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2020年2月 2日 (日)

シリアル・イノベーター/アビー・グリフィン、他

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 一つだけではなく、複数のイノベーションを連続的(シリアル)に生み出す人物。それがシリアル・イノベーターだ。人や組織にとって重要な課題を解決するアイデアを思い付き、必要に応じてその実現に欠かせない新技術を開発し、企業内の煩雑な手続きを突破して、画期的な製品やサービスに発展させ、市場に送り出す。

端的にいえば、企業における新製品開発プロセスには、技術主導型と市場主導型の二つがある。

どちらが優勢とは一概にはいえない。

だが、こうした状況を打開する人物がいる。

その人物とは、スティーブ・ジョブズのようなカリスマ経営者でも、いまをときめくシリコンバレーの起業家でもない。

長い歴史を持った大企業でミドルという難しい立場にありながら「シリアル」、つまり幾度となくイノベーションを起こす人のことだ。

それが本書の題名でもある「シリアル・イノベーター」である。

企業の中堅に位置するシリアル・イノベーターに、どの製品を開発するか自ら決定する権限はない。

したがって、自らのビジョンを製品として実現するためには、ビジネスや技術面におけるスキルだけではなく、人的ネットワークや政治的能力も動員しなければならない。

シリアル・イノベーターのアプローチは、他の技術開発者たちとまったく異なる。

彼らは製品群や事業企画を変え、頻繁に組織のルールや規範を破る。

そんな彼らをうまくマネジメントすることは企業にとって非常に難しい。

彼らのプロセスは、ある特定の現象や課題の背後にある基礎科学を理解するところから始まり、顧客ニーズを理解するのに多くの時間を使う。

「シリアル・イノベーター」は、技術と市場の両方に対する視点を持ち、新技術がなかなか事業に結び付かない「死の谷」を越える方法を体得して、ビジネス・ブレークスルーを可能にする。

このような存在を見つけ、活躍の場を与えることこそ、いまの日本企業に必要なのではないだろうか。

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