。

文在寅大統領は「対米従属こそが諸悪の根源」という発想の持ち主だ。

韓国の歴代大統領は米韓同盟を外交の基軸に据えていた。

左派の金大中氏や文在寅氏の盟友の盧武鉉氏でさえ、本心はともかく公式には米国との紐帯を訴えた。

文在寅氏は大統領選挙の時から、米国を裏切り北朝鮮に寄りそう姿勢を打ち出していた。

候補者の討論会で司会者から「もし、米国が北朝鮮に軍事行動を実施しようとしたら、どうするか」と聞かれ、こう答えた。

まず、米国の大統領に電話し、我々との同意がない米国の一方的な先制攻撃は認めないことを知らせ、留保させる。

次に、全軍に非常命令を下し、国家非常体制を稼働する。

ホットラインを初めとする複数のチャネルを通じ、北朝鮮に対し米国の先制打撃の口実となるような挑発を即刻中断するように要請する。

その過程では中国とも協調する。

北朝鮮に対し、米国の先制攻撃を知らせる、と言ったのだ。

それでは先制攻撃ではなくなってしまう。

反米左派の思想家、李泳禧氏は『転換時代の論理』で「米帝国主義は世界の諸民族の内紛に付けこんで軍隊を送り、覇権を維持している」と米国に対する憎悪を理論化し、韓国人に大きな影響を与えた。

文在寅氏も大学生の時からこの本を愛読し、2017年の大統領選挙の前には「国民が読むべき1冊の本」として挙げた。

つまり文在寅大統領の反米は今に始まったことではなく、筋金入りの反米なのである。

このような文在寅大統領を米国が信用するはずがない。

そもそもトランプ氏は就任前から米韓同盟に否定的だった。

捨てるつもりの同盟と引き換えに非核化を実現できるのなら、願ってもない話だ。

元々、米韓同盟は米国にとって「気乗りのしない同盟」であった。

米韓相互防衛条約は朝鮮戦争後の1953年10月1日に結ばれたが、李承晩大統領の捨て身の訴えあってのことだった。

北朝鮮は「核のない朝鮮半島」という言葉を「北朝鮮の核の廃棄」と「米国が韓国に提供する核の傘の廃棄」を同時に実施するとの意味で使ってきた。

その2つの実現に向け、南北は責任を持って国際社会、米国を説得しようと合意したのだ。

米国も共同声明に「板門店宣言を再確認し」と盛り込むことで、北朝鮮の核放棄と引き換えに、韓国に提供する核の傘の放棄、つまりは米韓同盟の廃棄を約束したことになる。

しかし、北が核を放棄することは考えられない。

もしその状態で米韓同盟が消滅したらどうなるのか。

冷静に考えれば「核を持つ方」が「カネがある方」を支配するに決まっている。

しかも「核を持つ方」は名うての人権蹂躙国家だ。

いくら同胞といっても、そんな国に支配されて韓国人が満足するとは思えない。

韓国人はどこで道を間違って、不幸な迷路に入り込んでしまったのだろう。

なぜ、米国から捨てられるまで無神経な外交を続けるのだろう。

南北朝鮮と米国の動きに目が離せない。

2019年12月26日 (木)

不動産屋のぶっちゃけ話/関田タカシ

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 怒鳴り声がこちらまで筒抜けだ。別の部屋にいる意味がない。そんな中、上司から指令が下った。
「お前、ちょっと様子見てこいよ」
「は、はあ……」
 そのときである。隣の部屋で、ガシャン!と、何かが割れる音がしたので、私は慌ててドアを開けてみた。
「大丈夫ですか!?」と言いながら見た部屋の床には、割れた皿が散乱していた。
 さらにその隣には、なんと、包丁を持った奥様が立っていた。大ごとだ。
「ちょ……落ち着いてください!」
 ご主人を後ろに下がらせつつ、私は奥様のほうを向き、両手を上から下におろすジェスチャーを必死で繰り返す。
「奥様、それは置いてください!とりあえずそれだけは!!」
「それ」というのは、もちろん奥様が両手で握り締めている包丁だ。
 だが、一瞬背後を振り返ると、ご主人は「またか」という顔をしていた。よくあることなのだろうか。だとすれば、離婚するのも仕方がないかもしれない……。

本書は不動産営業マンの体験談。

不動産の売買仲介業は、衣食住の一角たる「住」を担うこともあって、大昔から存在する産業だ。

もちろん、時代に適したウェブでの攻勢も行われているが、依然としてポストへのチラシ投函や折り込み広告といった媒体も現役であり、昔ながらの営業ツール・営業手法が多用され、泥臭い部分も少なくない。

不動産売買仲介業者の給与体系は、ざっくりと分けて、以下の2パターンに分類できる。

①「固定給:少ない/歩合の割合:高い」

②「固定給:ボチボチ/歩合の割合:低い」

私も以前、顧問先に不動産会社があったが、そこの給与体系は前者①であった。

年収1500万円の営業マンもいれば、年収300万円の営業マンもいた。

ある意味、シビアな世界である。

そこには様々なドラマがうまれる。

上記は、一度は住まいとして使われたものの、早々に売りに出されることとなった中古物件の話。

このようなまだ新しいマンションや一戸建てについて、その所有者、特に若い方から売却の相談を受けた場合、ある程度の経験がある不動産売買仲介の営業マンは、「離婚かな?」と想像する。

そして、この想像は十中八九当たるのというのである。

離婚が原因の中古物件を扱う際、仲介業者として困るのが、「夫婦喧嘩が始まってしまう」ケース。

上記抜き書きは、その一例。

でも、合理性だけで動かないのが営業というもので、逆にそこに面白みがあるのではないだろうか。

2019年12月25日 (水)

1兆ドルコーチ/エリック・シュミット、他

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 「人を大切にするには、人に関心を持たなくてはならない」。これは私たちがビルとの会話で何度か聞いた言葉だ。何かの古い名言のようだが、そうではない。少なくともネット検索では見つからなかった。よって私たちはここに著作権を主張する——「人を大切にするには、人に関心を持たなくてはならない」!

アップルのスティーブ・ジョブズやグーグルのラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリン等、数々のリーダーをコーチしたビル・キャンベル。

ビルのコーチングの軸は「人を大切にする」というものだった。

ビルは人を大切にした。

どんな人にも敬意をもって接し、名前を覚え、温かい言葉をかけた。

彼らの家族のことを気にかけ、言葉より行動でそれを示した。

人は高みに上れば上るほど、自分が成功するために他人を成功させることがますます必要になる。

そしてそれを助けるのが、コーチなのだ。

コーチは私たちのポテンシャルをただ信じるだけでなく、さらに一歩踏み込み、私たちがポテンシャルを実現できるように助けてくれる。

私たちに自分の盲点が見えるように鏡をかざし、弱みに正面から向き合えるようにしてくれる。

私たちがよりよい人間になれるよう手を貸してくれるが、私たちの功績を自分の手柄にはしない。

どんな会社の成功を支えるのも、人だ。

マネジャーのいちばん大事な仕事は、部下が仕事で実力を発揮し、成長し、発展できるように手を貸すことだ。

優秀な人材は、持てるエネルギーを解放し、増幅できる環境でこそ成功する。

マネジャーは「支援」「敬意」「信頼」を通じて、その環境を生み出すべきだ。

「1on1を正しくやる」と「スタッフミーティングを正しくやる」が、彼のマネジメントの最重要原則の筆頭にあった。

この二つのミーティングは、幹部が会社運営に利用できる最重要ツールで、それぞれを思慮深く行う必要があると、ビルは考えていた。

彼は思慮深く一貫したコミュニケーションの手法を持っていた。

決断力を重んじ、力のあるマネジャーは議論のフェーズが終わったと判断すれば、みずから決断を下すべきだと信じていた。

常識外れの行動を取りがちな強力なパフォーマー、いわゆる「規格外の天才」を高く買っていたが、チームをリスクにさらすような行動を取れば、ただちに排除すべきだと考えていた。

すぐれた企業の核にはすぐれたプロダクトとチームがあり、それ以外のすべては、これらの核を支えるものでなくてはならないと信じていた。

彼は人間関係が信頼の上に築かれることを理解し、一緒に働く人たちの信頼と誠意を得るために力を注いだ。

じっくりと耳を傾け、思い切り率直になり、彼らの可能性を彼ら自身よりも信じた。

チームを何よりも重要と見なし、「チーム・ファースト」の行動を重視し、どんな問題にぶつかっても、問題そのものよりも、まずはチームについて考えた。

最も深刻な問題、いわゆる「部屋のなかのゾウ」を見つけてどまんなかに引っ張り出し、まずはそれに対処するようチームに促した。

舞台裏で行動し、廊下での立ち話や電話、1on1ミーティングでコミュニケーションギャップを埋めた。

リーダーに、とくに困難な状況では先陣に立つようハッパをかけた。

多様性を重んじ、職場でありのままの自分でいるよう教えた。

彼は人を愛した。

自分がつくったコミュニティや参加したコミュニティに愛を持ち込んだ。

そして、職場に愛を持ち込んでもいいのだと人に教えた。

これらはすべて「人を大切にする」というビルの考えから出た行動だ。

ぶれない軸を持つこと。

優れたコーチに必要不可欠な要素といえるのではないだろうか。

2019年12月24日 (火)

「プロジェクトマネジメント」実践講座/伊藤大輔

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 プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトを「やりくり」することです。なぜ「やりくり」が必要なのか。それはプロジェクトの目標は未来にあり、常に不確実性が存在するからです。この不確実性を取り除き目標達成の成功率を高めるために「やりくり」が必要なのです。

プロジェクトの推進役はこれまで何度もしたことがある

プロジェクトとは、新しい独自の目標を設定して、期限を設けてそれを達成させる一連の活動だ。

私の場合、ほとんど人事制度改革プロジェクトなのだが、これまで予定通り進んだ試しがない。

途中で経営層から邪魔が入ったり、メンバーが反発したり、様々なことが起こる。

それを一つひとつ乗り越えて初めて成功することができる。

プロジェクトを推進するうえで、大事なのは目的と目標である。

目的とは「実現を目指すあるべき状態」「未来への行動を方向付けるもの」。

目標は「目的に達するために、目印になるもの」「目的に向かって行動するにあたって実現、達成を目指す水準」など。

目的は概念的なものが多い一方で、目標は具体的なものが多い。

プロジェクトの目的・目標は明確であればあるほどプロジェクトによい影響を及ぼす。

目標が明確でないと、何のためにこの仕事をしているのか、なぜその仕事をするのかなどに疑問を持ち、モチベーション高く仕事に向き合えない可能性が高まる。

そして、プロジェクトで達成すべきものは何か、それを成し遂げるために「逆算」で何をするべきか、ゴールから考える。

プロジェクト実行中はこの計画と実績の差をいかに小さくして実績を計画に近づけるか、または計画と実績の差が大きすぎる場合、合理的な思考をもとに計画を変更・修正していく必要がある。

結局、プロジェクトの成否は、この修正能力にかかっているといえるのではないだろうか。

2019年12月23日 (月)

残酷すぎる成功法則/エリック・バーカー

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『卓越したアーティストの人格的特性』と題する研究では、創造的分野で大成功しているアーティストは、活躍がそれほどでもないアーティストに比べて、サイコパシー傾向が著しく高い数値を示すことが証明された。また別の研究でも、功績が華々しい大統領は、サイコパシーの度合いが高いとされている。

成功とは何だろう?

世に成功者といわれていて、実は人間的に問題のある人は多い。

ウィンストン・チャーチルはイギリスの首相になるはずがない男だった。

たしかに切れ者ではあるが、その一方で偏執的で、何をしでかすかわからない危険人物というのがもっぱらの世評だったからだ。

チャーチルは、異端の政治家だった。

愛国心に満ち溢れ、イギリスへの潜在脅威に対してパラノイア的な防衛意識を貫いた。

ガンジーさえも危険視し、インドの自治を求める平和的な運動にも猛反対した。

チャーチルは自国を脅かすあらゆる脅威に声高に騒ぎたてるチキン・リトルだったが、まさにその難点ゆえに、歴史上最も尊敬される指導者の一人となった。

バーナード・ショーは「真の芸術家は妻を飢えさせ、子どもを裸足でいさせ、70になる母親を働かせて生活を工面させ、自分の芸術以外のことは何もしない」と言った。

モーツァルトは、妻が今まさに第一子を産もうというとき、家の別室にいた。

もちろん作曲をしていたのだ。

ユニークな資質とは、日ごろはネガティブな性質、欠点だと捉えられていながら、ある特殊な状況下で強みになるものだ。

そうした資質は、本来は毒でありながら、ある状況下では本人の仕事ぶりを飛躍的に高めてくれるカンフル剤になる。

彼らは成功を手に入れるが、反面、幸せへの鍵である大切な人間関係を犠牲にすることがある。

そのような事例を見るにつけ、成功とは何だろう?と思ってしまう。

2019年12月22日 (日)

発達障害の子どもを理解する/小西行郎

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 発達障害が社会的に広く認知される以前の日本では、集団活動ができない子ども、パニックを起こす子ども、多動の子どもは、「あまのじゃく」「つむじ曲がり」「かんしゃくもち」「おっちょこちょい」「粗忽者」と呼ばれ、人とちょっと違う一風変わった感じも、その子らしさの一つとして暗黙のうちに受け入れられていました。少なくとも、今日のように子どもの様子や性格を簡単に障害や疾患と結びつけない、慎重さや寛容さがありました。

近年、発達障害と診断される人が増えているという。

そして、私の長男も発達障害である。

医学的には、発達障害とは、「発育期の脳に何らかの要因が加わり脳の発達が阻害された結果運動、行動、発達の遅れ、言葉の遅れ、その他様々な神経学的症状が生じ、発達に障害をきたした状態」と定義されている。


発達障害が脳障害によって起こるということが分かっている。

コミュニケーションの取り方に障害があることがわかっていても、それがいつ、どのようにして起こるのかほとんど明らかにされていない。

そのため、なぜ子どもたちがそのような行動をとるのか「行動の理由」が理解できず、周囲は困惑することになる。

発達障害の息子を見て思うのは、「君が見ているものを私にも教えてほしい」ということ。

世の中をどのように見て・聞いて・感じているのか?

それを知りたい。

それが発達障害の理解に近づく第一歩なのではないだろうか。

2019年12月21日 (土)

新・臨床心理学事典/石川勇一

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 臨死体験は病的な幻覚ではないかという説もありますが、幻覚の場合は意識が混濁し、幻覚によって状態が悪化するのが普通であるのに対し、臨死体験の場合には意識が澄明で、論理的思考力も失われず、事後にはむしろ好影響を与えることが多いので、幻覚とは区別するのが妥当ではないか考えられます。

本書は「事典」と称している通り、臨床心理学について網羅的に記述したものである。

中でも興味深いのは臨死体験について記していること。

心理学者のケネス・リングは、死にかかって蘇生した人102名にインタビューを行い、48%にあたる49名が臨死体験をしていることを突きとめたという。

そして、臨死体験と年齢、性別、人種、教育程度、職業、宗教、信仰心などの関連性を調べてみると、なにひとつ相関がないという。

更に、臨死体験は、その後に体験者の態度・信念・価値観を大きく変化させるという重要な事後効果があることが分かっている。

もっとも多い変化は、死を恐れなくなること、内面的な宗教性の高まり、他者への受容性が増す、物質主義や競争主義的な傾向が弱まる、などだ。

キューブラ・ロスは臨死体験を語る患者にも数多く出会った。

死んだ両親に出会った人、事故で視力を失ったのに目が見えるようになった女性、存在を知らされていなかった生前に亡くなった兄に抱かれたと語る少女など、驚くべき逸話が数多くある。

さらに、キューブラー・ロス自身が、死者と出会い、対話をする体験をして、はじめは信じていなかった死後の生命を疑うことができなくなった。

キューブラ・ロスはその著書『人生は回る輪のように』のなかで語っている。

死は怖くない。

死は人生でもっとも素晴らしい経験にもなりうる。

そうなるかどうかは、その人がどう生きているかにかかっている。

すべての試練は、実際には神からの贈り物である。

それらは成長の機会であり、成長こそがいのちのただひとつの目的なのだ。

まず自分を癒さなければ世界を癒すことはできない。

今日は昨日したことに、明日は今日することによって左右される。

毎日が人生最後の日だと思って生きなさい。

・・・と。

勇気を与えてくれる言葉ではないだろうか。

2019年12月20日 (金)

人生が変わる最高の呼吸法/パトリック・マキューン

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 簡単な方法で、高地トレーニングと同じ効果を上げることができる。その簡単な方法とは、「鼻呼吸」だ。日常生活や、本書で紹介するエクササイズを行うときに、口を閉じて鼻だけで呼吸していれば、高地と同じ酸素の少ない状態を再現できる。鼻呼吸だけで強度の高いエクササイズを行うと、たしかにかなり息苦しさを感じるだろう。しかしその息苦しさこそが、効果が上がっている証拠だ。

本書で言っていることは、私たちは呼吸によって酸素を取り入れすぎているということ。

それによってすぐ疲れる体になってしまっている。

大事なことは鼻呼吸を身につけ、呼吸量を調整すること。

食べ物や水に適正量があるのなら、空気にもあってしかるべき。

特に重要なのは二酸化炭素の量の調整。

二酸化炭素は、血中の酸素が体内に取り込まれる量を決めるという、重要な役割を果たしている。

二酸化炭素のこの働きは、「ボーア効果」と呼ばれている。

このボーア効果を理解して活用することが、正しい呼吸を身につけるカギになる。

ボーア効果はすでに100年以上も前に発見されていて、血中の酸素が筋肉や臓器に送られるメカニズムを説明している。

正しく呼吸すれば、血中の二酸化炭素が増え、筋肉や臓器に送られる酸素の量も増える。

その結果、運動機能も向上する。

つまり正しく呼吸すれば、体に本来備わっている機能を十分に活用できるということだ。

意外に思うかもしれないが、正しい呼吸で大切なのは、酸素ではなく、二酸化炭素だ。

呼吸のペースと量を決めているのは、脳の中にあるサーモスタットのような機能で、サーモスタットが暖房の温度を調節しているように、脳も呼吸を調節している。

サーモスタットは温度を監視しているが、この脳の中にある受容体が監視しているのは、血液の中にある「酸素と二酸化炭素の量」と、「血液の酸性度(pH値)」だ。

血中の二酸化炭素濃度がある一定の値を超えると、脳の受容体はそれを感知して、呼吸をして余分な二酸化炭素を排出しなさいという命令を出す。

言い換えると、呼吸のいちばんの目的は、体内にある余分な二酸化炭素を排出することだ。

ここでいちばん大切なのは、ヘモグロビンが体内に酸素を放出するのは、血中に二酸化炭素があるときだけだということだ。

呼吸過多の状態になると、吐く息が多すぎるので、肺、血液、組織、細胞の中の二酸化炭素が適量よりも少なくなる。

二酸化炭素は、呼吸、血流、筋肉への酸素の放出だけでなく、正常なpH値を保つうえでも重要な役割を果たしている。

簡単にいうと、体内の二酸化炭素が、私たちの健康状態を決めているということだ。

正しく呼吸すれば、体内の二酸化炭素も適正量になり、体の各部位が正しく機能する。

そして運動時に、最高の体力、持久力、パフォーマンスを達成できる。

そのためのカギは正しい鼻呼吸を身につけること。

人間の鼻は呼吸のためにあり、口は食事のためにある。

生まれたばかりの赤ちゃんは、みんな鼻呼吸だ。

本書ではそのために様々なエクササイズが紹介されている。

中でもすぐ実行できそうだなと思ったのは、自転車を漕ぎながら息を止めるエクササイズ。

①体が温まったら息を吐いてから息を止める。息を止めたまま5〜15回ペダルを漕ぐ

②鼻で呼吸を再開し、鼻呼吸をしながら1分ほど自転車を漕ぐ

③自転車を漕ぎながらこのエクササイズを8回から10回くり返す

まずこれをやってみようと思う。

2019年12月19日 (木)

プラットフォーム革命/アレックス・モザド、ニコラス・L・ジョンソン

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 世界がよりコネクトされると、企業が何を所有しているかよりも、何を結びつけられるかのほうが重要になる。現在最も価値が高い企業は、大規模なネットワークを構築して調整できる企業であって、社内に大量の資源をためこみ、それを動かす企業ではない。

現在、世界で最も成功した企業の一部は、プラットフォーム・ビジネスモデルを中核に据えている。

プラットフォームは私たちの経済で支配的な地位を築きつつある。

プラットフォーム・ビジネスは今後数十年にわたり、拡大を続けるに違いない。

プラットフォームは私たちの働き方、ビジネスのやり方、そして他人とのつながり方に革命を起こして、産業と社会をがらりと変えるだろう。

プラットフォームとは何か。

それは複数のユーザーグループや、消費者とプロデューサーの間での価値交換を円滑化するビジネスモデルだ。

この交換を実現させるために、プラットフォームは、ユーザーとリソースからなり、好きなときにアクセスできるスケール化可能な大型ネットワークを作る。

また、プラットフォームは、ユーザーが交流し、取引ができるコミュニティーと市場を作る。

すなわち相互に依存する複数のグループを結びつけ、すべてのグループが恩恵を得られるようにするビジネスだ。

プラットフォーム・ビジネスによって、価値が作られる場所に重大なシフトが起きている。

もはや価値を生み出すのは企業だけではない。消費者が価値を作り、それをシェアするようになった。

ウィキペディアはその典型だ。

ウィキペディアの登場により、ブリタニカ百科事典は初刊行から244年目となる2012年に、印刷版の販売を終了した。

組織化されていない個人が自発的に参加する分散型ネットワークが、これまで垂直統合された会社の中で生み出されてきた多くの生産活動を乗っ取ったのだ。

ウィキペディアが示すように、緩やかに組織された個人のコミュニティーは、あらゆる企業に取って代わる可能性がある。

医療、金融の業界は、みなプラットフォーム企業の影響によって、すでに変わりつつある。

しかしどの業界にも、もっと大きなプラットフォームが、もっとたくさん登場するのではないだろうか。

2019年12月18日 (水)

ユニクロ帝国の光と影/横田増生

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「会社というのは、何も努力しなければつぶれるもの。常に『正常な危機感』をもって経営しなくてはいけない。会社を成長発展させようと考えたら、『現状満足』は愚の骨頂だ。現状を否定し、常に改革し続けなければならない。それができない会社は死を待つだけである」


本書はユニクロとその創業者である柳井氏の主に「影」の部分について書かれている。

確かに、ユニクロの現場はブラックな部分がある。

労働環境が過酷であったり、執行役員が次々変わったり、一時期玉塚氏に社長を譲っておりながら、ある日突然解任し社長に復帰したりと。

著者はユニクロでは労働者が「使い捨て」にされているという。

しかし、それだけではユニクロが世界的な企業に成長することはできなかったはず。

社長のカリスマ性だけで引っ張っていけるものではない。

やはり、「光」の部分もあるから成長してゆけたのだろう。

その意味で、本書は少しバランスの欠けた記述になっているような気がする。

2019年12月17日 (火)

集中力がある人のストレス管理のキホン/川野泰周

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 ストレスに立ち向かうには、どうすればいいのでしょうか?それは、「ストレスはなくならない」という前提に立ち、ストレスを乗り越え、糧にする術を身につければいいのです。社会的に名を上げる人、一流のビジネスパーソンたちは、仕事で実績を出しているだけでなく、その成功の裏に発生した無数のストレスを的確に管理できたからこそ、一流になれたのです。

「ストレス」は、もともと物理学の言葉である。

まっすぐな物を曲げようとする際などに生じる物理的な力のことを、「ストレス」と言う。

それを人間に当てはめ、心に負荷がかかった状態を「ストレス」と呼んでいる。

つまり、ストレスとは、「理性」と「感情」がぶつかって、負荷がかかったときに生まれる精神的、心理的軋轢だ。

言い返したいのに言い返せない……。

やりたくないのにやるしかない……。

このように理性と感情が一致しないと、「葛藤」が生まれる。

ストレスは生きている限りなくならない。

だとすれば、「ストレスはなくならない」という前提に立ち、ストレスを乗り越え、糧にする術を身につけることだ。

なくすことはできないストレスだが、どんな状態になるとストレスが生じるのか、そのしくみを理解すれば、予防し対処することができる。

ストレスは、必ずしも悪いものではない。

例えば、ストレスはうまく使えば、マイナスではなくプラスに、飛躍的に成長することにつながる。

集中力を高め、心身を健康的に保てば、仕事だけでなく、人生そのものを心から楽しめるようになる。

人間は、自分のキャパシティよりも少しだけ上を目指し、常に少しだけ負荷がかかっているときに、フロー状態になると言われている。

ストレスがちょうど良くかかっている状態が人を一番成長させる。

成功している人たちはみな、自分自身の「キャパシティ」を理解し、適度なストレスの中でハイパフォーマンスを発揮している。

彼らはトラブルが起きると、焦ってパニックになるのではなく、「どうしたらこの状況を乗り越えられるか」ということに力を割く。

つまり、ストレスは悪と決めつけるのではなく、ストレスとうまく付き合う術を身につけること。

これが一番大切ということではないだろうか。

2019年12月16日 (月)

「仕事ができるやつ」になる最短の道/安達裕哉

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 仕事のスタイルはさまざまなので、ここでその是非を問うことはしない。しかし、私が出会った、いわゆる「仕事のできる人たち」は、概ね「アウトプット」派であったように感じる。

仕事のできる人になる秘訣は「まずはアウトプットを中心に据えること」を意識することであろう。

小さな変化は「任された仕事をきちんとこなす」ことから始まる。

著者は駆け出しだったころ、上司から次の8つのことを教わったという。

1つ目は、「納期を確認する」こと。

納期を守れない人は社会人として失格だとみなされる。

納期の遵守は信用を獲得し、納期の遵守は人の能力を高め、納期の遵守はお金を生み出す。

2つ目は、「成果を仕事の依頼者と合意する」こと。

仕事をまかせる側が、成果を明確にしてから依頼をするケースは実は少ない。

まかせる側は、成果があいまいで、考えるのに手間がかかるから、信頼できる相手にそれをまかせる。

したがって、相手と会話し、本音を引き出し、成果を合意せよ。

合意できれば、仕事は半分終わっているも同然だ。

3つ目は、「仕事を分割する」こと。

依頼された仕事は、大きな岩の固まりのようなものだ。

そのままでは扱うことができないし、誰かの手を借りることもできない。

誰かの手を借りたいなら、ノウハウを人から教えてほしいなら、スケジュールをつくるなら、分割すること。そうして初めて、取り扱うことができる。

4つ目は、「難しい仕事から取りかかる」こと。

一般的に難しいといわれる仕事、とくに、どうしたら良いかよくわからない仕事は、思っているよりもはるかに時間がかかる。

おそらく見積もりの2倍から3倍はかかる。

あとになって納期が迫っているときにそれがわかっても手遅れだ。

5つ目は、「行き詰まったら、即、相談する」こと。

仕事をまかせる側もすべてを見通しているわけではない。

なかには絶対に無理な要求も存在する。

そして、それは仕事に取りかかってみないとわからない。

無理とわかってやり続けるのはお互いにとってマイナスだ。

その際は、必ず仕事の依頼者に即、相談せよ。

相談が遅れれば遅れるほど、自分の信用に関わる話となる。

6つ目は、「説明責任を果たす」こと。

仕事をまかせた側は常に不安だ。

そして、その不安を解消する責任は、仕事を引き受けた側にある。

少なくとも1週間に1回は報告せよ。

また、丁寧な説明を心がけよ。

冗長にならず、省略しすぎず、適切な情報開示を心がけよ。

資料のわかりやすさ、話のわかりやすさはそのまま自分の信用につながる。

7つ目は、「自分でゼロから考えず、前例を探す」こと。

ゼロから考えることは、「車輪の再発明」と同じで、100パーセント無駄だ。

すでに誰かが発見していることを、もう一度自分でやり直す必要はない。

会社の仕事は同じようなことが繰り返されている。

まずは前例を探せ。

なにもなければ友だちや、社外の人に聞け。

それでもなければ、本をそろえて、そのなかから探せ。

必ず目的の物はある。

8つ目は、「人への依頼は早めにし、1つ目~7つ目のことを守らせる」こと。

仕事は自分だけで完結することはほとんどない。

他者の協力が必要な仕事はできるだけ早めに依頼せよ。

その際に、気をつけることは、1つ目~7つ目を相手に守らせることだ。

以上8つである。

これらのこと、新人の頃、しっかり教わっていれば、その後の確実な成長につながるのではないだろうか。

2019年12月15日 (日)

文章を整える技術/下良果林

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 推敲とは読者への「思いやり」。「思いやり」のない文章が、読み手に好印象を与えられるはずはありません。思いやりの心をもって文章を読みやすく整えることが重要です。


本書では、書き終えた文章を読み返し、手を加える作業全般を「推敲」とし、推敲にあたって気をつけておきたいポイントを紹介している。

なぜ、あとから見直してみて「うわっ!」と思う文章になってしまうのか。

それは書いてから十分な作業をせずに終えてしまうから。

書いたあとにするべき作業、それが「推敲」だ。

文章を読み返してみて、回りくどい、説明が長すぎて退屈に思える、読んでいてテンポが悪いと感じられるなどの箇所には手を入れ、容赦なく削る。

この作業こそが、文章作成時には必要。

文章のプロほど「書いたあと」の作業、すなわち推敲を大切にしている。

推敲するためにチェックリストは次の通り。

●誤字・脱字はないか

●接続詞は多すぎないか

●主語と述語のつながりは適切か

●読み手がわかりにくい専門用語は含まれていないか

●句読点や括弧は適切に入っているか

●適度な「一行あけ」はあるか

●表記ゆれはないか

●一文あたりの「最長文字数」を超えていないか

●不要な文章が含まれていないか

●商品名・人名などの固有名詞は正しいか

●価格や割引率などの数字は正しいか

●リンク先URLは正しいか媒体に

こだけでも参考になるのではないだろうか。

もっともこのブログ自体、推敲などしておらず、書きなぐってそのまま放置しているのだが。

2019年12月14日 (土)

マインド・コントロール/岡田尊司

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 マインド・コントロールの問題は、結局は自立と依存の問題に行きつく。そこで問われるのは、われわれがどれだけ主体的に生きることができるか、なのである。

マインド・コントロールという言葉で思い出すのは、オウム真理教や統一教会の信者である。

主体的に考えることを許さず、絶対的な受動状態を作り出すことが、マインド・コントロールの基本である。

マインド・コントロールされやすい要因は五つある。

①依存的なパーソナリティ

本人の要因として、重要なのは、パーソナリティの特性である。

中でも、マインド・コントロールをもっとも受けやすいのは、依存性パーソナリティとして知られるタイプである。

②高い被暗示性依存性

パーソナリティとともに、マインド・コントロールを受けやすい特性としては、被暗示性の高さが重要である。

被暗示性の高い人の特徴としては、(1)人の言葉を真に受けやすく影響されやすいこと、(2)信心深く、迷信や超常現象のようなことを信じていることも多いこと、(3)大げさな話をしたり、虚言の傾向があること、などが挙げられる。

③バランスの悪い自己愛

パーソナリティの特性として、近年重要性を増しているのが、自己愛の問題である。

不安定で歪に肥大した自己愛は、マインド・コントロールされる側の問題としても関与が深まっている。

④現在及び過去のストレス、葛藤

パーソナリティの特性や被暗示性の高さは、マインド・コントロールの受けやすさを左右する本人サイドの要因だと言える。

しかし、同じ人であっても、マインド・コントロールを受けやすいときと、そうでないときがある。

いつもの本人なら、餌食になることはないのに、どういうわけかその時は、マインド・コントロールのワナに陥ってしまったというケースが少なくない。

そこにかかわってくるのは、本人が受けているストレスの大きさや本人を支えているサポートの脆弱さである。

⑤支持環境の脆弱さ

周囲からの支えがあるときには、不当な支配や搾取をかわすことができる人でも、孤立し、安定した支え手が身近にいないと、相手をよく見極めずに助けを求めたり頼ったりしがちで、マインド・コントロールの餌食になりやすい。

以上の五つである。

マインド・コントロールされた状態にある人の最大の特徴は、依存性である。

完璧な形でマインド・コントロールが行われた場合には、すべては必然性をもったことであり、それに出会う幸運をもったのだと感じ、喜び勇んでその行動を「主体的に」選択するという。

いずれにしても、これらを悪用する、悪しきマインド・コントロールは、人道に対する犯罪行為だと言えるのではないだろうか。

2019年12月13日 (金)

敵とのコラボレーション/アダム・カヘン

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 端的に言えば、従来型コラボレーションは、焦点、目標、計画をコントロールして、その目標に到達することができる、その計画を実行するために各自が行わなければならないこと(チームがロードマップに従うなど)もコントロールできるということを前提にしている。対照的にストレッチ・コラボレーションは、コントロールせずに前進する方法だ(複数のチームが川をラフティングするように)。

賛同できない人、好きではない人、信頼できない人と協働する方法

これが本書のサブタイトルである。

この本の趣旨は、まず賛同できない人とコラボレーションせよと求めてくる。

これはそう難しくない。

だが、次は好きではない人と協働せよと難易度が上がる。

これも何とかなる。

仕事の場ではそれが当たり前なくらいだから。

ところが最後は手ごわい。

信頼できない人とコラボレーションせよとくる。

敵と見なしている人であっても協働せよと。

こういうことをできるようにしようというのが本書のテーマだ。

従来型のコラボレーションでは、多くの場合次のような前提が暗黙的に置かれていた。

チーム全体の利益と調和を重視しなくてはならない。

チームで問題が何か、解決策が何か、戦略・計画は何かに合意することをめざす。

他者が行動を変えなければ状況に変化が起こらない。

しかし、ストレッチ・コラボレーションでは、次の三つのストレッチ、つまり従来のコラボレーションの概念を引き伸ばし、根本的に取り組み方を変えることが求められる。

第一に、他の協働者との関係について、チーム内の共有目標と調和を重視するという狭い範囲に集中することから抜け出し、チーム内外の対立とつながりの両方を受け入れる方向に広げていかなければならないこと。

第二に、取り組みの進め方について、問題、解決策、計画に対する明確な合意があるべきと固執することから抜け出し、さまざまな観点や可能性を踏まえて体系的に実験する方向に広げていかなければならないこと。

第三に、状況にどう関与するか、自分たち自身が果たす役割について、他者の行動を変えようとすることから抜け出し、自分も問題の一因であるという意識で状況に取り組み、自身を変えることを厭わない方向に広げていかなければならないこと。

自分自身がゲームに足を踏み入れるのだ。

人が進むべき道を見つけるのは、必ずしもよい地図や計画があるからではない。

行動を開始し、ある状況で具体的な結果を生み出し、そこから今何が起きているか、何を説明する必要があるか、次に何をすべきかを知る、からだ。

明確なビジョンや目標は必要ない。

必要なのは、克服しようとしている課題または問題の複合する状況についての共通の問題意識だけだ。

問題が複雑になればなるほど、まず行動を開始し、対立とつながりを受容すること、進むべき道を実験すること、ゲームに足を踏み入れることが求められるということであろう。

2019年12月12日 (木)

国をつくるという仕事/西水美恵子

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 国づくりは人づくり。その人づくりの要は、人間誰にでもあるリーダーシップ精神を引き出し、開花することに尽きると思う。

本書は著者の魂を込めて駆け抜けた23年間の記録だ。

前途ある学者としての道を捨て、世界銀行に奉職した著者。

世界から貧困を無くしたいとの願いを抱き、現実と格闘する道を選んだ西水氏。

その歩みの中で、アジアを中心とする国家のリーダーたちと出会う。

国家運営を巡る真剣勝負を通じて、リーダーとは何か、リーダーシップとは何かを、掴んでいった。

リーダーシップの原点とは何だろう。

リーダーシップの原点とは、何よりも、人々に対する共感であろう。

真のリーダーシップは、必ず、人々に対する共感を、原点としている。

それが職場であるならば、部下に対する共感。

それが企業であるならば、社員に対する共感。

それが国家であるならば、国民に対する共感。

その共感なしに、いかなるリーダーシップも存在しない。

西水氏が、この著作の中で描こうとしたことは、究極、その一点ではないだろうか。

2019年12月11日 (水)

選ばれるプロフェッショナル/ジャグディシュ・N・シース、アンドリュー・ソーベル

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 クライアントにサービスを提供しようとするプロフェッショナルにとって、欠かせない基本的な特質は、「無私と自立」と「共感力」である。優れたアドバイザーは、経済的にも、知性的にも、精神的にも、完全に自立しているという姿勢を示す。だが、この自立することと無私とのバランスをとっている。彼らは、ひたむきで、忠実で、自分の問題ではなく、クライアントの重要課題に注力する。クライアントのニーズや問題に対応する一方で、常に客観性と誠実さを維持する。

プロフェッショナルとは何だろうか?

ここではその要素として「無私と自立」と「共感力」を挙げている。

プロフェッショナルは、真にクライアントのためになることをする。

これが何よりも優先される。

クライアントの状況、文化、政治、業界をとりまく状況などを踏まえ、本当にクライアントのためになることを考え、アドバイスし、実行に移す。

その文脈のなかで、自身の専門性も発揮する。

偉大なプロフェッショナルは、意味のない議論を避け、真に重大な問題に集中させてくれる。

問題を前にして、混乱したり考えがまとまらないとき、彼らは適切なタイミングで的を射た質問を投げかけ、対話を通じて解決に導いてくれる。

プロフェッショナルが無私と自立を高めるために重要なことは、一つは、自分自身の信念、価値観を育て、それを明確にしておくことだ。

無私と自立を実践するとは具体的にどのようなことなのか?

例えば、クライアントとのあいだに、どこで線を引くかをわきまえていること。

自分が手をつけないこと、我慢できないことをはっきりさせる。

場合によっては、仕事を断ったり、クライアントとの関係を打ち切ったりする。

自分の経済状況がどうであれ、お金にはとらわれない。

クライアントにとってどのような意味を持つかを見極めながら、クライアントとのビジネスというレンズを通して、自分のまわりで起こっているすべての事象を見る。

そして、重要な役割を果たしたとしても、公にはその成功をクライアントのものにしている。

このようなことを実践することが「無私と自立」だ。

そう考えると、安易にプロフェッショナルという言葉は使えないと感じる。

2019年12月10日 (火)

おもてなし幻想/マシュー・ディクソン、他

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 データがもの語るのは、顧客の観点からすると、何か問題が起きたときに心を支配しているのは、解決に力を貸してほしいという感情だということ。感動させる必要などないから、とにかく問題を解決してそれまでやっていたことを再びできるようにしてほしい。

日本には「おもてなし」神話というものがある。

「おもてなし」こそが日本の誇る他国との差別化なのだと。

しかし、それは幻想なのではないかというのが本書の主張である。

例えば、カスタマーサポートと顧客とのやりとりが、ロイヤルティを高めるという常識について。

データによれば、カスタマーサポートと顧客とのやりとりが発生すれば、ロイヤルティを高めるどころか、4倍もの悪影響を及すという結果が出たという。

すばらしいカスタマーサポートが肯定的な口コミにつながるという考えはどうだろうか。

ひどいカスタマーサービス・エクスペリエンスが否定的な口コミを招く可能性はすこぶる高く、正確には65%だ。

これに対し、すばらしいカスタマーサービスについて顧客が肯定的な口コミをする可能性は25%しかない。

データがはっきり示すように、顧客はよいサービスエクスペリエンスについてはめったに語らない。

ことカスタマーサービスに関する限り、世間に広まる口コミの大部分は間違いなく否定的なものだ。

カスタマーサービスの役割は顧客を喜ばせてロイヤルティを向上させることではなく、顧客のディスロイヤルティを緩和することだ。

本書が言っていることは、顧客の期待を超える「おもてなし」は、業績にはほとんど関係がなかったということだ。

統計的分析によれば、顧客ロイヤルティを高めるのは、「顧客に手間をかけさせないこと」。

それだけが、有意な相関関係を示したという。

確かに普段自分が使っているパソコンがフリーズして使えなくなった時、やってほしいことは「早く元に戻してほしい」という、ただそれだけだ。

「おもてなし」など求めていない。

おもてなし精神は脈々と息づいてきた日本が誇るべき文化である。

「顧客志向」や「顧客第一主義」を理念に掲げている日本企業は枚挙に暇がなく、多くの企業において企業文化として根付いている。

それこそが日本の発展を支えてきたことに疑いの余地もない。

しかしサービスのデジタル化に伴い、あらためて立ち止まる必要があるのではないだろうか。

暗黙のうちにできあがった「おもてなし信奉」の空気感の前に、異を唱えることすら憚られるまま膨れあがった顧客対応は、レガシーになってしまっていないだろうか。

盲目的な「顧客第一主義」は社員努力をエスカレートさせて、「CS疲れ」を引き起こしていないだろうか。

「おもてなし」という言葉を隠れ蓑に、不必要な顧客訪問や電話対応を助長させていないだろうか。

そうして非合理に積み重ねていった顧客対応は逆に顧客努力を強いていないだろうか。

残念ながら「情報化社会において、おもてなしは幻想である」と言わざるを得ない。

業種によって緊急性は異なるものの、サービスのデジタル化にともない、遅かれ早かれ「顧客努力の軽減」の実現は避けられなくなるのではないだろうか。

2019年12月 9日 (月)

鈴木さんの成功。/星渉

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「目標に向かって自分自身を突き動かしてくれるのが〝感情〟なんだ。そして、その感情はどうやって創り出せるのかというと、目標に到達した場面のイメージを鮮明に描くことで、その時の感情を体験することができる。目標を明確にする。そこに到達した場面を鮮明にイメージする。達成した時の感情を味わう。これが、成功している人たちの〝本当の目標設定方法〟なんだ」


目標を明確にして、その目標を実現してしまう人と、目標を明確にしたけど、結局は何も変わらない人がいる。

どこに差があるのか?

それは、目標を明確し、その目標を実現してしまう人は、必ずその、明確にした目標が実現した時の場面のイメージができている、ということ。

そのイメージが鮮明であればあるほど、達成した時の感情を体験し味わう。

この感情が目標に向かわせる推進力になる。

目標が高ければ高いほど、何度も壁にぶつかる。

壁に遭遇し越えることができなかれば目標は実現できない。

いくつもの壁を乗り越えるためには、理性だけではダメ。

この時、乗り越えるパワーになるのは感情である。

人は感情によって動く。

目標を達成した時のイメージが鮮明で、達成した時の感情を生々しく味わっていれば、それは折れない力になる。

目標設定したものの、なかなか実現しない人は、まずここから実行すればよいのではないだろうか。

2019年12月 8日 (日)

任せる力/真藤昌瑳熙

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 一人前になるから任せるのではなく、任せることで一人前になるのです。仕事を任せなければ、育つものも育たないのです。

部下に仕事を任せられないという上司は多い。

理由は様々だ。

「部下に簡単に頼めない仕事が多いから」

「部下に頼むより、自分でやるほうが早いから」

「部下に頼むとクオリティが下がる可能性があるから」

もし、こうした思いがあるとしたら、「人に任せられない症候群」あるいは「仕事を抱え込む症候群」にかかっている可能性大だ。

人は誰も、「自分がいなければいけない=自分は重要な存在」と思いたいもの。

「自分はいなくてもいいのかもしれない」とは考えたくない。

「無価値感」を何より恐れている。

ところが、管理すればするほど、口を出せば出すほど、部下はやる気をなくす。

管理する人間がいないほうが、組織はかえって生き生きと活性化する。

管理職の仕事とは、部下が仕事をしやすい環境を整えること。

進捗を細かくチェックすることでもなければ、現場に逐一口を挟み、手を出すことでもない。

バースデイサイエンス研究所の理論によると、人間のコミュニケーションタイプは、次の3つに大きく分けることがでるという。

・人柄重視タイプ

・結果重視タイプ

・直感重視タイプ

である。

「人柄重視タイプ」とは、文字通り人柄を重視し、仕事においても相手との信頼関係に重きを置く。

何事にも丁寧に、じっくりと時間をかける。

プロセスを重視する人柄重視タイプは、仕事の期限や責任範囲は二の次だ。

自分からそれを聞こうという発想もない。

細かな指示をされても「えっと、忙しいのですが、なんとかがんばってみます」という答えしか返ってこない。

でも、これは決していい加減なわけではなく、クオリティが何より大切な人柄重視タイプにとって「最大限努力しますよ」という意思表示なのだ。

人柄重視タイプは「君を信頼している」「君はがんばっている」ということを認めることが大前提なのだ。


「結果重視タイプ」は、その名の通り結果を何より重視する。

仕事は結果がすべて、効率性を常に考える。

このタイプの人は、自分の責任範囲が明確になることが、スムーズに仕事をこなす第一条件となる。

最初に「締切はいつ」「必要事項は何と何」「予算はこれだけ、内訳はこう」といった仕事の条件をすべて明確に示すと、納得してコツコツと確実に仕事を上げてくれる。

その仕事をやる「価値や意義」、その仕事をやることで「結果的にどんな利益を生むのか」といったことがいったん腑に落ちると、結果重視タイプは仕事のモチベーションがぐんと上がる。

このタイプは丸投げではなく、期限や分量など外堀の情報をきちんと明示して任せるのが得策だ。

「直感重視タイプ」は、ピンとくる直感を大切に、自分の感性で自由にやりたい人。

状況に応じて、臨機応変に動く。

このタイプは、「丸投げ」「お任せ」「自由」が大好き。

ほめられてプライドをくすぐられながら、自分の感性で自由にさせてもらえたり、自身のステイタスが上がるような仕事を任されると、モチベーションが一気に上がる。

また、「ドーンと大きな案件」とか「ババーンとコンペを決めて」といった感覚的な擬音語を好む。

つまり、「任せ方」とはすなわち「伝え方」でもある。

相手のタイプに合わせた表現のコツなのだという。

これは部下を持つ上司にとって参考になるのではないだろうか。

2019年12月 7日 (土)

プレゼンは声!/白石謙二

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 ぼくはつねづね、「声に気を配らない人は、破れた財布をもち歩いているのと同じ」といっていますが、話の内容がすぐれていても声の印象が悪ければ、せっかくの価値が損なわれてしまいます。まるで破れた財布からお金が落ちていくように、日々、知らないところで損をしつづけているわけです。

「声」によって損をしている人は意外と多いと著者はいう。

問題はそのことに無自覚なこと。

逆に「声」によって得をしている人もいる。

例えばトップセールスマン。

彼ら、結果を出している人たちは、感じがいい。

それも、自然な笑顔が共通している。

笑顔で話すと表情筋が動くので、音色がやわらかくなる。

やわらかい声は、警戒心を解かせる効果があるので、話しかけられたほうは、つい「この人のいうことなら、聞いてみようかな」という気になってしまう。

どうすれば自然な笑顔、自然な声が出せるのか。

著者は、あるトップセールスマンから、その極意を教わったことがあるという。

それは、「ずっと会いたかった恋人にやっと会えたような気持ちで、声をかける」こと。

そういう気持ちで接すれば、自然と笑顔になり、自然とやわらかな声になるというのである。

これは、初対面の人に会うときに、かならず役に立つメソッドだ。

ぜひ覚えておいきたいものである。

2019年12月 6日 (金)

おもしろい伝え方の公式/石田章洋

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 ユーモアを身につけている人といない人では、長い人生に大きな差が生まれてくるはずです。なぜなら、ユーモアはコミュニケーションにおける最強の武器だからです。

著者は、「誰でもおもしろい話ができる伝え方の公式」が存在する、という。

シンプルな公式を理解して、それを応用すれば、誰でも「おもしろい伝え方」はマスターできる。

おもしろい伝え方をするために、無理にテンションを上げて話す必要はない。

むしろ普段はロー・テンションで構わない。

そして、言葉は意味を凝縮したうえで、短くすればするほど強くなる。

本書で紹介している笑いを生み出すためのシンプルな公式。

それは、空気を読む×笑いの原理×伝える技術

この3つだけである。

とにかく、「場の空気を読む」ことがすべての土台。

そのうえで「笑いの原理」を理解して、「伝える技術」を使って効果的に伝える。

空気が読めなければ、どれだけ本を読んでも、どんなテクニックを使ってもムダと言っても過言ではない。

なぜならコミュニケーションは基本的にアドリブだから。

「空気の流れ」とは、「どういう人たちが」、「なんのために」、「どこに向かっているのか」といった、目的や方向性のこと。

まずそこに集まっているのは、「どういう人たち」なのか。

それを見極める。

それを知っておけば、その集団内では、どういう価値観が共有されているのか、どんなことが常識とされているのかがわかる。

多くの場合、空気の流れは、その場でもっとも影響力のある人に配慮している多数派がつくり出している。

だれがどの程度の影響力をもっていて、それぞれの構成員がどんな役割を果たしているかを把握することで、空気の流れはかなり見えてくる。

だから、空気を読むために、もっとも必要なことは「観察力」。

今、話している相手はどういう人なのか?

なにを目的としているのか?

その話をどこにもっていこうとしているのか?

それを察知するには、その場を観察するしかない。

なぜなら、すべてのコミュニケーションにおいてもっとも大切なのは、「自分が相手にどう思われているか?」ではなく、「相手がどう思っているか?」だから。

空気を読むための観察力が高まれば、どんな相手と話す時でも、話題に困ることはなくなる。

「気を配る」とは、文字通り周囲を観察して〝気配〟を読むことにほかならない。

笑いで大切なのは「空気を読むこと」とは、言われてみればその通りなのだが、ぜひとも身に付けたいものである。

2019年12月 5日 (木)

お金の流れで探る現代権力史/大村大次郎

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 歴史というものは、とかく、「出来事」を中心に「政治」の文脈から語られがちである。しかし、歴史を本当に動かしているのは、お金、経済である。「出来事」「政治」の裏には、必ず何かしらのお金の問題が絡んでいるのだ。

本書は、世界の近現代史を、「お金の流れ」から探っていき、読み解いていこうという趣旨を持っている。

例えば、アメリカが覇権国家となったのは、第一次世界大戦後である。

第一次世界大戦前後、戦争によって生産力が下がったヨーロッパ諸国は、アメリカに大量の軍需物資を発注した。

戦地から遠く離れていたアメリカは、戦争被害をまったく受けなかったため、莫大な戦争特需を受けることになった。

アメリカはヨーロッパ諸国に対し、巨額の債権を持つことになった。

アメリカは、第一次世界大戦後、世界一の債権国になった。

第二次世界大戦前までのアメリカは、ヨーロッパなどの紛争には関知しない「モンロー主義」と言われる方針を採っていた。

アメリカという国は、自由主義であり、個人主義である。

個人個人が自己の利益を追求するのを是とする国民性がある。

今、トランプ大統領はアメリカ第一主義を掲げているが、歴史を振り返ると、原点に戻ったといえなくはないのではないだろうか。

2019年12月 4日 (水)

戦力「内」通告/ダン・ラスト

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 人をうまく読めなければ、ぐらぐらと揺れる不安定なキャリアの階段をのぼることになる。それも目隠しをしたまま。

職場には、少数ではあるものの、キャリアをステップアップさせ、より責任の大きな、給与の高い職にありつける者たちがいる。

その者たちが何をしているのか、本書は紹介している。

彼らは、まず、今後のキャリアに絶大な影響力を持つ人々(上司、同僚、部下)からなる中核グループを特定する。

そして、ミーティング、電話会議、プレゼン、会社の社交行事など、中核グループの人々を第三者として観察できる機会を有効に利用する。

中核グループの人々の勤務中のボディランゲージ、表情、会議中の典型的な振る舞いなどを思慮深く観察し、ベースラインを見きわめる。

ベースラインから逸脱した行為に目を光らせる。

人を読むには何が必要だろうか。

人間は複雑な生き物であり、その人の持つ動機、恐怖、欲望、欲求、ものの見方、癖、態度を見きわめるのは途方もない難事だ。

誰かを完璧に読むことなど不可能なように思える。

だからこそ、私たちは人間の行動の水面下で起きていることを漫然と見過ごしてしまう。

職場の人々のモチベーションや行動傾向について深く洞察するには、自分自身の感情的反応を最小限に抑え、先入観、偏見、期待を捨てなければならない。

人を読み、自らの感情的・批判的反応を最小限に抑えるにはどうすればいいだろうか?

最善の方法のひとつは、人と直接関わるのではなく、第三者となって観察することだ。

ベースラインを見きわめるにあたってお勧めの方法は、さまざまな状況でその人を観察することだ。

ミーティング中、プレゼン中、議論の最中など、いろいろな状況で、その人がどんなふうにコミュニケーションを図り、どんな服を着ていて、どんなふうに他者と交流するか、基本的な声の調子や態度はどんなものかを観察する。

職場のキーパーソン全員のベースラインがわかってくれば、ベースラインからの逸脱を目ざとく発見できるようになる。

職場のキーパーソンの考えが分かってくれば、職場でどうふるまえばよいのかがわかってくる。

職場には友も敵もいない。

いるのは、ただ自分の仕事をうまくやろうとしている不完全な人間だけだ、と著者はいう。

そして、これが職場で、戦力「内」通告を受ける方法だという。

アメリカ人が、職場で生き残り、勝ち組になるために、ある意味露骨な、そして途方もない努力をしているということがよくわかる本である。

2019年12月 3日 (火)

HELLO,DESIGN/石川俊祐

Hellodesign

 デザイン思考とは、観察で得た主観を重視したアプローチです。「自分はなにをリサーチし、そこからなにを感じとり、どういう意味づけをほどこして、アイデアにつなげていくか」の思考法です。つまり、「あなたがなにをどう感じたか」の、主観がすべて。定量から定性へと頭を切り替えなければならないわけです。


デザインという言葉を聞いた途端、「自分には関係ない」と考えがちだ。

しかし、本当のデザイン思考は「クリエイティブ系」で働く一部の人のためのものでも、エクセレントカンパニーやベンチャー企業で働く人だけのものでもない。

もちろん、色やかたちといった、一般的な「デザイン」に関する話でもない。

これからの社会を、もはやロジックだけでは正解を導き出せない時代を生きるすべてのビジネスパーソンに必須の、「思考のメソッド」だ。

トップデザイナーたちが実践している思考法を抽出し、理論化し、それぞれの仕事に転用することによって、これまで誰も思い浮かばなかった、優れた答えを導き出す。

これが、デザイン思考の大枠だ。

英語の「デザイン」は動詞でもある。

その意味は、「設計する」「企てる」「目論む」。

つまりデザインという言葉は、もともと「アイデアを考える、企てる」といったニュアンスを持っている。

デザインの本質は「課題の発見とその解決」にある。

「人が持っている課題の本質を見つけ、その上でそれを解決するための新しいモノ、体験、システムなどをつくり出すこと」がデザインのもっともベースとなる概念だ。

デザインは「人が抱える課題」からはじまることが多い。

デザインとは問題解決であり、未来を描くものである。

人が抱えている課題を解決しようとアイデアを企てる人は、全員がデザイナーである。

と、著者は述べている。

これまで自分には関係ないと思っていた、デザイン思考というものが身近に感じられるようになる本である。

2019年12月 2日 (月)

人見知りが治るノート/反田克彦

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 人見知りは病気というよりも考え方のクセのようなものです。


自分のことを「人見知り」だと思っている人は決して少数派ではない。

人見知りがなくなれば、出会いのチャンスは無限に生まれる。

堂々とみんなの心に残るスピーチをしたり、自分の意見を憶せず主張することもできる。

これまで勇気がなくてできなかったことが少しずつ実現し、人生が何倍も豊かになる。

本書では、「認知行動療法」を使って、人見知りの傾向のやわらげ方を紹介している。

認知行動療法は、今とても注目されている心理療法の1つで、「考え方を変えて行動することで、気持ちと体に変化を与える方法」だ。

ここで言う認知とは、物事の受け取り方やモノの見方、現実の捉え方、つまり「考え方」のこと。

人見知りは「視線の病」と言ってもいい。

人見知りとそうでない人を分けるのは、視線の方向をどうするかだ。

視線が外に向いているか、内(自分)に向いているかは、実はとても重要だ。

視線が外に向かうと見る側になり、内(自分)に向かうと見られる側になる。

自分が見る側なのか見られる側なのかが、不安になるかならないかを決定する。

人見知りの恐怖は、見られることの恐怖だ。

ということは、見る側に回れば見られる恐怖はなくなることになる。

人見知りは、自分の視線を自分に向けることで、あたかも相手から一方的に観察されているように感じている現象。

となると人見知りの不安をなくすには、この自分に向かう内向きの注意(意識)を外に向ければいいということだ。

そのためには、

ステップ1 自分の体の状態に注意を向ける

ステップ2 自分の気持ちの状態に注意を向ける

ステップ3 自分の外に注意を向ける

これを人と会ったり、人前で話す前に行う。

これだけで人見知りの傾向は和らぐという。

簡単なことなのでやってみるとよいのではないだろうか。

2019年12月 1日 (日)

残業の9割はいらない/本間浩輔

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 完全週休三日を念頭に置くと、いろいろと検討しておかなくてはいけないことが出てきます。そして、私はここに働き方改革の本質があると思っています。


今、多くの企業で働き方改革の取り組みがされている。

中でもヤフーの完全週休三日はユニークな取り組みだ。

しかし、週休三日はけっして社員に甘いだけの制度ではない。

なぜなら、この制度の裏側には、「成果主義の徹底」というコンセプトがあるからだ。

「時間にとらわれずに自由な働き方をしてください。だけど会社はあなたの成果をもとに評価しますよ」というのが、ヤフーの進めようとしている働き方改革にほかならない。

会社は社員に対して、週休三日をはじめとする自由な働き方を認める代わりに、アウトカム、つまり成果を求める。

ヤフーの働き方改革には明確な目的が二つある。

一つは「企業として勝つため」

もう一つは「社員が幸せになるため」

ヤフーではこう考えている。

「企業が成長しなくてはならないのは、企業の幸せと社員の幸せのため」だと。

日本企業で成果主義が失敗したのは、そもそも多くの企業では上司が部下を適正に評価できていないからだ。

近年、「ノーレーティング(NoRating)」という用語が人事の世界ではよく聞かれる。

これは、年度の終わりに社員をA、B、Cというふうにランク評価するのをやめて、その代わりに上司と部下の対話の頻度を上げて、目標設定とフィードバックをふだんから行い、個人と組織のパフォーマンスを最大化しようという取り組みだ。

ヤフーの場合は、2012年から、上司と部下が週に一度、30分間対話する「1on1ミーティング」を全社に浸透させてきた。

ヤフーの1on1には、「1on1チェック」という仕組みが盛り込んである。

これは、部下の側に自分が受けた1on1を点数化してもらい、それを上司に評価として返すというもの。

具体的には、「内省効果」「気づき」「キャリア自律」「目標達成・評価」という指標で部下が上司を採点し、1on1がうまく機能しているかどうかを可視化して、人事がそれを上司本人に伝えるというもの。

ユニークな取り組みだがヤフーではこれがうまくいっているという。

参考になる事例ではないだろうか。

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