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2020年5月 7日 (木)

戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則/本田哲也

Pr-6

 同じ商品カテゴリーなのに、なぜ「売れるもの」と「売れないもの」が生まれるのか?—それは「商品力」や「宣伝力」の問題ではない。その商品が売れるための「空気」ができているかどうか、だ。商品を売るためにつくり出したい空気=「カジュアル世論」をつくり、売上につなげる。それが「戦略PR」なのだ。

PRとは、本来はパブリックリレーションズ(Public Relations)の略。

直訳すれば、「公的な(Public)関係性(Relations)」という意味。

仮に企業であれば、消費者はもちろん、株主や取引先企業、従業員、メディアや専門家といった周囲の利害関係者たちと良い関係を築き、それを維持するということになる。

要は「企業や組織がいかに世の中とうまくやっていくか」。そのための戦略やノウハウの総称が「PR」というわけだ。

抽象度高く表現すれば、PRとは「世の中を舞台にした情報戦略」である。

そしてPRの究極の目的は、「人の行動を変えること」だ。

いま起こっているのは、「買う理由」同士の戦いである。

画期的な商品の企画はもちろん重要だが、同時に、画期的な「買う理由の企画」も同じくらい大事になってくる。

属性順位転換を起こすこと、すなわち「いい○○」を再定義することで、新しい「買う理由」が生まれる。

そして、属性順位転換を意図的に起こす方法論─それが「戦略PR」なのだ。

戦略PRによって「いい○○=××」という社会常識を変え、新たな「買う理由」を生みだすことができる。

「買う理由」をつくるのが戦略PRの大きな役割である。

新しい「買う理由」を世の中に創出することで、属性順位転換を意図的に起こしていく。

戦略PRには「6つの法則」がある。

社会性を担保する「おおやけ」、

偶然性を演出する「ばったり」、

信頼性を確保する「おすみつき」、

普遍性の視座である「そもそも」、

当事者性を醸成する「しみじみ」、

機知性を発揮する「かけてとく」。

PRの立案実施には、これらの6つの要素がポイントとなる。

それらを活用した代表例はサントリーの「ハイボール」だ。

サントリーは「ハイボールという飲み方」を顕在化させつつ、関与度を同時に高めた。

サントリーは、25年もの間縮小していたウイスキー市場を、ハイボールブームをつくることで拡大に転じさせた。

「ウイスキーがお好きでしょ?」と女優の小雪が微笑むテレビCMに代表される広告展開。

地域密着型の営業戦略や販促施策。

サントリーが昔から得意とされるこれらの連携に加えて、戦略PRはハイボールそのものを社会関心化する役割を果たした。

メディア報道やクチコミを通じて、「ウイスキーが復活」「ハイボールが若者にも人気」といった露出を増やしていった。

たとえば父の日シーズンには、日本ファザーズ・デイ委員会の「お父さんがもらって嬉しいお酒はウイスキー」という調査結果を活用。

店頭とも連携し、「父の日のプレゼントにはハイボール」という空気を醸成した。

ハイボールブームは1年ほどで世の中に顕在化され、年配男性から女性、若者と広い層の関与を獲得することになった。

世界に向けて「買う理由」をつくりだすには、一方的な広告やプロモーションでは太刀打ちできない。

事業目的を達成するために、どのような行動変容を起こせばよいか、既存の認識を変える必要があるか、そのためにどんな情報を露出させればよいか。

戦略PRの「6つの法則」をもとに戦略を立てる必要があるということであろう。

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