« 「期待」の科学/クリス・バーディック | トップページ | はじめての哲学的思考/苫野一徳 »

2020年1月19日 (日)

吉田松陰と幕末志士たち/橘龍介

Photo_20200114054001

 日本史上最大の改革を成し遂げたのは、驚くほどの奇人変人たちだった。誰もが呆れかえるような大言壮語を吐き、それを実行に移そうとした人物が、松陰を筆頭に多くいたのだ。そして、江戸末期の社会では浮いた存在だった〝変わり者〟たちが、本当に一国を作りかえてしまった。歴史というのは、本当に面白いものだ。

本書は吉田松陰と幕末志士たちを〝変わり者〟と称している。

そして〝変わり者〟だからこそ世の中を大きく変えられたのではないかという切り口で述べられている。

吉田松陰には〝天才と狂気は紙一重〟とでも表現するべき、奇人変人としての要素が備わっていた可能性が高い。

当然、そんな人物が主催する私塾に集まる若者たちも、相当の変わり者だったことは想像に難くない。

松下村塾の場合は、社会不適合者を集めた挙げ句、社会に順応させるどころか〝幕府を倒す〟という目標を掲げて、より反社会的に育成していくのだから、まさに常識外の教育施設と言えよう。

要するに〝社会不適合者の集まりだからこそ新時代を拓くことができた〟という側面もあり、当時の尺度から見て奇人変人だったとしても、吉田松陰の歴史的意義が揺らぐものではない。

松陰は〝開国か攘夷か〟で揺れる多くの若者を前に「いずれは開国だが、今は攘夷だ」と語っている。

実のところ、彼は鎖国したいわけでも、排外主義を採っていたわけでもなかった。

欧米列強の脅しに屈する形で開国するのではなく、早急に近代化を進めて対等の立場で国交を結ぶべきだと考えていたのである。

実際、歴史を変える人物には〝変わり者〟が多い。

考えてみれば、戦国の騒乱を勝ち抜き、天下統一への足がかりを作った織田信長も、若い頃には〝尾張の大うつけ〟と疎まれていた。

時代が大きく動く時に活躍するのが、奇人変人の類いであることは歴史的にも証明されていると言えよう。

そう考えると、今の日本のリーダー、常識人があまりにも多いような気がする。

« 「期待」の科学/クリス・バーディック | トップページ | はじめての哲学的思考/苫野一徳 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事