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2020年7月 4日 (土)

スーパーヒューマン誕生!/稲見昌彦

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 スーパーヒューマンとは、拡張身体から人機一体、自動化と自在化、脱身体から分身、変身、融身体・合体へと至る人間の計り知れない進化の姿を指している。情報技術、バーチャル・リアリティ技術、機械技術、ネットワーク技術、すべてのテクノロジーが合わさるとき、人間は道具をつくるだけではなく、自らの身体性を自らの手でつくり変えることができる存在、つまりスーパーヒューマンへと姿を変えるのだ。


本書の副題は「人間はSFを超える」というもの。

人間を超える人間の姿、すなわち「スーパーヒューマン」の登場を描くことを目的に書き進められているのだが、そのビジョンを示すものとしてSF作品をあげている。

たとえば、1968に米国で公開されたスタンリー・キューブリック監督の名作映画『2001年宇宙の旅』。

この映画の製作に、MITの天才コンピュータ科学者、マービン・ミンスキーがアドバイザーとして参加していたというのは、よく知られる有名な話だ。

同作品に登場する「HAL9000」は、SFと研究の相互作用の成果であり、その後のAI研究の方向を決定づけ、AIイメージの原型ともなった。

その後、ミンスキーは1970年に設立されたMIT人工知能・コンピュータ科学研究所の創設者の一人となった。

研究者にとって、SF作品が果たしている役割は大きい。

理由は二つある。

第一に、SF作品は一般の人に研究をわかりやすく伝えるための言語として、また研究者同士が互いの研究内容を理解する上での共通言語としても機能しているということ。

第二に、SF作品は「つくりたいもの(WHAT)」を示すことで、人間を、特に研究者を動機づけてくれる存在だ。

研究とフィクションはあるところでは結びつくことがあるが、ほとんどの場合、直接につながることはない。

なぜなら、「つくりたいもの(WHAT)」はフィクションに描かれているが、「どのように実現するか(HOW)」までは示されていないからだ。

つまり、つくりたいもの(WHAT)をどのように実現するか(HOW)が研究者にとっての腕の見せどころであろう。

ただ、SF作品が未来の世界を考えるヒントを与え、研究者の動機付けにつながっていたのだというのは初めて知った。

そういった目で「スターウォーズ」や「マトリックス」を観るのも面白いかもしれない。

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