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2019年12月13日 (金)

敵とのコラボレーション/アダム・カヘン

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 端的に言えば、従来型コラボレーションは、焦点、目標、計画をコントロールして、その目標に到達することができる、その計画を実行するために各自が行わなければならないこと(チームがロードマップに従うなど)もコントロールできるということを前提にしている。対照的にストレッチ・コラボレーションは、コントロールせずに前進する方法だ(複数のチームが川をラフティングするように)。

賛同できない人、好きではない人、信頼できない人と協働する方法

これが本書のサブタイトルである。

この本の趣旨は、まず賛同できない人とコラボレーションせよと求めてくる。

これはそう難しくない。

だが、次は好きではない人と協働せよと難易度が上がる。

これも何とかなる。

仕事の場ではそれが当たり前なくらいだから。

ところが最後は手ごわい。

信頼できない人とコラボレーションせよとくる。

敵と見なしている人であっても協働せよと。

こういうことをできるようにしようというのが本書のテーマだ。

従来型のコラボレーションでは、多くの場合次のような前提が暗黙的に置かれていた。

チーム全体の利益と調和を重視しなくてはならない。

チームで問題が何か、解決策が何か、戦略・計画は何かに合意することをめざす。

他者が行動を変えなければ状況に変化が起こらない。

しかし、ストレッチ・コラボレーションでは、次の三つのストレッチ、つまり従来のコラボレーションの概念を引き伸ばし、根本的に取り組み方を変えることが求められる。

第一に、他の協働者との関係について、チーム内の共有目標と調和を重視するという狭い範囲に集中することから抜け出し、チーム内外の対立とつながりの両方を受け入れる方向に広げていかなければならないこと。

第二に、取り組みの進め方について、問題、解決策、計画に対する明確な合意があるべきと固執することから抜け出し、さまざまな観点や可能性を踏まえて体系的に実験する方向に広げていかなければならないこと。

第三に、状況にどう関与するか、自分たち自身が果たす役割について、他者の行動を変えようとすることから抜け出し、自分も問題の一因であるという意識で状況に取り組み、自身を変えることを厭わない方向に広げていかなければならないこと。

自分自身がゲームに足を踏み入れるのだ。

人が進むべき道を見つけるのは、必ずしもよい地図や計画があるからではない。

行動を開始し、ある状況で具体的な結果を生み出し、そこから今何が起きているか、何を説明する必要があるか、次に何をすべきかを知る、からだ。

明確なビジョンや目標は必要ない。

必要なのは、克服しようとしている課題または問題の複合する状況についての共通の問題意識だけだ。

問題が複雑になればなるほど、まず行動を開始し、対立とつながりを受容すること、進むべき道を実験すること、ゲームに足を踏み入れることが求められるということであろう。

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