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2020年5月の31件の記事

2020年5月31日 (日)

魚を与えるのではなく、サカナの釣り方を教えよう/浦田健

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 運っていうのは、個人の才能とかキャリアには関係ないところで起こってくるものなんだよ。それを引き寄せるのは、
 ①好奇心「なんか面白そう!やってみたいな」
 ②オープンマインド(柔軟性)「もしかしたら他にいい方法があるカモ?」
 ③持続性「石の上にも三年だ。小さなことをコツコツやり続けよう」
 ④リスクテイク「俺に任せとけ!責任は俺が持つ!」
 ⑤楽観性「明日は明日の風が吹く。何とかなるさ~」
 この5つの行動をとることなんだ。


ほとんどの成功者は自分は運がよかったという。

運任せで成功するか否かが決まるとしたら、努力することなど無駄なことのように感じるのだが、実はそうではない。

運のよい人になるためには努力が必要になるのである。

スタンフォード大学の心理学者、J・Dクランボルツは、次の5つの行動特性を持っている人は、計画された偶発が起こりやすい、つまり「運」が良くなる、ということを発見した。

1つ目は、とにかく「好奇心を持つこと」。

運の良い人たちは、みんな好奇心が旺盛だ。

変な先入観を持たないで、何でもまずは受け入れて試してみるという姿勢を持つこと。

2つ目は、「オープンマインド(柔軟性)」。

運の良い人は、みんなとっても頭が柔軟だ。

頑固者で運の良い人はほとんどいない。

運の良い人は、物事を別の側面からも考えてみたり、状況に応じて発想もすぐ転換する。

相手の意見も鵜呑みにしないで、納得するまで考える。

自分の意見が否定されても怒るのではなく、否定された理由をよく考えて、納得できれば自分の意見もすぐに軌道修正する。

他人が起こす出来事、身の回りで起こる出来事は、すべて自然の法則にしたがって起きている。

だから自分が望む結果や、運を引き寄せるためには、柔軟に自分を変えられるかどうかにかかっている。

3つ目は、「粘り強さ(継続性)」。

とにかくその先を信じて、やり続けるってことは運を引き寄せるため、成功するためにはとっても重要なことだ。

4つ目は「リスクテイク」

人は誰しもリスクをとらないで、大きな利益を得たいって思うが、それは虫のいい話。

リスクを取らないで、自分の都合のいいことばかり期待する人には運も味方しない。

何かを得るためには、何かを思い切って捨てないとだめだ。

パンパンに入ったバックには、チャンスが入る余地はない。

リスクをとって何かを捨てるからこそ、得るものも大きくなる。

最後、5つ目は「楽観性」。

「運」の正体を明かすと、実は脳にその秘密が隠されている。

だから、どんな逆境になっても「何とかなるさ」と楽観的に考えれば、本当に何とかなってしまうもの。

この5つの行動特性、意識して習慣化してみてはどうだろうか。

2020年5月30日 (土)

私が「ダメ上司」だった33の理由/午堂登紀雄

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 部下からの信頼を最も失う上司像のひとつは、「言行不一致」です。
 上司に大切なのは、「約束は守る」「できないことはできないと言う」「約束を守れないとき、自分の指示が間違っていたときは言いわけせずいさぎよく謝る」ことです。

上司とはマネジャーとしての役割とリーダーとしての役割とがある。

前者はテクニカルな面が多く求められるが、後者に必要なのは人としての在り方である。

著者はリーダーの例としてアメリカの人気ドラマ「ウォーキング・デッド」のリックを挙げている。

まず、ポイントのひとつは、「この道がいいだろう」と迷わずに道を指し示す判断力。

迷えば部下は不安になりますが、ブレない判断はみなを安心させる。

次に、周りを説得する努力を放棄しないこと、「この道を進もう」とみなを鼓舞し導く力。

論理的に丁寧に説明しつつ、熱意で感情に訴えかけること。

また、責任を取る覚悟も必要。

リックは行く先々でさまざまな脱出作戦、救出作戦を提案しますが、つねに彼が最も危険な役割を引き受ける。

「言うだけ番長」「失敗したのはお前の責任だ」ではなく、率先して行動し、結果の責任は自らが負う。

さらに、リックは弱音を吐くこともないし、愚痴や不平不満を言うこともない。

どうしようもない仲間であっても、反抗するムカつく仲間であっても、その人の強みを活かして協力しようとする。

これなどリーダーシップを考える上で参考になるのではないだろうか。

2020年5月29日 (金)

検証 検察庁の近現代史/倉山満

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 検察庁法第15条は検事総長、次長検事のほか、東京・大阪・名古屋・広島・福岡・仙台・札幌・高松の八つの高検の長である高検検事長について、内閣が任命し、天皇から認証を受ける官職(認証官)と定めている。法務事務次官が認証官ではないのと比べると、法務省における検察官の地位が高いことがわかる。

「検察庁法改正案」が強引に審議入りしたことに対して、ネットで「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグで、国民が一斉に反発し、多くの芸能人や文化人が抗議の声を上げたことが話題になった。

今回の法案で問題になったのは、内閣が「公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める事由がある」と認めるときは、定年前の職を占めたまま勤務させることができることになるという部分だ。

内閣が自分たちの気に入った検事総長や次長検事の定年を延長できるのではないかというところが問題になった。

つまり「内閣が」という主語の部分が一番の問題になった。

ただ、元々の法律の立て付けが検事総長、次長検事、高検検事長については「内閣が任命し、天皇から認証を受ける」存在とされているのだから、今回の改正案はそれに基づいてのものだとわかる。

問題はそれが国民に正しく伝わっていなかったことにある。

検察は正義を実現する組織だ。

善悪が価値観だ。

そもそも社会は経済活動で出来上がっている。

損得で動く。

その中で許せない悪をえぐりだし、裁判にかける。

ただし、あらゆる悪を摘発しては、社会は動かない。

自らの正義をふりかざして暴走することを、昔は「検察ファッショ」と呼んだ。

かといって、「お目こぼし」は巨悪を眠らせる。

今回の「賭けマージャン」の問題などがそれだ。

賭けマージャンをすべて摘発していたとしたら、それはそれで大問題になる。

パチンコなどもそうだろう。

検察は宿命的に、どこまでも矛盾の存在なのだ。

だから、むしろ、検察が自らの正義を振りかざして暴走することの方がよほど危険なのだ。

今でも記憶に新しいのは、平成21年6月の麻生自民党政権末期、大阪地検特捜部が村木厚子厚生労働省雇用均等・児童家庭局長を逮捕した事件だ。

「凛の会」という団体に対して、偽の障碍者団体の公的証明書を発行した容疑である。

障碍者団体と認定されれば郵便料金の特別割引制度を利用できる。

その便宜を図ったというのである。

村木は、当時から初の女性事務次官候補と期待されていた。

また高知大学卒と地方大学出身だったため、さらに関心を集めていた。

それだけに逮捕時のマスコミも、エリート官僚による汚職事件と大々的に報じた。 

検察は、村木が調書への署名を拒んでも、無理な強要はしなかった。

しかし、村木の容疑を固めるために行われた厚労省係長の上村や、「凛の会」関係者への虚偽内容の供述の誘導や恫喝はすさまじいものであった。

ところが、捜査の過程で、公的証明書のフロッピーディスクを改竄し、証拠隠滅罪を図ったことが判明し、村木に大阪地裁は無罪を言い渡した。

村木は復職し、その後は事務次官になっている。

日本の刑事裁判では、起訴するとほぼ100%の確率で有罪となる。

この数字ゆえに、日本の検察は「精密司法」と呼ばれる。

問題は、日本の検察は異様なまでに自白に拘るということだ。 

自白に頼るということは、検察官が事前に作り上げた「ストーリー」に当てはめるという危険性もある。

無実の人間を犯罪者にしてしまう冤罪の危険性だ。

その意味で強大な権力を持つ検察に一定の制限を加えるということは必要なのではないだろうか。

2020年5月28日 (木)

コンサルタントの対話術/和仁達也

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 コンサルタントには、そのアプローチ法の観点で分類すると、2つの型があります。
 1つは、「先生型」コンサルタント。もう1つは「パートナー型」コンサルタントです。

コンサルタントは専門知識をもって顧客の問題を解決し価値を提供する存在だ。

コンサルタントの仕事は、突き詰めれば「言葉を使って人に影響を与え、成果をもたらし、報酬を得る」というシンプルな行為。

そのため、どうしても教え癖がついてしまう。

しかし、問題がそれがあまりに顕著になると鼻についてしまうということ。

いつの間にか「先生」になってしまう。

ただ、問題は相手の会社のことは、実は相手が一番よく知っているということ。

だったら、うまく質問して本当の問題に気付かせ、新しい着眼点を与えればよい。

本書は5つのキーコンセプトで書かれている。

第1に、社長にとっての理想のコンサルタント像とは、「先生型」コンサルタントではなく、「パートナー型」コンサルタントであるということ。

第2に、「パートナー型」コンサルタントの役割は、社長のビジョン構築のお手伝いをすることと、盲点に気づかせることということ。

第3に、コンサルタントがすべき最大の仕事は、社長のお困りごとにフォーカスすること。

本当のお困りごとは何かを突き止め、クライアントと共有し、一緒に解決していくこと。

対話術の最終目的も、この点にある。 

第4に、そのためには、「何をしゃべり、何を聞くか」よりも「安全・安心・ポジティブな場作り」のほうが優先されるということ。

第5に、コンサルタントとしての「あり方」次第で、報酬は大きく変わるということ。

そして、はじめの1歩は、「見込み客のお困りごとを言語化する」ことだという。

本書を読んで、改めて「対話術」の必要性を痛感させられた。

2020年5月27日 (水)

小さな会社は人事評価制度で人を育てなさい!/山元浩二

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 社員10人以上の会社が成長するためには「経営計画書を落とし込んだ育成型の人事評価制度」が必要です。

私自身、人事制度構築のコンサルを業としているのだが、大事なことはいかに整合性のある制度にするかということだ。

例えば、昇給させるにしても、単純に毎年3%の昇給させるという制度を作っても、昇給原資がなければその制度は破綻する。

ない袖は振れない、原資あっての昇給だ。

だったら、売り上げが、あるいは粗利がどのくらい上がったら、いくら昇給するのか?

それを明確に数字で示し、社員の共感を得ることだ。

これがなければ中小企業ではうまくいかない。

また評価も給料を決めるためだけのものではないことを説明することだ。

ほとんどの社員は評価を査定と思っている。

つまり、昇給額や賞与を決めるためのものだと。

確かにそのような面もあるのだが、もっと大きな目的がある。

それは育成である。

評価は、一定期間の行動を結果を振り返ることによって、できていること、できていないことを明確にし、次期に向けての課題を上司と部下とで確認し、成長を促すことが一番の目的だ。

これらのことをキチンと社員の説明し共感を得ること。

そして同じ方向を向いて仕事をすること。

それが会社の業績向上につながる。

本書はそのことが分かりやすく書かれている。

これから人事制度を作りたいという中小企業には参考になるのではないだろうか。

2020年5月26日 (火)

バカの国/百田尚樹

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 しかしこのSNSのお陰で、これまでの社会では世に出ることがなかった「バカ」が大量に発掘されるようになりました。いや、発掘は正しい表現ではありません。これらの新種のバカは、自ら穴の中から這い出てきたのですから。
 いまやSNSの別名は「バカ発見器」です。


本書は、「百田尚樹チャンネル」のメルマガを加筆・修正したもの。

歯に衣着せぬ発言でやたら物議をかもす著者だが、言ってることは極めて全うなことだ。

特に、武漢コロナウイルス禍に対する政府やマスコミの対応を痛烈に批判している。

特に、感染者が増えた3月以降、「国民は全員が検査を受けるべきだ」というキャンペーンを張るテレビ局がいくつも現れたこと。

重い症状でもないのに「不安だから」というだけで検査を受けると、膨大な数の偽陽性判定者が現れ、病院に患者が溢れかえって医療崩壊という最悪の事態が起こる。

あらためてテレビ局員の知性と節度の無さに啞然とさせられる。

メディア関係で最もぞっとさせられたのは、3月13日の朝日新聞の編集委員のツイート。

「あっという間に世界中を席巻し、戦争でもないのに超大国の大統領が恐れ慄く。新コロナウイルスは、ある意味で痛快な存在かもしれない」

これなど、「どこの国の新聞なの?」と思ってしまう。

著者が1月22日以降、連日ツイートで「武漢肺炎の脅威」を訴えていると、多くの匿名の人から「騒ぎすぎだ」というリプライをもらったという。

しかし、著者の警告は現実のものとなった。

結局、日本政府が動かなかったために、春節の大移動で、1月の終わりから大量の中国人観光客が入国した。

その結果、日本にも多くの感染者が出た。

日本と真逆の対応を取ったのは台湾だった。

蔡英文総統は「中国からの入国の全面停止」を含む断固とした措置を矢継ぎ早に取った。

しかも違反する者には厳しい罰則まで付けた。

現時点で台湾が世界の国の中でも感染者の少ない国となっているのは、そのおかげだろう。

今回の事態は、図らずも日本という国の弱点が出てしまったと感じるものだった。

最近はSNSが世論を動かすことも多いのだが、著者は、SNSの別名は「バカ発見器」だという。

確かにその通りかもしれない。

 

2020年5月25日 (月)

対人距離がわからない/岡田尊司

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 安全基地に恵まれない人も、自分が誰かの安全基地になる努力をすることはできる。一人の人間にできることは、結局そこに尽きるように思う。

仕事や学業そのものに困難があっても、周囲との関係さえよければ、なんとかなることが多い。

周囲との関係さえよければ、試行錯誤したり努力を重ねることで、大抵の問題は乗り越えていける。

逆に、周囲との関係が悪いと、知識技能がどんなに高くても仕事がうまくいかなくなる。

それほど、周囲との人間関係は大事だ。

そして人間関係を築くうえで重要なのが人との距離感である。

難しいのは人によって心地よい人との距離感が違うということだ。

相手と密着した状態が心地よい人がいる。

一方、相手との距離感が近いと不快に感じる人がいる。

自分の縄張りを侵害されたと感じてしまうからだ。

おそらくその距離感は国によって違うだろうし、同じ国民でも個々の性格よっても違う。

大事なことは自分の心地よい距離感を絶対化しないことだ。

そして、人と自分とは違うという前提に立つこと。

この基本を忘れないことだと思う。

2020年5月24日 (日)

ストレス・リリース・タッピング/加藤あや子

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 S.R.Tは元々自分自身を思い通りにコントロールするためのツールです。苦手意識の克服にも役立ち、様々な自分の可能性に気づいていけることと思います。
 さらにストレス感情をためない習慣が身につき、レジリエンス(ストレスに対する回復能力)も上がるので、今のストレス社会と言われている時代には、ぴったりのものです。

タッピングは、アメリカではエネルギー心理学と言われ、エネルギー療法、ブリーフセラピーとして扱うセラピストも多いという。

ただ、日本では一般にはまだまだ馴染みがないのが現状だ。

S.R.Tによっておこる効果をあげると、 

・仕事に集中できるようになる

・不安や緊張がモチベーションに変わる

・言いたいことが言え、伝えたいことが伝わる

・落ち着きと自信が持てる

・目標を達成しやすくなる

・過去への後悔がなくなる

・挑戦意欲が湧く

と、様々。

その手順は、

❶消したい感情と場面を決める。

例えば、

「○○を失った悲しみから解放されたい」

「上司に嫌なことを言われたイライラを消したい」

「明日のプレゼンの緊張を鎮めたい」

といった具合に。

❷体の反応を見つけ、その感情を思い浮かべた時の体の反応をみる。

「思い出すと胸が苦しい」

「みぞおちが痛い」

「肩に力が入る」

といった具合に。

❸感情、反応を数値化する。

感情、反応ともに1~10の数値を出す。

例えば、ものすごく腹が立つ場合は10を、少しイラっとする程度なら4を。

この感覚は、自分がこうだと思う数値で問題ない。

❹セットアップをする。

セットアップフレーズといわれる短い文章を作る。

例えば

「上司の、あの言葉を思い出すとイライラする。これを解放します」

「あのことを思い出すと怖いけれど、これを認めて手放します」など。

言葉を決めたら、セットアップポイントを刺激しながら、決めた言葉を呟いていく。

セットアップポイントは2か所ある。

胸の圧痛点と空手チョップポイント。

胸の圧痛点は乳首の5センチぐらい上。

筋が張った場所で、強く押すと少々痛みを感じる。

ここを円を描くようにさする。

次に空手チョップポイントは、実際に対象物と接触する場所。

左右の空手チョップポイントを軽くぶつけるように刺激する。 

❺タッピングをする。

8か所のツボを2本の指でタップしていく。

ツボをタップしながら、自分の気持ちや体の反応を繰り返し言っていく。

ツボのタップを1周として3回繰り返す。

基本の感情解放では、1周目は「イライラする!」などの気持ちを表す言葉、2周目は「胸が苦しい」、3週目は「胸に圧迫感がある」など、なるべく体の反応に意識を向けながらタップする。

3周以上のタップで体の変化や気持ちの変化を感じられるようになる。

❻深呼吸と水分補給をする。

1、2回深呼吸をしてから、水分補給する。

❼スコアの再確認をします

③の感情と反応の数値を確認する。

数値が減っていたら⑧へ進む。

❽プラスのセットアップとタッピングする。

感情が落ち着いてきたら、次に穏かさやポジティブな気持ちを高めるセットアップとタッピングをする。

どうありたいのか? を考えてみる。

❾深呼吸と水分呼吸をする。 

❿再度、感情と反応のスコアを確認する。

①で頭に思い浮かべた場面と相手を再び思い浮かべ、自分の感情や体の反応がどうなっているかを確認する。

こんな手順で行う。

S.R.Tは、自分1人で簡単にできる。

自宅にこもることが多い今、やってみても良いのかもしれない。

2020年5月23日 (土)

児玉誉士夫 巨魁の昭和史/有馬哲夫

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 五六年のこの時点で、児玉は現総理大臣と次期総理大臣候補者を自分の影響下に置いていた。なおかつ、彼はやくざや右翼団体など裏社会をも支配していた。表と裏の社会の両方を総合的にプロデュースしている。こんな人間がかつて日本の歴史にいただろうか。

児玉誉士夫の名前を初めて知ったのは、あのロッキード事件である。

しかし、そもそも児玉は表舞台に現れることのない人物である。

児玉の肩書は、日本の右翼運動家、自称CIAエージェント、暴力団・錦政会等々、様々。

一方、「政財界の黒幕」、「フィクサー」とも呼ばれた。

児玉は戦争中、海軍航空本部のために物資調達を行い、終戦時までに蓄えた物資を占領期に売りさばいて莫大な利益を得る。

この豊富な資金を使って、戦後分裂状態にあった右翼を糾合し、鳩山一郎など大物政治家に政治資金を提供した。

しかし、児玉が生きているうちに「自主防衛」が実現することはなかった。

アメリカ駐留軍は日本の敗戦以来、ずっと日本に居すわっている。

これまでの戦後の指導的な政治家と児玉はこの状態を変えようとしてきた。

もっとも長く、熱心にこの課題に取り組んできたのは案外、児玉だったのかもしれない。

振り返ってみると、児玉の人生の絶頂は、自分が苦労して「培養した」鳩山一郎が総理大臣になり、衆参両議院本会議で「自主防衛論」演説をしたときではなかっただろうか。

ところが、その後鳩山は「自主防衛論」を置き去りにして、ソ連との国交回復に突き進んだ。

今日では、「自主防衛」どころか防衛そのものの劣化が進んでいる。

東北の没落士族の家に生まれ、惨めな少年時代を過ごした児玉は、その後それまでは想像もできなかった軍や政治の大物とめぐり合い、昭和の政治をプロデュースする大物に成長していった。

GHQ、国務省、CIAとわたり合い、裏方とはいえ一つの時代を動かしてきた。

本書に書かれているのは、教科書には決して載ることのない裏の歴史である。

それだけに、非常に興味深い。

2020年5月22日 (金)

世界の経営学者はいま何を考えているのか/入山章栄

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 誤解をおそれずにいえば、ドラッカーの言葉は、名言ではあっても科学ではないのです。

本書は最新の経営学について書かれている。

アメリカの経営学の最前線にいるほぼすべての経営学者は、ドラッカーの本をほとんど読んでいないという。

なぜアメリカの経営学者はドラッカーに興味を持たないのか。

おそらくドラッカーの言葉は「名言ではあっても、科学ではない」から。

では、そもそも科学とは何か。

それは「世の中の真理を探求すること」

そして真理の探究のためには、可能なかぎり頑健な理論を構築し、それを信頼できるデータと手法でテストすることが何よりも重要。

これは、他の科学分野、たとえば物理学や化学、あるいは経済学でも同じこと。

「理論仮説を立て、それを統計的な手法で検証する」というアプローチは、欧米の経営学者のあいだで多く用いられている。

これはいわゆる「演繹的なアプローチ」に近いといえる。

SCPパラダイム、リソース・ベースト・ビュー、ダイナミック・ケイパビリティ、取引費用理論、エージェンシー理論、リアル・オプション、組織エコロジー、ネットワーク理論、制度理論、資源依存理論、ソーシャル・エクスチェンジ理論、学習理論、レッド・クイーン、オーストリアン経済学……

これらはすべて、経営戦略論で使われる「理論」フレームワークの名称。

ただ、素朴な疑問がある。

それは、経営学って本当に役に立つのだろうか、という疑問。

特に私がかかわっている中小企業の経営に。

2020年5月21日 (木)

ポートフォリオで「できる自分」になる!/岩堀美雪

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 「人生」は、自分でしか変えられません。「自分」も、自分でしか変えられません。

自分の能力を十分に発揮して、人生を楽しんでいる人。

能力がありながら発揮できずに、人生を楽しむことができないでいる人。

私たちの多くは、確実にどちらかのタイプに当てはまる。

そして、ほとんどの方が後者だ。

実は、その答えは、「自己肯定感」が育っているかいないかの違いだ。

著者はそのために「パーソナルポートフォリオ」を作ることをすすめている。

「パーソナルポートフォリオ」とは何か?

自分自身の成長ファイルだ。

目標や長所を書いて、それをファイルのポケットに入れ、あとは順次、「宝物(大切にしている写真、手紙、賞状など)」「やり遂げたこと(山登りをしたときの写真、マラソンの完走賞など)」「成功したこと(仕事の資料のコピー、テストの結果やイベントの写真など)」を同じようにポケットに入れていって作ったもの。

それによって、自己肯定感や自尊感情を育てる。

要は、自分に自信を持って、自分を好きになることにある。

私たちが大きく成長するには、「自分への自信を養うこと」が大きな鍵を握っている。

人は、自分の長所に気づき、自分で自分を認めることができるようになると、そのことが、自信となる。

自信がつくので自分の能力を発揮できるようになる。

周りからも認められるようになる。

すると、ますます自信がつき、ますます能力を発揮できるようになるというプラスの循環が起こる。

自分を認めることが「習慣化」されていけば、能力はどんどん開花していく。

この「自分を認める」ということが成長するためには必ず必要な要素であり、これがあれば人は自然に成長する。

パーソナルポートフォリオでは、そのときどきの成長の記録をポケットの中に入れていく。

そこに入れたものを見ながら、今の自分と比べれば必ず「成長の跡」が感じられる。

「成長の跡」は形に残っているので、それが「一生の宝物」にもなる。

また、そこから見つかった「成長」も、「一生の宝物」になる。

いわば「成長の見える化」ともいえる。

パーソナルポートフォリオの目標は、「自分の長所に気づき、自分を好きになること」

そして「自分が本来持っている能力を発揮して『できる自分』になること」

「自分を認める」ことができると、自分に自信がついて、心に余裕ができる。

周りを気にせずに素直に力を発揮できるようになる。

自分の考えも堂々と人前で話せるようになり、人間関係もよくなる。

「自己肯定感」の低い人はやってみても良いのではないだろうか。

2020年5月20日 (水)

正直、仕事のこと考えると憂鬱すぎて眠れない。/じゅえき太郎

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 はじめに言っておきます。この世に「無礼講」という言葉は存在しません。

飲み会で「これからは無礼講だから」と言われて、先輩社員にため口をたたき、後でこっぴどく叱られるということはよくあること。

たとえ、休日のイベントであっても「会社の」イベントである飲み会やバーベキューでは気を抜けない。

一歩間違えれば謝罪必須の事件になってしまう。

日本人の場合、職場の悩みはほとんど人間関係の悩みだ。

職場には自分に合う人もいれば合わない人もいる。

苦手な人がいる場合は、まず距離をとってその相手を観察すること。

注意深く観察していると相手が今どんな気持ちでいるのかだんだんわかってくる。

そして上機嫌のタイミングでちょっとだけ会話してみる。

最初の入りが上手くいくと意外とスムーズに話せるようになったりする。

と、このようなちょっとした工夫が本書には書かれている。

やってみていいのかもしれない。

ただ、基本的に自分にピッタリの職場に出会うのはなかなか難しいという事実も知っておく必要があるのではないだろうか。

2020年5月19日 (火)

スマホ廃人/石川結貴

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 SNSやコミュニティサイト上では、「沈黙のらせん」現象が起きやすいと指摘されている。ドイツの政治学者エリザベート・ノエル=ノイマンによって提唱された仮説だが、大きな声に同調する意見が集まると、まるで大勢がそう考えているような錯覚に陥り、反対が表明できなくなるというものだ。

今、「#検察庁法改正案に抗議します」の投稿が爆発的に広がり、芸能人を含む有名人が次々と声をあげたことが新聞やテレビで報じられて関心が一気に高まっている。

情報の信憑性や正当性は軽視され、「人気がある」、「これが常識」、「乗り遅れるな」、そんな声自体が人気や常識を作り上げる。

実際に人気があることよりも、人気があるという情報が人気を呼び、ますます人気になっていく。

こうした同調圧力は、ネット上では一段と過熱する。

その一例が「不謹慎狩り」だ。

たとえば大きな災害が起きた際、SNSに楽しそうな投稿をすると「被災した人がいるのに不謹慎だ」と非難される。

たとえ被災した当事者であっても、「避難所にいるのに化粧をしていたバカ女」などと罵られ、不謹慎狩りの対象になってしまう。

個々の状況がどうであれ、「みんなが求める空気」に合わせなければ、たちまちバッシングの嵐だ。

ときには非難だけでは収まらず、氏名や学校名がさらされたり、企業であれば不買運動にまで発展する。

おまけに糾弾する側は、それを正義と捉えている。

同調しない者を排除することは正当な行為であり、「運命共同体」のような圧力をかけてくる。 

情報が氾濫し、様々な同調圧力がかかりやすい現代こそ、真のメディアリテラシーが求められるのではないだろうか。

2020年5月18日 (月)

これからの経営に必要な41のこと/岩田松雄

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 まさに「この企業は何のためにあるのか、その存在理由」こそが、「ミッション」です。そしてそれは、必ずどの企業にもあります。創業の原点に立ち返り、創業者の思いを振り返れば、「この企業は何のためにあるのか」が必ず見えてくるのです。企業の存在理由を理解することこそ、経営者がまず取り組むべきことです。

経営者の大切な役割は、「我が社はこのように世の中に貢献している」ということを従業員にしっかり伝えることだ。

この企業は何のためにあるのか。

どう世の中の役に立っているのか。

従業員に理解してもらうべきは、まずそこなのだ。

なぜならそれが、心を動かし、人を動かす最大の原動力になるからだ。

変化があまりない時代であれば、「強いオーナー経営者」と「頑張る社員」の組み合わせを擁する会社が、最強だった。

「これをやれ」とトップダウンで決められた目標に向けて、従業員はとにかくがむしゃらに頑張ればよかった。

しかし、今はそうはいかない。

環境の変化は目まぐるしく、何が正しいか、何をすべきかは日々変わってしまい、いちいちトップダウンで指示を出していたのでは間に合わない。

そういう場合には、社員一人ひとりが自分で考えて行動する必要がある。

ただ、自ら考えて行動するといっても、考えるための軸がなければ、その行動は無軌道になってしまう。

だからこそ、これからの経営者には、「何のためにやるのか」というミッションを伝えることが求めらる。

すなわち、「自分たちの会社は何のために存在するのか」をしっかり掲げる必要が出てくる。

これはまさに、会社の、そして経営の「本質」を問うことだ。

コロナ禍の今こそ、ミッションをしっかり考えるべきではないだろうか。

2020年5月17日 (日)

「人」も「お金」もついてくるリーダーの哲学/井上裕之

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 リーダーに大切なのは、テクニックではなく、生き方です。「リーダーである前に、人として魅力的になること」人もお金もついてくる一流のリーダーになる秘訣を一言でいうと、それに尽きます。

「リーダーの器以上に組織は大きくならない」

これは、リーダーについて語るときによくいわれる言葉だ。

この言葉をいい換えれば、「リーダーの成長なくして、組織の成長はない」 ということ。

一流のリーダーになる秘訣は、一流のリーダーにふさわしい物事の考え方である「リーダー思考」を磨くことだ。

著者は人もお金もついてくるリーダーの特徴として次のような点を挙げている。

例えば、人もお金もついてくるリーダーは、目標を100%達成すること以外は考えない。

目標に対して、いつもゼロか100かの「ゼロ100思考」で取り組む。

人もお金もついてくるリーダーは、部下が諦めてしまうぐらいの努力する。

二倍、三倍の努力では、全然足りないと考えている。

人もお金もついてくるリーダーは、笑顔にも時間とお金をかける。

笑顔は、会った人を楽しい気分にさせる。

人もお金もついてくるリーダーはそのことをよく知っている。

人もお金もついてくるリーダーは、相手の話をすべて聞いた上で、自分の意見をいう。

コミュニケーションにおいて一番大事なことは、相手を認めることだからだ。

人もお金もついてくるリーダーは「職場は人を育てる場所」と考え、自分はもちろん、部下の人生を考えて指導にあたる。

そのための環境づくりにも力を注ぐ。

人もお金もついてくるリーダーは、80対20の割合で部下を褒める。

部下の「いま」を認めてあげた上で、将来を示唆したり、ミスや誤りを指摘する。

人もお金もついてくるリーダーは、自らの成長のためにお金と時間を惜しみなく費やす。

使ったお金は、自分やまわりの人に還元されることを体験してきているからだ。

以上、総括すると、リーダーには「人間力」が必要だということではないだろうか。

2020年5月16日 (土)

これだけ!KPT/天野勝

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 ほぼすべての会社において、会議は重要であると同時に、ムダとも考えられています。これは、改善の余地があるということですので、KPTを導入する際、手っ取り早く成功体験を作るにはうってつけの題材です。

KPTとは、「Keep」、「Problem」、「Try」の視点で物事をとらえる「思考フレームワーク」。 

Keep、Problem、Tryの先頭の文字をつなげて「KPT」としたもので、「けぷと」と呼ぶ。

Keepは、実施した活動の中で行っていたことで、今後も続けたいことや、よかったこと。

Problemは、実施した活動の中で、困ったことや、問題点。

Tryは、今後の活動で試したいこと。

KPTをPDCAをうまく回すために活用するとよい。

PDCAの枠組みで言えば、「K」と「P」は「C」、「T」は「A」に相当する。

KPTを行うことで、CheckとActが自然とスムーズに行えるようになる。

まずは、これまでどうだったのかをKeepの視点、Problemの視点で確認する。

次はどうすべきかTryとして改善策を考える。

そして、それらを踏まえて計画を立てれば、これまでの実績に基づき、改善策を盛り込んだ計画を立てられる。

あとは、計画に基づいて仕事を進めていけばよい。

順番とすればC→A→P→Dとなる。

あとは練習あるのみである。

PDCAサイクルがうまく回らない人は、KPTを取り入れてみるのも一つの方法ではないだろうか。

2020年5月15日 (金)

伝えるための3つの習慣/いなますみかこ

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 なぜ、相手に伝わらないのか?
 それは相手が他人だから。相手と自分は違うから。

伝わらない状況を分解してみると、第一に、自分(話し手)の問題、第二に、相手(聴き手)の問題、第三にメッセージの問題がある。

この三つ、どれが欠けても伝わらない。

コミュニケーションの目的は「相手に伝える」ことではない。

「相手に伝わる」ことだ。

「伝わる」の究極のゴールは、「メッセージ=目的」に対して、聴き手と話し手があたまでもこころでも「一致」している状態だ。

そのためには、相手に「わかりやすい言葉や表現」で伝えることも大事だが、問題は相手によって「わかりやすい言葉や表現」が違うこと。

人は皆違う。

男女の違い、生まれた時代の違い、生まれた環境の違い、性格の違い・・・等々。

様々な違いがある。

そのような相手の立場に立った言葉や表現を選び伝える必要がある。

「伝わる」というのは「話し方」といったテクニカルな問題だけではなく、人間に対する深い理解が必要ということだと思う。

そして人間に対する深い理解は短期間で養えるものではない。

「話し方教室」に出れば習得できるものでもない。

一生かけて養っていくものだ。

「相手に伝わる」ことは一生のテーマなのかもしれない。

2020年5月14日 (木)

報連相のキホン/車塚元章

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 実は、この「報連相しているつもり」という状況が、多くの職場で問題になっています。部下は報連相しているつもりでも、上司からしてみると報連相されたと思っていない。このようなミスマッチが現実に起こってしまっています。

報連相が本当に必要になってくるのは入社数年後だ。

ある程度、仕事ができるようになった段階で、どれだけ上司に報連相をし、フィードバックを得られるかどうかが、「上に行く人・行かない人」の大きな分かれ道になる。

では、どこでその違いが出るのか。

ポイントは「上司の立場に立って報連相をする」ことができるかどうかだ。

上司からの信頼が厚く、仕事を任せられている人は、いつも上司が求めているタイミング、内容で報連相ができている。

一方、報連相がうまくできない人は自分の立場から仕事を見ており、思い込みが強い。

上司から仕事を頼まれたときやトラブルが起きたとき、

細かなことまで報告する必要はない

人に相談しなくても、自分の力でなんとかできる

上司に悪い話はしたくない、後回しにしたい

と、自分の立場でしか仕事を見ていない。

報連相とは一方的ではなく、双方が理解することによって成り立つコミュニケーションだ。

報連相しなければいけない情報に対して、「いつ報連相するのか」を見極める力を持つことは、信頼される部下への近道といえよう。

当たり前のことだが、上司には多くの経験や実績がある。

その上司の経験や実績を、報連相によって「借りてくる」ことができる。

報連相の重要性を再認識すべきだろう。

2020年5月13日 (水)

カネと非情の法律講座/青木雄二

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 和解で債権が回収できる確立は、裁判をつづけるよりもよほど高い。

裁判がはじまっても、判決にまでいたるのはきわめて例外的だと著者はいう。

とりわけ民事訴訟はそうした傾向が強い。

では判決以外にはどんな形で裁判が決着するか。

もっとも早い段階で終わってしまうのが示談である。

示談についで早い時期に解決するのが、原告側の訴訟取り下げにより決着するパターンだが、現実にはこれも多いとはいえない。

もっとも一般的なのは、和解によって解決するケースである。

和解で決着することが多い理由は、和解には当事者はもちろん、弁護士、裁判官とすべての関係者に多くのメリットがあるからだ。

まず裁判所側からいえば、もっとも大きな利点は事件が短期間で解決することである。

わが国はいまたいへんな訴訟ラッシュで、どこの裁判所もパンク寸前の状態にある。

大都市の裁判所は三人一組でチームを編成して仕事を進めるのだが、現在一つのチームが七百から八百件もの事件をつねに抱えているといわれている裁判所もある。

しかもかれらにも査定があり、その年度に担当した事件のうち何件が解決したかが最高裁に逐一報告されている。

このため、とにかく事件が解決することがかれらにとって最大級の関心事なのだ。

裁判所にとってもっとも早い解決は原告に訴訟を取り下げてもらうことだが、これは原告が納得しないため、かなり確率が低くなる。

現実的に最短での解決は和解となるわけだ。

裁判官にとって和解の二番目のメリットは、仕事がたいへんラクなことである。

和解なら裁判官は判決文を書く必要がない。

判決を書くためには当事者の主張を正確に把握しなければならないし、当事者が提出した証拠もすべて理解しなければならないのだが、これらの書類だけでも机の上に積み重ねると20センチくらいにはなってしまう。

判決を書くためには、これらすべての書類に目を通し、当事者の主張を整理、理解しなければならない。

これに対し、和解なら当事者さえ納得すればよいから、わざわざ20センチの調書と速記録を読む必要がない。

つまり裁判所としては「判決文を書く必要がない」「時間が早い」「資料をこまかく読まなくてもよい」というのが和解のメリットなのである。

いっぽう当事者にとっての利益はどこにあるのか。

これは弁護士にとっての利益とも重複するのだが、最終的に債権を回収できる可能性が高いということにある。

現在のような無力な強制執行システムでは、裁判を最後までつづけて判決を取り強制執行したとしても、結果的に残ったのは判決文一枚ということも考えられる。

これにくらべて和解は、形だけは両者の納得の上の決定なので、少なくとも強制執行よりもカネが返ってくるとみてまちがいない。

弁護士も回収の依頼にいったときは「私にまかせなさい。かならず全額取り立ててみせますから」と言って受けておきながら、いざ交渉が始まると「和解するほうがトクですよ」と一転して和解をすすめだす。

ここが弁護士のウデの見せ所なのだが、じつにたくみに依頼人を納得させてしまう。

だから、日本の裁判では和解が圧倒的に多いというわけだ。

このことは一般人も知っておいたほうがよいだろう。

2020年5月12日 (火)

今、心配されている環境問題は、実は心配いらないという本当の話/武田邦彦

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 歴史的に見ると、「思想から始まった科学」のほとんどが間違いであり、多数の犠牲を伴ったのは事実である。 

思想が先行する科学は、その思想が政府や社会運動と連携することが多い。

それはもともとそのような思想が誕生した社会的背景があるからだ。

そして権力と結びついた科学はその力を発揮し、残忍な結果に陥るのが常である。 

科学は人を信用するかどうかで決まるものではなく、自分で事実を当たり、科学的に整理し、必要に応じて計算し、そして自分の考えを確定するものだ。

著者によると、地球が温暖化するかどうかは証明できていないという。

単に誰かが言っているのを「信じている」にすぎないというのである。

そうなってくると、今の地球温暖化の取り組みは何なんだろう。

何らかの社会運動や一定の団体や企業の利害関係があるのかもしれない。

以前のダイオキシン騒動も記憶に新しい。

著者の親しい知り合いで、ダイオキシン騒動に乗って研究費を獲得し、メディアで活躍し、大学でのポジションを獲得したり、出世した人も多かったという。

2000年からしばらくの間、ダイオキシンの研究費、高価な分析費用、そして焼却炉の改造費用などは年間約2000億円に達し、多くの人が甘い汁を吸った。

ところが、驚いたことに「ダイオキシンが人間に毒性を示す」という研究結果が全くないのだという。

読んでも読んでも「ダイオキシンは人間に有毒である」という論文に到達できなかったというのである。

1999年から2001年にかけて大量に出回った、人体に関するダイオキシンの影響の論文を200報ほど読んで判明したこと。

それは、ダイオキシンの毒性は極めて弱いこと、

そして、ヒトの場合は長く火を使ってきたので、ダイオキシンの毒性を抑えるレセプターを多く持っていることだという。

毒物研究で有名な東大医学部の和田教授が、「ダイオキシン問題は科学が社会に負けた例である」と論文に書いたのが2001年。

まさに、メディアや社会が、なんの問題もない化合物を猛毒にまで仕上げる力があることを示したのだった。

情報が氾濫する現代。

何が本当のことなのか?

見極める知見を持つ必要があるということだろう。

2020年5月11日 (月)

国のために死ねるか/伊藤祐靖

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 特殊部隊員に必要なのは、覚悟でも犠牲的精神でもない。任務完遂に己の命より大切なものを感じ、そこに喜びを見いだせる人生観だ。

自衛隊というものは、自己完結型の組織である。

震災のようにインフラが打撃を受けたような場所においてでも、自分たちだけで活動ができる。

輸送、通信、炊飯、補給、経理、医療等々、直接戦闘行動に関係のない職種も多く保有しているからであり、彼らなくして継続的な戦闘行動は不可能である。

そういった自衛隊の中でも、敵陣に入り込み、孤立無援の状態でも自己完結して、作戦行動をとることができる部隊がある。

それが特殊部隊である。

だから特殊部隊員は、戦闘行動に関係の無い通信、医療等もこなせなくてはならないし、戦闘行動に関係するものは、すべてパーフェクトにできなければならない。

さらに、敵の支配地域を少数で行動するため、作戦の主軸を奇襲にゆだねる場合が多く、よって、パラシュート降下、レンジャー行動、スクーバ潜水等の高度な機動能力も不可欠となる。

そのような特殊部隊員に必要なのは、任務完遂に己の命より大切なものを感じ、そこに喜びを見いだせる人生観だという。

どんなに美しい言葉で飾ったところで、軍事作戦とは、国家がその権力を発動し、国民たる自衛官に殺害を命じることだ。

また、同時に殺害されることをも許容させる行為なのである。

ゆえに、権力発動の理由が「他国とのおつきあい」や「××大統領に言われたから」などというものであってはならない。

たとえ同盟関係があろうとも、軍事作戦発動の根底にある目的は、日本の国家理念に基づくものでなければならない。

特殊部隊員に一度しかない人生を捨ててまで守っていただくのであれば、守る対象にその価値があってほしいし、自分の納得のいく理念を追求する国家であってほしいと著者はいう。

国の在り方が問われているのではないだろうか。

2020年5月10日 (日)

カエルの楽園/百田尚樹

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「三戒のために、ナパージュのカエルたちの命が危うくなってもですか? 三戒のせいで国が危うくなっても、三戒を守るのですか?」
「それは詭弁だ!」ガルディアンは叫ぶように言いました。「そんなごまかしの言葉で三戒の矛盾を衝こうとしても、わしは騙されんぞ。ナパージュが今日まで平和でいられたのは、三戒のお蔭なのだ。三戒を失えば、ナパージュの平和もなくなる」 

本書は寓話の形をとりながら、現在の日本を皮肉っている。

楽園のナパージュは日本国であり、その住人のツチガエルは私たち日本人だ。

ナパージュの綴りは「Napaj」、ひっくり返すと「Japan」になる。

狂言回しである二匹のアマガエルは難民。

物語はアマガエルの目を通して語られる、ナパージュとツチガエルたちの運命だ。

ナパージュを脅かすウシガエルは中国、ナパージュに君臨する鷲のスチームボートはアメリカ合衆国、ハンニバル三兄弟は陸海空の自衛隊だろうか。

ツチガエルたちが何よりも大切に守っている「三戒」は、日本国憲法の前文」諸国民の公正と信義に信頼して云々──」と9条2項。

彼らがいつも歌っている「謝りソング」は、戦後の自虐思想そのものだ。

「三戒」と「謝りソング」のせいで、ツチガエルたちは他力本願の無責任主義と夢見る平和主義に陥っている。

平和でありさえすれば、紛争や戦争さえなければ、奴隷の平和であってもよいと心から思い込んでいる。

しかし、この寓話の最後にはナパージュはウシガエルに攻め込まれ、虐殺され、支配されてしまう。

何より怖ろしいのは、この寓話が、現在、私たちの目の前で、少しずつ現実になりつつあることだ。

「カエルの楽園」はまさに現代の日本である。

いつまでこの矛盾した状態を放置しておくのだろう。

2020年5月 9日 (土)

「リベラル」という病/岩田温

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 日本でリベラルを自称する人たちには、顕著な特徴がある。それは、現実をみつめようとせず、愚かな観念論に固執することだ。極めて反知性主義的な態度だといってよい。

リベラルとは、多様性を擁護し、国家が個人に対する干渉をなるべく少なくすることを前提としながら、様々なマイノリティ、弱者の権利擁護を行う思想である。

こう考えると、リベラルとは決して悪いことではない。

ところが日本のリベラルは特殊だ。

リベラルというより左翼といった方がよい。

「反知性主義」があたかも「リベラル」の暗黙の前提条件であるかのごとき状況にあるのが、日本の現実だ。

現実を見つめず、自分たちにとって都合のいい虚構と妄想の世界で生きているかのようにふるまう「反知性主義者」、それが日本の「リベラル」だ。

そして、こうした「反知性主義」は、本来リベラリズムとは無関係な態度だ。

日本のリベラルは、戦後の日本の平和、繁栄が築かれたのは「平和憲法」があったからだという。

しかし、戦後の日本の平和、繁栄が築かれたのは自衛隊と日米同盟が存在したからであって、「平和憲法」があったためではない。

「平和憲法」を維持し続ければ平和だというのは、「妄想」に過ぎないことは、北朝鮮のミサイル問題が証明している。

だが、一旦現実から離れて、あくまで憲法の条文と照らし合わせてみたら、どうだろうか。

日本国憲法で「戦力」を否定しながら、自衛隊が存在するのはおかしいのではないか。

日本国憲法で「交戦権」を否定しておきながら、他国が侵略してきた際に、自衛隊が出動して戦うことが認められているのは、おかしいのではないか。

日本国憲法第9条を虚心に読めば、誰もが思い浮かぶ疑問であろう。

要するに、日本国憲法第9条第2項そのものがあまりに現実離れしており、憲法学者たちの解釈通りに解釈したら、自国の防衛すらままならないというのが現実なのだ。

そして多くの国民は憲法学者の憲法解釈ではなく、現実に適った極めて「不自然な憲法解釈」を受け入れている。

「戦力」も「交戦権」も否定した憲法を有しながら、「自衛隊」を保持できるという、極めて「不自然な憲法解釈」によって、日本はなんとか、自国を防衛してきた。

今回の新型コロナ禍における緊急事態宣言であっても、日本の場合は強制力を伴わず極めて緩い。

憲法の縛りがあるからだ。

いつまでこの矛盾を放置しておくのだろう。

いい加減、リベラルという反知性主義から脱すべきではないだろうか。

2020年5月 8日 (金)

武器としての会計ファイナンス/矢部謙介

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 財務諸表を読むときには、まず主要な項目に着目します。B/Sの場合、図表1-5の太枠で示した「流動資産」「有形固定資産」「無形固定資産」「投資その他の資産」「流動負債」「固定負債」「純資産合計」の7項目を押さえます。
 これらの項目が、資産合計(負債純資産合計)において、どれくらいの割合を占めているのかを把握することによって、B/Sの全体像が見えてきます。

英語でFinanceというとお金を融通する(貸す)という意味。

具体的には、

あるお金を使う(投資)ための方法

使いたいお金を調達する(資金調達)ための方法

の二つを考えないといけない。

基本的にファイナンスはこの2つを最適化する方法だ。

ゴールは、投資・資金調達の最適化、

企業に当てはめるなら企業価値の最大化だ。

企業価値を最大化するために投資と資金調達をどうするかを扱うのがファイナンスだ。

ファイナンスは、 会社のおカネの流れを最適化し、企業価値を最大化することを目的の1つとしている。

ファイナンスは会社におけるおカネの流れをコントロールする機能を担っている。

また、ファイナンスは将来の財務諸表の内容を管理する機能を担っている。

ファイナンスを理解するためには、ファイナンスに関する意思決定が結果として財務諸表にどのような影響を及ぼすのかを知っておく必要があるということであろう。

2020年5月 7日 (木)

戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則/本田哲也

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 同じ商品カテゴリーなのに、なぜ「売れるもの」と「売れないもの」が生まれるのか?—それは「商品力」や「宣伝力」の問題ではない。その商品が売れるための「空気」ができているかどうか、だ。商品を売るためにつくり出したい空気=「カジュアル世論」をつくり、売上につなげる。それが「戦略PR」なのだ。

PRとは、本来はパブリックリレーションズ(Public Relations)の略。

直訳すれば、「公的な(Public)関係性(Relations)」という意味。

仮に企業であれば、消費者はもちろん、株主や取引先企業、従業員、メディアや専門家といった周囲の利害関係者たちと良い関係を築き、それを維持するということになる。

要は「企業や組織がいかに世の中とうまくやっていくか」。そのための戦略やノウハウの総称が「PR」というわけだ。

抽象度高く表現すれば、PRとは「世の中を舞台にした情報戦略」である。

そしてPRの究極の目的は、「人の行動を変えること」だ。

いま起こっているのは、「買う理由」同士の戦いである。

画期的な商品の企画はもちろん重要だが、同時に、画期的な「買う理由の企画」も同じくらい大事になってくる。

属性順位転換を起こすこと、すなわち「いい○○」を再定義することで、新しい「買う理由」が生まれる。

そして、属性順位転換を意図的に起こす方法論─それが「戦略PR」なのだ。

戦略PRによって「いい○○=××」という社会常識を変え、新たな「買う理由」を生みだすことができる。

「買う理由」をつくるのが戦略PRの大きな役割である。

新しい「買う理由」を世の中に創出することで、属性順位転換を意図的に起こしていく。

戦略PRには「6つの法則」がある。

社会性を担保する「おおやけ」、

偶然性を演出する「ばったり」、

信頼性を確保する「おすみつき」、

普遍性の視座である「そもそも」、

当事者性を醸成する「しみじみ」、

機知性を発揮する「かけてとく」。

PRの立案実施には、これらの6つの要素がポイントとなる。

それらを活用した代表例はサントリーの「ハイボール」だ。

サントリーは「ハイボールという飲み方」を顕在化させつつ、関与度を同時に高めた。

サントリーは、25年もの間縮小していたウイスキー市場を、ハイボールブームをつくることで拡大に転じさせた。

「ウイスキーがお好きでしょ?」と女優の小雪が微笑むテレビCMに代表される広告展開。

地域密着型の営業戦略や販促施策。

サントリーが昔から得意とされるこれらの連携に加えて、戦略PRはハイボールそのものを社会関心化する役割を果たした。

メディア報道やクチコミを通じて、「ウイスキーが復活」「ハイボールが若者にも人気」といった露出を増やしていった。

たとえば父の日シーズンには、日本ファザーズ・デイ委員会の「お父さんがもらって嬉しいお酒はウイスキー」という調査結果を活用。

店頭とも連携し、「父の日のプレゼントにはハイボール」という空気を醸成した。

ハイボールブームは1年ほどで世の中に顕在化され、年配男性から女性、若者と広い層の関与を獲得することになった。

世界に向けて「買う理由」をつくりだすには、一方的な広告やプロモーションでは太刀打ちできない。

事業目的を達成するために、どのような行動変容を起こせばよいか、既存の認識を変える必要があるか、そのためにどんな情報を露出させればよいか。

戦略PRの「6つの法則」をもとに戦略を立てる必要があるということであろう。

2020年5月 6日 (水)

ハウ・トゥアート・シンキング/若宮和男

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 アート・シンキングとは一言で言えば、「ちがい」を生み出す思考法です。そしていまアート・シンキングが求められている背景には、時代のパラダイムの変化があります。

市場の成熟と飽和によって、価値のパラダイムが変化した。

これを「工場」パラダイムから「アート」パラダイムへの変化と著者は呼んでいる。

工場では「おなじ」が価値だ。

たくさんおなじ製品をつくれるのがよい工場であり、一方で「ちがい」が生まれるとそれは不良品とされ、欠陥として扱われる。

「ちがい」をなるべく減らして「おなじ」をなるべくたくさんつくるため、「工場パラダイム」ではシステムや組織もそのように設計されている。

マニュアル化、そして自動化。

「仕事は属人化するな」と言われ、いつ誰かがいなくなっても、人が入れ変わっても「おなじ」ものがつくれる仕組みがつくられた。

勤勉で同質性の高い日本人はとりわけ「おなじ」化が得意だったので、最速で成功し「ナンバーワン」になることができた。

ところが、市場の飽和と供給過多によって、価値の源泉は「おなじ」から「ちがい」へと180度転換した。

「工場」パラダイムとはまったく反対に、「アート」パラダイムでは「ちがいが価値で、おなじは悪」だ。

なにがアートの価値を決めるのか? 

アートの価値とは「ちがい」だ。

アートは徹底して「ちがい」をつくる。

アーティストは常に「ちがい」のある作品をつくり、またそれを鑑賞する人によっても作品の解釈には「ちがい」が生まれる。

ロジックやデザインとはちがい、アートは「おなじ」を増やさず、「ちがい」を増やす。

成熟と飽和の時代にはもはや「おなじ」は価値ではなく、「ちがいが価値でおなじは悪」になった。

「工場」から「アート」へと価値のパラダイムが変わり、「ちがい」が求められるようになった。

このことを経営者は知るべきだろう。

2020年5月 5日 (火)

現場の会計思考/安本隆晴

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 具体的には、事業の儲けの構造である「損益構造」⇒「売上高-売上原価-販売費及び一般管理費=営業利益」と現金収支の構造である「キャッシュフロー構造」⇒「現金収入-現金支出=現金残高」の両方を理解して、利益と現金をどのように増やすかを同時に考えて行動することです。

中小企業では予算を作っているところは少ない。

せいぜい、予算といっても売上高だけの予算しか作らない。

つまり売上原価、経費、利益などの予算などは作っていない会社が多い。

予算は海図と同じだ。

その海図がないと企業という船がどこをどのように航海しているのかわからない。

計画した通りに進んでいるのかをチェックし、予算と実績を比べて差異が出たら、差異の原因を分析し、軌道修正に役立たせることが必要。

普段から会計的な思考をしていないと、会社への不満が多くなる傾向がある。

給料が少ない、ノルマがきつい、経費が使えない、社長だけ贅沢している…等々。

その結果、仕事へのモチベーションが上がらないなんて話もよく耳にする。

しかし、会計思考ができるようになれば、それらの問題はすぐに解決する。

経営者や幹部社員だけでなく、最前線で働いている現場の社員こそ、会計思考を身に付けるべきだろう。

2020年5月 4日 (月)

ビジネスモデル分析術/三木孝則、他

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 フェイスブックのミッションは「Facebook's mission is to make the world more open and connected」(フェイスブックのミッションは、もっとオープンで繋がりのある世界を創り上げることです)となっています。このミッションを達成するためにフェイスブックは様々なサービスの開発に力を入れています。

営業利益の数字を見ると、フェイスブックは47.3%。

メーカーであるソニーやパナソニックの数字が2% 程度、

インターネット小売業であるアマゾンが4% 程度、

そのことを考えると、いかに大きな数字であるかが分かる。

ザッカーバーグがフェイスブックをここまで大きくすることができたのは、「オープンで透明性の高い世界は素晴らしい」という信念を貫き通したからだ。

フェイスブックの採用ページを見ると、

「We're making the world more open and connected. Want to help?」(僕たちはもっとオープンで繋がりのある世界を創っている。いっしょにやりたいかい?)

というメッセージが目に飛び込んでくる。

「一貫性」

ビジネスモデルを構築する場合の、重要なキーワードではないだろうか。

2020年5月 3日 (日)

図解 コンサルティング力 養成講座/斎藤広達

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 先手で謝罪をしてピンチを切り抜けたジャパネットと、後手を引いた感のあるソフトバンク。あなたが問題解決の当事者なら、どう対応したでしょう?

トラブルや課題が生じないビジネスなどない。

その対応を間違えればビジネスの結果を大きく変えてしまう。

2004年「ソフトバンク」と「ジャパネットたかた」で、ほぼ同時期に顧客情報の流出が発覚した。

ところが、ジャパネットはピンチをチャンスに変え、ソフトバンクの対応はユーザーの反感を買った。

何が違ったのか?

ジャパネットは一部報道を受け、事実調査中の3月9日に「お客様情報漏えいに関するお詫びとご報告」と題するお知らせを公表。

翌日には個人情報流出の事実を認め、調査中の内容も含めた事実関係を説明した。

事業活動の自粛を決め、日々更新されるお詫びとご報告の最後は、必ず「心よりお詫び申し上げます」と記されていた。

一方、ソフトバンクは、「Yahoo! BB」ユーザーの顧客情報流出が判明したあとの1月23日になって、プレスリリースを発表。

文書では、確認された事実を知らせ、クレジットカード番号などの信用情報流出がなかった点が、強調されていた。

次の発表は2月27日で、調査結果と今後の対応策の報告に終始した。

ピンチに遭遇した時、どんな対応をするのか?

そこに企業の姿勢が問われる。

今のコロナ危機をどう乗り越えるか?

乗り越えるだけでなく、このピンチをチャンスに変えることができるか?

それを問われている企業は多くあるのではないだろうか。

2020年5月 2日 (土)

2025年、人は「買い物」をしなくなる/望月智之

2025

 今の消費者が便利さの代わりに求めているものは「時間」なのである。少しでもストレスのかかる時間を減らして、快適な時間、楽しい時間をもっと増やしたい。今はそれを生活の優先順位としている人がとても増えている。

便利になればなるほど、なぜか私たちは忙しくなっている。

その原因は、「情報」だ。

この情報と私たちをつないでいるのは、スマートフォンである。

スマートフォンの登場で、私たちはインターネットではなく、情報につながるようになった。

皮肉な話だが、便利なアプリが増えれば増えるほど、私たちが新たに確保した可処分時間は、スマートフォンに奪われる形となっている。

日経MJが年に2回発表している「ヒット商品番付」などを参照すると、いまやメーカーが出しているヒット商品の7割から8割は、時短に関連している。

いかに消費者の時間を獲得していくか、これから企業は、そのテーマに挑み続けなければならない。

さらに、「個の時代」といわれる世の中で、消費者の側では「自分だけのモノが欲しい」というニーズも高まっている。

そこでメーカーの間では、商品の〝パーソナライズ〟という動きが出始めている。

そのためのキーワードは「口コミ」だ。

検索が「自分で気づくマーケット」だとしたら、口コミは「自分では気づかないマーケット」と言える。

前者の「気づくマーケット」は、実は市場規模がそれほど大きくない。

いくら検索で数十万件とヒットしても、実際に確認するのは上位数件だろうし、検索条件を変えたり検索結果を取捨したりといった手間もかかる。

検索は必ずしも自分に最適なものが簡単に見つかるツールではないのだ。

これに対して口コミは、自分が気づいていない「いい商品」を紹介してくれる。

しかもその情報は、自分の友人やフォローしている人からやって来るので、企業が広告ですすめてくるものよりも、自分の好きなもの、自分に合ったものである可能性が高い。

人々の所有の概念は、今まさに様変わりしようとしている。

若者世代では、それがさらに顕著だ。

その流れをつくっているのが、さまざまなアプリだ。

つまり、 検索エンジンの膨大な情報から知りたい情報を見つけるのではなく、自分にマッチした情報が絞られて出てくるアプリやSNSからさまざまな情報を得る時代にシフトしているのだ。

そうした変化に気づいていない企業は、そのうち淘汰されてしまうかもしれない。

2020年5月 1日 (金)

モンスター組織/リブ・コンサルティング、権田和士

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 多くの場合、組織変革のきっかけとなるのは、外向きな志向が生まれたときである。いかに自部門が他部門に対して優位に立つかといった部門間の権力闘争ではなく、お客様や社会、市場に対して自社はどのような価値を提供していくのか、そのためには何が必要かを第一に考えることが「外向き志向」だ。

多くの会社が組織改革を求められている。

しかし、なかなかうまくいかないというのが現実だ。

本書では組織変革で気づいた三つのことが示されている。

一つ目は、「犯人捜しは不毛である」ということ。

組織が悪くなってくると、その要因を様々なところに向けたがる。

その矢印は往々にして、特定の「人」や「グループ」に対するものである。

組織変革の大前提は、「誰も悪くない」であり、組織課題に戦犯はいないのである。

組織課題の原因は「人」や「集団」ではなく、その組織メカニズムによる認知のひずみである。

二つ目は、「制度(ハード)で会社は変わらない」ということ。

組織のメカニズムは、組織制度だけでなく組織心理(ソフト)に根差したものであるということ。

三つ目は、「組織変革に万能薬はない」ということ。

すなわち、「犯人捜しをせずに」「制度による解決偏重にならずに」「組織変革の万能薬に頼らない」やり方が求められるということ。

私自身も組織改革に取り組んでいるが、共感できる。

組織は制度を変えただけで変わるという単純なものではない。

だから、「この制度を入れれば組織は変わる」といううたい文句にはうさん臭さを感じる。

組織を変えるというのはむしろ泥臭い取り組みが必要になる。

「一歩前進、二歩後退」ということもよくある。

それらを繰り返しながら、生まずたゆまず取り組みを続ける中で、組織は少しずつ変わってゆく。

まさに、「組織変革に万能薬はない」ということであろう。

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