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2020年1月10日 (金)

ペップトーク/浦上大輔

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 この極度のプレッシャーがかかる場面で、チームの力を最大限に引き出し、選手の緊張を力に変えた人物がいました。
 なでしこジャパンを率いる佐々木則夫監督でした。
 彼はPKの前に選手全員で円陣を組み、そしてあえて明るい雰囲気をつくり、ひと言こう言ったのです。
「思いっきり楽しんでこい!」
 世界一を決めるこの場面で選手たちにかけた言葉は、「勝ってこい!」でも「決めてこい!」でもなく、ましてや「ミスするな!」でもありませんでした。

スポーツ大国アメリカでは、「励ます技術」が確立されている。

この励ます技術は、「ペップトーク」と呼ばれている。

ペップとは英語で「元気・活気」という意味、

ペップトークとは、試合前のロッカールームで緊張し身震いする選手たちに向かい、監督やコーチが心に火をつける言葉がけのことを言う。

このペップトークには5つのルールがある。

1.ポジティブな言葉を使う

2.短い言葉を使う

3.わかりやすい言葉を使う

4.相手が一番言ってほしい言葉を使う

5.相手の心に火をつける本気の関わり

以上だ。

さらに、ペップトークには4つのステップがある。

1.受容(事実の受け入れ)

2.承認(とらえかた変換)

3.行動(してほしい変換)

4.激励(背中のひと押し)

これらを踏まえて相手に伝える。

上記抜き書きの佐々木監督の言葉は、これが集約されている。

場面は、2011年7月にドイツで行われた女子のワールドカップサッカー決勝のPK戦直前。

ワールドカップの初優勝がかかるPK。

おそらく日本中の国民が固唾を飲んで見守る死闘だった。

もし自分が選手だったらどうだろう?

ものすごいプレッシャーがかかり逃げ出したくなるのではなだろうか?

この場面で佐々木監督は「楽しんでこい!」と選手たちに言う。

「楽しんでこい!」と言った佐々木監督は本当に選手の気持ちを理解していた。

PK前の短い時間、選手たちがかけてほしい言葉は、このたったひと言だったのだ。

勝たなければならない、決めなければならないというプレッシャーから解放し、自分たちらしい楽しいサッカーをしよう!とワクワク感を持ってもらう言葉を選んだ。

相手の状況を受け入れ(受容)、気持ちを切り替え(承認)、してほしいことを明確にし(行動)、勇気づける(激励)、というペップトークの要素をたったひと言に集約している。

なでしこジャパンの選手たちは、佐々木監督の言葉通り、最高に緊張する舞台を思いっきり楽しみ、ワールドカップ初優勝を勝ち取った。

ペップトーク、是非とも使えるようになりたいと思う。

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