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2020年1月24日 (金)

欧州ポピュリズム/庄司克宏

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 EUの最大の失敗は何か、という調査で、大衆は、難民危機、官僚主義と過剰な規制、大量移民をトップ3として挙げている。これに対し、エリートが挙げるトップ3は、官僚主義と過剰な規制、難民危機、緊縮政策である。両者の意識には明らかな相違があることがわかる。

ポピュリズムとは「大衆迎合主義」とも称されるが、一般に、次のように定義される。

「特権的エリートに対抗して一般大衆の利益、文化的特性および自然な感情を強調する政治運動。正当化のために、ポピュリストはしばしば、チェック・アンド・バランスや少数派の権利にあまり配慮することなく、直接に、すなわち大衆集会、国民(住民)投票や、大衆民主主義の他の形を通じて、多数派の意思に訴える。」

この定義に見られるとおり、ポピュリズムにおいては、多数派の一般大衆と特権的エリートとの対抗関係が前提とされている。

いま、欧州で行われている選挙で各国のポピュリスト政党が台頭し、浸透している様子がうかがえる。

いまや、欧州ポピュリズムは一過性の問題ではなく、持続的な脅威なのである。

EU加盟国において、急進右派ポピュリスト政党への支持率がとくに高いのは、旧共産圏のハンガリー、ポーランド、また、難民・移民の流入が多かったオーストリア、デンマークなどである。

これに対し、急進左派ポピュリスト政党への支持率がとくに高いのは、欧州債務危機で打撃を受けたギリシャ、イタリア、キプロス、スペインなどとなっている。

ポピュリズム政党は、移民排斥を主張する排外主義・ポピュリズムと、司法権の独立などを否定しようとする反リベラル・ポピュリズムに大別できる。

反リベラル・ポピュリズムは、民主主義には従うが、個人の自由な活動領域をできる限り確保しようとするリベラリズムに反対する。

そして、EUは、リベラル・デモクラシーを体現している。

これが目に見える形ではっきり現れたのが、イギリスのブレグジットであろう。

2016年に行われた国民投票では、EU残留を望むキャメロン首相の訴えもむなしく、ブレグジットが支持され、EU離脱の「民意」が示された。

今後、このような流れは欧州各国で加速するものと思われる。

しかし、それと同時にEUの限界や矛盾も見えてきたということではないだろうか。

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