« 企業変革力/ジョン・P・コッター | トップページ | リモートチームでうまくいく/倉貫義人 »

2020年1月12日 (日)

フランス人の性/プラド夏樹

Photo_20200107063901

 どうやらフランスでは、どんな理由であれ他人の恋愛を「モラル」によって断罪することはないようだ。たとえそれが不倫であっても、である。結婚とは制度化された「関係」にすぎず、すべての恋愛は「不倫」であった歴史が影響しているのだ。しかし、それだけではないだろう。どこか、恋愛をモラルによって断罪することへのアレルギーが感じられる。

フランスの出生率はEU諸国内で1位、先進国で唯一、40年間、出生率が安定している国でもある。

その理由に補助金や福祉の充実が挙げられることは多い。

たしかに大きな要因だろう。

しかし、それだけが原因で出産が増えるとは思えない。

政府が代われば、補助金の金額や福祉システムも変わるから、それほどあてになるものではないのだ。

しかし「性」に焦点を当てると、別の側面が見えてくる。

30年近くフランスで暮らしている著者によると、「性」にまつわる議論が盛んな国だという。

欧米各国の間では、「金の話は下品とされるが、セックスの話は堂々とする国」といわれるほどだ。

フランスでは8歳から性教育をする。

ミッテラン元大統領には夫人以外の女性との間にも家庭があった。

だが、そのことが週刊誌「パリ・マッチ」に報じられたときも、憮然として「それで?」と答えただけ。

国民の反応もごく控えめなものであった。

大統領が浮気や不倫をしても、なぜ、辞任に追い込まれないのか?

どうして事実婚に固執して結婚を嫌うのか?

ハリウッド・セクハラ事件後、欧米諸国では「#MeToo」一辺倒だというのに、フランスでは大女優カトリーヌ・ドヌーヴがそれに反対すると宣言したのか?

そこには「性」にまつわる歴史と文化が根底にあるというのである。

出生率の低下に苦しむ日本では出生率が回復したフランスをまねようという動きがある。

しかし、本書を読むと、日本が表面的な制度だけをまねても出生率は回復しないだろうということがよくわかる。

« 企業変革力/ジョン・P・コッター | トップページ | リモートチームでうまくいく/倉貫義人 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事