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2019年12月27日 (金)

米韓同盟消滅/鈴置高史

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 米国の後ろ盾を失えば、韓国は表向きは中立を唱えるだろうが、実質的には中国の勢力圏に入る可能性が高い。朝鮮半島は日清戦争以前の状態に戻り、百数十年ぶりに日本は大陸と直接向き合うことになる。トランプ政権と金正恩政権は「北朝鮮の核放棄」と「米韓同盟の廃棄」を取引し始めた。

著者は本書で米韓同盟がやがて消滅すると述べている。

本書が出版されたのは1年以上前なのだが、今まさにそのことが現実味を帯びてきている。

文在寅大統領は「対米従属こそが諸悪の根源」という発想の持ち主だ。

韓国の歴代大統領は米韓同盟を外交の基軸に据えていた。

左派の金大中氏や文在寅氏の盟友の盧武鉉氏でさえ、本心はともかく公式には米国との紐帯を訴えた。

文在寅氏は大統領選挙の時から、米国を裏切り北朝鮮に寄りそう姿勢を打ち出していた。

候補者の討論会で司会者から「もし、米国が北朝鮮に軍事行動を実施しようとしたら、どうするか」と聞かれ、こう答えた。

まず、米国の大統領に電話し、我々との同意がない米国の一方的な先制攻撃は認めないことを知らせ、留保させる。

次に、全軍に非常命令を下し、国家非常体制を稼働する。

ホットラインを初めとする複数のチャネルを通じ、北朝鮮に対し米国の先制打撃の口実となるような挑発を即刻中断するように要請する。

その過程では中国とも協調する。

北朝鮮に対し、米国の先制攻撃を知らせる、と言ったのだ。

それでは先制攻撃ではなくなってしまう。

反米左派の思想家、李泳禧氏は『転換時代の論理』で「米帝国主義は世界の諸民族の内紛に付けこんで軍隊を送り、覇権を維持している」と米国に対する憎悪を理論化し、韓国人に大きな影響を与えた。

文在寅氏も大学生の時からこの本を愛読し、2017年の大統領選挙の前には「国民が読むべき1冊の本」として挙げた。

つまり文在寅大統領の反米は今に始まったことではなく、筋金入りの反米なのである。

このような文在寅大統領を米国が信用するはずがない。

そもそもトランプ氏は就任前から米韓同盟に否定的だった。

捨てるつもりの同盟と引き換えに非核化を実現できるのなら、願ってもない話だ。

元々、米韓同盟は米国にとって「気乗りのしない同盟」であった。

米韓相互防衛条約は朝鮮戦争後の1953年10月1日に結ばれたが、李承晩大統領の捨て身の訴えあってのことだった。

北朝鮮は「核のない朝鮮半島」という言葉を「北朝鮮の核の廃棄」と「米国が韓国に提供する核の傘の廃棄」を同時に実施するとの意味で使ってきた。

その2つの実現に向け、南北は責任を持って国際社会、米国を説得しようと合意したのだ。

米国も共同声明に「板門店宣言を再確認し」と盛り込むことで、北朝鮮の核放棄と引き換えに、韓国に提供する核の傘の放棄、つまりは米韓同盟の廃棄を約束したことになる。

しかし、北が核を放棄することは考えられない。

もしその状態で米韓同盟が消滅したらどうなるのか。

冷静に考えれば「核を持つ方」が「カネがある方」を支配するに決まっている。

しかも「核を持つ方」は名うての人権蹂躙国家だ。

いくら同胞といっても、そんな国に支配されて韓国人が満足するとは思えない。

韓国人はどこで道を間違って、不幸な迷路に入り込んでしまったのだろう。

なぜ、米国から捨てられるまで無神経な外交を続けるのだろう。

南北朝鮮と米国の動きに目が離せない。

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