« 「家族の幸せ」の経済学/山口慎太郎 | トップページ | 脳からみた心/山鳥重 »

2020年1月30日 (木)

今さら聞けないあの企業のビジネス戦略35/久恒啓一

35

社員のやる気を引き出し、生産性を高め、安定利益と永続を目指する経営
伊那食品工業株式会社

本書では35の企業のビジネス戦略が40文字で紹介されている。

中でも印象に残ったものの一つは伊那食品工業のビジネス戦略。

長野県の伊那市に本社を置く伊那食品工業は寒天のトップメーカーだ。

創業から2008年までの48期の間、連続して増収増益を達成し、現在の売り上げは165億円、

従業員は約400名。

同社が国内マーケットに占めるシェアは8割、世界でも15%となっている。

社是は「いい会社をつくりましょう」。

そして、経営理念は「社員の幸せを通して社会に貢献すること」。

重視しているのは社員の幸せと会社の永続。

これを実現するために、持続的な低成長をあえて志向している。

急成長をすれば、その反動がくるかもしれない。

場合によっては社員のリストラも招きかねない。

それは社員の幸せにはつながらない、と考えるのだ。

同社の利益率は食品業界としては高い10%。

寒天における圧倒的なシェア、付加価値の高い製品の存在などが理由に挙げられるが、極論すれば、従業員の生産性の高さによるもの。

社員は、一人何役もの仕事をこなしている。

従業員同士がお互いにカバーしあうため、余計な人員を抱える必要がなく、管理のための人員やコストも少なくてすんでいる。

そして本業で稼ぎだした利益は地域社会にも積極的に貢献している。

文化会館、山野草園、水汲み場、美術館、こうした事業にも余裕がない時代から取り組んできた。

こうした姿勢が信用と評判を生み、競争力を高めてきた。

社員の幸せを願う気持ちが従業員のやる気を引き出し、取引先や社会を思う気持ちがファンを生み出す。

この循環が同社の強さの本質だ。

時代が変わっても、これこそ経営の本質ではないだろうか。

« 「家族の幸せ」の経済学/山口慎太郎 | トップページ | 脳からみた心/山鳥重 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事