人生が変わる最高の呼吸法/パトリック・マキューン
簡単な方法で、高地トレーニングと同じ効果を上げることができる。その簡単な方法とは、「鼻呼吸」だ。日常生活や、本書で紹介するエクササイズを行うときに、口を閉じて鼻だけで呼吸していれば、高地と同じ酸素の少ない状態を再現できる。鼻呼吸だけで強度の高いエクササイズを行うと、たしかにかなり息苦しさを感じるだろう。しかしその息苦しさこそが、効果が上がっている証拠だ。
本書で言っていることは、私たちは呼吸によって酸素を取り入れすぎているということ。
それによってすぐ疲れる体になってしまっている。
大事なことは鼻呼吸を身につけ、呼吸量を調整すること。
食べ物や水に適正量があるのなら、空気にもあってしかるべき。
特に重要なのは二酸化炭素の量の調整。
二酸化炭素は、血中の酸素が体内に取り込まれる量を決めるという、重要な役割を果たしている。
二酸化炭素のこの働きは、「ボーア効果」と呼ばれている。
このボーア効果を理解して活用することが、正しい呼吸を身につけるカギになる。
ボーア効果はすでに100年以上も前に発見されていて、血中の酸素が筋肉や臓器に送られるメカニズムを説明している。
正しく呼吸すれば、血中の二酸化炭素が増え、筋肉や臓器に送られる酸素の量も増える。
その結果、運動機能も向上する。
つまり正しく呼吸すれば、体に本来備わっている機能を十分に活用できるということだ。
意外に思うかもしれないが、正しい呼吸で大切なのは、酸素ではなく、二酸化炭素だ。
呼吸のペースと量を決めているのは、脳の中にあるサーモスタットのような機能で、サーモスタットが暖房の温度を調節しているように、脳も呼吸を調節している。
サーモスタットは温度を監視しているが、この脳の中にある受容体が監視しているのは、血液の中にある「酸素と二酸化炭素の量」と、「血液の酸性度(pH値)」だ。
血中の二酸化炭素濃度がある一定の値を超えると、脳の受容体はそれを感知して、呼吸をして余分な二酸化炭素を排出しなさいという命令を出す。
言い換えると、呼吸のいちばんの目的は、体内にある余分な二酸化炭素を排出することだ。
ここでいちばん大切なのは、ヘモグロビンが体内に酸素を放出するのは、血中に二酸化炭素があるときだけだということだ。
呼吸過多の状態になると、吐く息が多すぎるので、肺、血液、組織、細胞の中の二酸化炭素が適量よりも少なくなる。
二酸化炭素は、呼吸、血流、筋肉への酸素の放出だけでなく、正常なpH値を保つうえでも重要な役割を果たしている。
簡単にいうと、体内の二酸化炭素が、私たちの健康状態を決めているということだ。
正しく呼吸すれば、体内の二酸化炭素も適正量になり、体の各部位が正しく機能する。
そして運動時に、最高の体力、持久力、パフォーマンスを達成できる。
そのためのカギは正しい鼻呼吸を身につけること。
人間の鼻は呼吸のためにあり、口は食事のためにある。
生まれたばかりの赤ちゃんは、みんな鼻呼吸だ。
本書ではそのために様々なエクササイズが紹介されている。
中でもすぐ実行できそうだなと思ったのは、自転車を漕ぎながら息を止めるエクササイズ。
①体が温まったら息を吐いてから息を止める。息を止めたまま5〜15回ペダルを漕ぐ
②鼻で呼吸を再開し、鼻呼吸をしながら1分ほど自転車を漕ぐ
③自転車を漕ぎながらこのエクササイズを8回から10回くり返す
まずこれをやってみようと思う。
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