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2020年2月23日 (日)

脳内麻薬/中野信子

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 「頑張っている自分へのご褒美」であるドーパミンがうまく働いている限り、私たちの脳は頑張って何かを達成することに快楽を感じ、結果として、程度の差はありますが、努力を続けることができるのです。

本書は脳内麻薬と呼ばれるドーパミンについて書かれたものだ。

何かを成し遂げ、社会的に評価されて喜びを感じるときや友人や家族や恋人から感謝やお祝いの言葉を聞いて幸福感に包まれるとき、私たちの脳の中では、快楽をもたらす物質「ドーパミン」が大量に分泌されている。

この物質は食事やセックス、そのほかの生物的な快楽を脳が感じるときに分泌されている物質、またギャンブルやゲームに我を忘れているときに分泌されている物質とまったく同じ。

ヒトという生き物は大脳新皮質、つまり「ものを考える脳」を発達させることで繁殖に成功してきた。

狩りをしたり、植物の実を食べたり、繁殖期に異性を見つけて交尾したり、今を生きるために必要なことならほかの動物にもできる。

ところがヒトという種は、遠い将来のことを見据えて作物を育てたり、家を建てたり、さらには村や国を作り、ついには何の役に立つのかわからない、科学や芸術といったことに懸命に力を注ぐような生物だ。

そういった、一見役に立つかどうかわからなそうな物事に大脳新皮質を駆使することで結果的に自然の脅威を克服し、進化してきた動物がヒトであるともいえる。

こうした知能的行動は「目の前の餌を食べたい」という欲求と、時にはぶつかり合う。

やるべきことはわかっていても、生理的欲求には逆らいにくいもの。

その葛藤を克服するために、ヒトの脳は快楽物質という「ご褒美」を用意し、遠い目標に向けて頑張っているときにそれが分泌されるしくみを築き上げたともいえる。

つまり快楽とは、ヒトが目的を達成するための妨げになるものではなく、給料や昇進という報酬がなかった原始時代から、ヒトの脳が用意した「頑張っている自分へのご褒美」なのだ。

このご褒美は時には生理的欲求を打ち負かすほどのものなので、非常に強力だ。

次のようなとき、ヒトの脳の中にはドーパミンが分泌されていることがわかっている。

*楽しいことをしているとき

*目的を達成したとき

*他人に褒められたとき

*新しい行動を始めようとするとき

*意欲的な、やる気が出た状態になっているとき

*好奇心が働いているとき

*恋愛感情やときめきを感じているとき

*セックスで興奮しているとき

*美味しいものを食べているとき

薬物である麻薬を摂取することは犯罪だが、脳内麻薬をいくら活用しても犯罪にはならない。

大事なことはそのメカニズムを知り、上手に活用することだろう。

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