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2020年1月17日 (金)

マネジャーの実像/ヘンリー・ミンツバーグ

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 マネジメントは、アート、クラフト、サイエンスの三要素がそれぞれの頂点をなす三角形の中でおこなわれるとみなせる。アートは、マネジメントに理念と一貫性を与える。クラフトは、目に見える経験にもとづいて、マネジメントを地に足のついたものにする。そしてサイエンスは、知識の体系的な分析を通じてマネジメントに秩序を生み出す

マネジメントは日本語では「管理」と訳すがそんな単純なものではない。

マネジメントとは、管理することであり、ものごとを実行することであり、考えることであり、リーダーシップを振るうことであり、意思決定をくだすことであり、それ以外のもろもろのすべての活動のことである。

しかも、そうしたすべての要素の単なる総和ではなく、すべてが混ざり合ったものだ。

だから、マネジメントの方法論にマニュアル化できる部分はほとんどない。

が、暗黙知はたくさんある。

しかし暗黙知という性格上、簡単にはその全容を把握できない。

マネジャーが欲しがるタイプの情報は、おうおうにして人間の頭の中に保存されている。

デジタル化して保存するためには、その情報を文字にしなければならないが、それには時間がかかるし、マネジャーは多忙をきわめている。

結果として、組織の戦略に関するデータベースは、コンピュータの中と同等、もしくはそれ以上に、マネジャーの頭脳にたくわえられている。

要するに、マネジメントとは、永遠に、一時たりとも解放されることのない仕事なのだ。

マネジャーに仕事を忘れる自由はなく、仕事をすべて片づけたという解放感はたとえ一時的にでも味わえない。

成功するマネジャーは、誰よりも大きな自由を手にしている人物ではなく、手持ちの自由を最大限活用できる人物のようだ。

著者の観察によれば、マネジャーの行動に及ぼす影響が飛び抜けて強かったのは、組織のタイプだったという。

著者は6つのタイプの組織とマネジメントのスタイルを挙げている。

第1に、起業家型組織

一人のリーダーを中心とする中央集権型の組織。

リーダーは戦略ビジョンを打ち出すほか、自分自身で実行と取引を活発におこなう。

第2に、機械型組織

正式な構造をもっていて、単純な反復的業務をおこなう。

マネジャーは、明確に示された指揮・命令関係にもとづいて行動し、コントロールの役割に割く時間がきわめて多い。

第3に、専門家型組織

専門家で構成される組織で、メンバーはおおむね自分の判断で仕事をする。

マネジャーは主に、メンバーを支援し守るために、外部と関わることと取引をおこなうことに力を注ぐ。

第4に、プロジェクト型組織

専門家で構成されるプロジェクトチームを中心に、革新的な活動に取り組む組織。

シニアマネジャーは、プロジェクトを存続させるために、外部と関わり、取引をおこなうことに努める。

一方、プロジェクトマネジャーは、人々を導くことによりチームワークを高め、現場の業務を実行して課題を処理し、外部と関わることを通じてほかのチームとの連携を図る。

第5に、ミッション型組織

強力な組織文化に支配されている組織。

リーダーは、その文化を維持・強化するために、人々を導くことを重んじる。

第6に、政治型組織

トラブル対応に追われる。

マネジャーはときに、問題の火消しのために、自分自身でものごとを実行し、外部と取引することに時間を割かれる。

以上の6つである。

何れにしても、マネジメントとは正解のない仕事であり、マネジャーとして立たされたものは、その中で自分の仕事のスタイルを模索しているということではないだろうか。

 

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