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2019年12月31日 (火)

「暗黒・中国」からの脱出逃亡・逮捕・拷問・脱獄/顔伯鈞

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 同日夜8時。北京市通州区にある中倉派出所の取調室に連行された。「貴様の問題は極めて深刻だ。党と政府による調査が必要だ。いかなる抗議も無駄と思え!」さながら犯罪者のような扱いに抗議した私に、彼らはそう凄んでみせた。

本書は、中国の改革に向けて人生を捧げた著者の記録である。

中国は今、香港、ウイグル自治区等、人権に関する問題が深刻化している。

しかし、これは今に始まったことではない。

むしろ、中国共産党政権の誕生以来、ずっと続いている問題である。

現代の中国の政治勢力は、共産党内と民間とを合わせて4種類に分かれているという。

まず党内では①習近平のように共産党体制の絶対擁護を目指す勢力と、

②1980年代に改革派の指導者として知られた胡耀邦の衣鉢を継ぐ勢力。

さらに民間では③マンデラやガンディーのような平和的な改革を志向する勢力と、

④内戦も辞さずに民主化を望む勢力、がいる。

著者の属した「公盟」は③である

社会領域の変革こそが真に重要な解決策だ。

公民社会(市民社会)を建設し、民主的な憲政体制を実現することこそ、間違いなく火急の課題である。

これこそが、公盟が新公民運動を進めるにあたっての初志であった。

腐敗した中国共産党官僚の私財公開を求める「公盟」。

ところが、公盟の主力メンバーたちは次々と拘束され、組織は壊滅に瀕することとなる。

政治的な風向きが極めて危険なものに変わりはじめたことで、新公民運動も沈静化していった。

著者はこうした情勢のなかで、捕縛を逃れるために逃亡を余儀なくされた。

メンバーが続々と逮捕される中、著者は逃亡を決意する。

しかし、逃亡先で逮捕され、拷問を受ける。

拘置所での仕打ちは想像を絶するものだ。

20平方メートル足らずの部屋に、40~50人の様々な犯罪者とともに押し込められたというのだ。

まさに寿司詰めの空間だ。

大小便を垂れ流す者もいる。

鼻が曲がりそうなクソの臭いが充満する場所で、食事や睡眠を余儀なくされる。

そこに人間の尊厳はない。

中国共産党の存在目標は明確だ。

いかなる手段をも辞さず、自身の統治者としての地位を保持し続けること自体が目標なのである。

そもそも、近年の中国の政治力や経済力が日本を上回るほど「強く」なった理由は、彼らが人権や民主主義を無視できたからだ。

こんな中国の習近平を来春日本は国賓として迎えるという。

これだけはどうしても納得できない。

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