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2020年2月11日 (火)

米軍が恐れた「卑怯な日本軍」/一ノ瀬俊也

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 対日戦末期の米軍における日本軍イメージは「卑怯」の一語に尽きていた。ニューギニア、マリアナ、フィリピン、硫黄島、沖縄の戦場で圧倒的な火力に追い詰められた日本軍将兵が各種のなりすましや地雷、仕掛け爆弾により一人でも多くの米兵の命を奪って戦意をくじこうとした工夫──何と飛行機まで撃墜してしまった──は、皮肉にもそのようなイメージを増幅させる結果となったのである。 

米軍の対日戦用に『卑怯な日本軍』というマニュアルがある。

沖縄戦の教訓も踏まえて個々の兵士にもわかりやすく作られたものだ。

米兵たちに手っ取り早く日本軍の「戦術」を教え、かつ憎悪、侮蔑も植えつけることが『卑怯な日本軍』の目的だった。 

米軍将兵はどのような日本軍観を抱いて戦っていたのたのかということがよくわかる。

『卑怯な日本軍』には次のようなことが書かれている。

日本軍は卑怯な手を好む。

戦争の歴史上、背信とずる賢さにおいて日本軍にかなう軍隊は存在しない。

真珠湾のだまし討ち以来、アジアや太平洋の島での作戦を通じて、日本軍はあらゆるトリック、優勢を獲得するためのまやかしを使った。

今や奴らはどんどん追い詰められて劣勢を強いられ、自殺的な戦いをしていることを自覚している。

彼らは正統な戦術からどんどん逸脱し、より策略に頼っていくだろう。

日本兵と戦う将兵がまず学ぶべきことは、どんな状況でも奴らを信用してはならないということだ。

日本軍兵士の傑出した軍事的長所として、絶対に命令に従うこと、

病気や怪我をしていても殺されるまで戦い続けること、

忍耐力とスタミナは最も厳しい状況に耐えうること、

最小限の補給で野外を生きていけること、

非常に遮蔽、偽装、隠蔽が巧みであること、

幼いころから厳しく支配されてきたせいで、自分自身のために考える方法を一度も学んだことがないこと、

いったん作られた計画にどこまでも固執して、状況が変化しても自発性や想像力を発揮できないこと、

その結果奇襲を受けると大変な不利におちいることが挙げられる。

以上、『卑怯な日本軍』という米軍マニュアルを読むと、戦争末期の日本軍が繰り広げた「対米戦法」のあらましがみえてくる。

それは成りすまし、待ち伏せ、狙撃、仕掛け爆弾など「卑怯」と総称されるものであった。

そのすべてが事実とは思えないが、追い詰められた日本兵の必死の工夫の跡も含むのであろう。

読んだ米兵は日本軍の卑怯さに怒りと恐れを抱いたと思われる。 

当時のアメリカ人にとっての日本人観が「卑怯」の一言に尽きていたという苦い歴史の記憶。

戦後75年経った現在も、アメリカ人の日本人観の根底にあるのかもしれない。

そんなことを考えさせられた。

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