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2019年12月26日 (木)

不動産屋のぶっちゃけ話/関田タカシ

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 怒鳴り声がこちらまで筒抜けだ。別の部屋にいる意味がない。そんな中、上司から指令が下った。
「お前、ちょっと様子見てこいよ」
「は、はあ……」
 そのときである。隣の部屋で、ガシャン!と、何かが割れる音がしたので、私は慌ててドアを開けてみた。
「大丈夫ですか!?」と言いながら見た部屋の床には、割れた皿が散乱していた。
 さらにその隣には、なんと、包丁を持った奥様が立っていた。大ごとだ。
「ちょ……落ち着いてください!」
 ご主人を後ろに下がらせつつ、私は奥様のほうを向き、両手を上から下におろすジェスチャーを必死で繰り返す。
「奥様、それは置いてください!とりあえずそれだけは!!」
「それ」というのは、もちろん奥様が両手で握り締めている包丁だ。
 だが、一瞬背後を振り返ると、ご主人は「またか」という顔をしていた。よくあることなのだろうか。だとすれば、離婚するのも仕方がないかもしれない……。

本書は不動産営業マンの体験談。

不動産の売買仲介業は、衣食住の一角たる「住」を担うこともあって、大昔から存在する産業だ。

もちろん、時代に適したウェブでの攻勢も行われているが、依然としてポストへのチラシ投函や折り込み広告といった媒体も現役であり、昔ながらの営業ツール・営業手法が多用され、泥臭い部分も少なくない。

不動産売買仲介業者の給与体系は、ざっくりと分けて、以下の2パターンに分類できる。

①「固定給:少ない/歩合の割合:高い」

②「固定給:ボチボチ/歩合の割合:低い」

私も以前、顧問先に不動産会社があったが、そこの給与体系は前者①であった。

年収1500万円の営業マンもいれば、年収300万円の営業マンもいた。

ある意味、シビアな世界である。

そこには様々なドラマがうまれる。

上記は、一度は住まいとして使われたものの、早々に売りに出されることとなった中古物件の話。

このようなまだ新しいマンションや一戸建てについて、その所有者、特に若い方から売却の相談を受けた場合、ある程度の経験がある不動産売買仲介の営業マンは、「離婚かな?」と想像する。

そして、この想像は十中八九当たるのというのである。

離婚が原因の中古物件を扱う際、仲介業者として困るのが、「夫婦喧嘩が始まってしまう」ケース。

上記抜き書きは、その一例。

でも、合理性だけで動かないのが営業というもので、逆にそこに面白みがあるのではないだろうか。

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